NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題59 学校・学級を選ぶ時の基準で大切なのは?


 D君は小学校低学年の子です。おとなしい性格で、個別に声をかければ教師の指示に従うことができます。
 トラブルは起こしません。他の子から声をかけられれば一緒に行動することもできます。
 しかし、授業中はボーっとしていて授業内容はほとんど理解できていません。

 

 D君のような場合は周囲に迷惑をかけないので大人の手をわずらわせません。
 しかし、「授業に参加できていない」という点でC君と同じです。
 私たちがもし、まったく知らない外国の言葉で授業を受けているとしたらどうでしょう。
 45分間をただじっと座って過ごし、それを5時間も6時間も続けるのです。
 テストを受けてみて50点以下の成績の子は、これと似たような状態で毎日の授業を受けている可能性があります。
 30点以下や一桁の点数の子は明らかに不適切なカリキュラムの中で毎日を過ごしていることになります。
 医師の杉山登志郎氏は次のように言います。[22]

 参加できるクラスを選ぶということは、学習の成果という問題にとどまらない。
 達成感がない状態で長い時間を過ごしていて、子どもが幸福を感じられるであろうか。さらに、無力感と自己イメージの歪み、そして情緒的な問題に発展する。子ども自身が、自分はそこそこにやれているという自信を持たなくては、結局、情緒的なこじれに向かってしまうのである。

 D君の場合は、勉強は特別支援学級で過ごし、いくつかの時間を交流学習として通常学級で過ごすカリキュラムが適切だと思われます。
 特別支援教育とは、「何が何でも通常学級」「何が何でも特別支援学級」というものではありません。
 大切なのは子供自身が「有意義な時間を過ごせるか」「そこそこにやれているという自信を持てるか」ということです。
 その意味で「特別支援学級がダメだったら通常学級へ」という「ダメだったら移動」は最悪です。
 それは子供の挫折体験となり自尊感情を傷つけるからです。
 早期の適切な判断が重要なのはこのためです。[23]


【答え】

@授業についていけるかどうか

 杉山登志郎氏は著書の中で明言しています。[24]

 学校の選択に当たってもっとも大事な原則はほぼ一つと言って良い。
 それは授業に参加できるかどうかということである。

 問題59とその解説は、この杉山氏の主張をもとに、杉山氏の著書の中から事例を見つけ、私なりに要約したものです。
 著書『発達障害の子どもたち』の中にはこのような事例がいくつも出ています。
 代表的なのは著書の冒頭に登場するA君とB君の事例です。
 これについてはぜひ著書の中でご覧ください。

[20]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)197
[21]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)196
[22]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)198
[23]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)199
[24]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)196

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