text by Seino


  これ書いてる現在は、あの須永辰緒さん三度目の来訪となった 10 月23日(土)から、早くも2週間がたち、なんかこう修学旅行終わっちゃった高2男子っつうか、はてしない虚脱感だけがある。とにかくスタッフとしてこのパーティに関われて良かった、素晴らしいお客さんに恵まれてよかったとシミジミしてはフヌケてしまう日々なのです。我ながら多幸感むきだしでオメデタいんですが、それぐらいすっごくいいパーティでした。以下、いちスタッフとして、この日のパーティを前後含めて報告させていただきます。

 

 須永さんが中標津空港に降り立ったのが午後。出迎えに行った中澤・清野とも面識はあるものの、それでも相変わらずガチゴチの緊張状態。さて今回はどこ観光しようかと考える。
「須永さん、どこか行きたいところはありますか?」
「行きたいとこ?あるんだけど」
「ど、どこですか!」
「床屋。」

…見ると確かに少し髪が伸びてた。どうも須永さんは毎回床屋で切るらしく「なんかお洒落なサロンみたいなとこは駄目だね、バリカン使い慣れてないし。むしろ坊主とパンチしか出来ない爺さんがやってる店の方が、坊主頭が長持ちするんだよ(談)」ということで、別海町の「ヘアサロンあべ」で切ることに(出来には結構満足されたようですが)。
 話は戻って床屋に行くまでの間、 標津サーモン科学館 トドワラ に立ち寄る。それにしてもガチゴチの我々とは対照的に須永さんは毎回、本当に気さく 。 こっちが詰まっても話題をバンバンふってくれるし、またいちいち面白いんだ、話が。さらにいつでも何にでも示してくれる興味&リアクション。標津町サーモン科学館では遡上する鮭や白鳥を写メで撮りまくり、展望台の望遠鏡に500円分費やしてひたすら北方領土を覗き、トドワラで潮に浸食された地面を足にめり込むとこまで歩いてってしまう。車中でもレコードの探し方からここでは触れられない話題まで、あまりの楽しさに時間がたつのも忘れてしまう。

 ところがピースへ事前入りした瞬間、さっきまでのモードから一変、いきなりブースやモニターの位置から、ミキサーのチャンネルまでひとつずつ指示。印象に残ったのが
「とにかく音漏れしないように」
「苦情が無く、気分良くパーティができるように」

という言葉。この徹底的にプロフェショナルな姿勢に裏打ちされてこその、あの楽しさ。僕は、もうシビれまくり( and ビビリまくり)でしたね。

 夜は会場入りまで須永さんと居酒屋「ホームラン」へ。ここでもとにかく優しいんだ、須永さん。 MIX CD の選曲やら、 MIX TAPE のあの曲など恐る恐るにファン丸出しの質問をしても、ガンガン教えてくれる。逆に須永さんの「もう何でも聞いてよ!」という言葉に頭が真っ白になり、この曲はあの繋ぎは…と聞きたいことがいくらでもあったのに、全っ然思い浮かばなくなって固まる。メモして持ってくりゃあよかった。今でも悔やまれる。

 いよいよ10時。パーティが始まる。前座に山本・清野とやらせてもらい、予定より早めに須永さんに交替してもらう。自分のかけたアパッチ使いのメガミックスものから、なぁんと、 カーディガンズ 「カーニバル」 四分打ちへ。もうこんなのどうして出来るのよ、と言いたくなるくらい完璧な繋ぎとまさしく「登場!」って感じのオープニング。フロアのお客さんもあまりのカッコ良さに歓声とともに両手も上がりまくり。ここから最初のセットがなんと2時間30分。須永さん本人も「自信作」と言ってた、今までの MIX CD シリーズでも抜きんでてキャッチーな「 WORLD STANDARD 04 」からの曲もガンガンかかる。ハウスもヒップホップもジャズもソウルもボッサも、勿論須永さんクラシックも最新のヒット曲もてんこ盛り。これ人間だったら誰でも好きだろってぐらいキャッチーな選曲と美味しすぎる繋ぎ。今回は須永さん一人のゲストということもあってか、今まで以上に満干全席の超キャッチーなセット(スクラッチなど見せ技も多かった)で、皆踊る踊る。初めてパーティに来た人も、もう無抵抗の降参状態でガンガン踊る。この時点で、ほとんどのお客さんはお腹一杯だったんじゃないでしょうか。今回来てくれた皆様のチケット代のモトはこの時点で完全に取ったと自負しております!(僕が自負することじゃないんですけど)。

 ところが、この後がさらに凄かったんですよ(都合で帰っちゃった人ゴメンナサイ)。

 中澤の DJ を挟んで、須永さん再登場。ここで常連よっしーさんより、須永さん DJ 20周年(本当は22周年)の花束贈呈。どうも須永さんこれを予期してなかったらしく最初、珍しく言葉に詰まるも「皆、ありがとう!今日は体力が続く限りやるぞ!…あ、言い忘れた、 今日、ヘアサロンあべで坊主にしたぞ! 」という叫びから第2部スタート!1部からずっと踊ってたお客さん達も不死鳥のごとくフロアに全員集合、「 NO REASON NO RHYME 」に繋がった瞬間絶叫。しかしピークはここでも終わらない。続く「 LAST SHOW 」をかけた瞬間、ブースから降りた須永さん、お客さん全員と円陣組んで大合唱!そして感極まって絶叫!( PARTY SHOT 参照)。さらに、ここからショットを大量注文。以降、ほぼ1曲ずつブースから降りては、お客さんの一人ひとりと話して、ショットを酌み交わしてはハグするという出血大サービス(都合で帰っちゃった人本当にゴメンナサイ!)を挟み、ヒットチューンの連打につぐ連打!ここでもうひとつサプライズが。フロアの空気に気をよくしてか、須永さん「これすっごい好きな曲だから皆ちょっと我慢して聞いてみて」と、自らのクラッシック(解説してくれたのですが、曲名覚えてませんゴメンナサイ)を次々と披露。しかしこれが、どれもこれも本っ当にいい曲なんだわ。お客さんからもガンガン手拍子が入り、須永さんさらに気をよくして、社交ダンス状態に(再び PARTY SHOT 参照)。スタッフの中澤は「もう俺パーティこれで最後でもいいわ」とかうわごとのように言ってるし、自分はハグされたと思ったら、変形モンゴリアンチョップくらうわ、ヘッドロックされて引きずり回されるわ(でもその時「本当にありがとな」とボソッと言ってくれたのが忘れられない)、圧巻のうちに午後4時20分、幕を閉じたのでした。

 次の日の見送り、自分は用事(漢字検定と部活)があって行けなかったのですが、空港までの帰路も上機嫌でスタッフ中澤は「お前も飲め!」と言われ、空港でビールを何杯か酌み交わしたそうです(いいなあ…)。今回、実は自分は用事(結婚式)のため、ほとんど事前準備にも関われなかったんです。だからなのか、今回、須永さん本人は勿論、ウチのスタッフがどれだけ皆頑張っていたか、常連のお客さんや、はるばる遠方から別海まで来てくれたお客さん達にどれだけ支えてもらってるか、自分が頑張ってないぶん、ものすごく見えた一夜でした。だって、「本当にいいパーティありがとう!」って言ってくれて、しまいに機材の撤収まで手伝うんだよ、そんなお客さんいないって、普通。須永さん本人だって、実はコンディションが思わしくないことはホームランで聞いてたけど、あの夜は、そんな気配すら一瞬たりとも感じさせなかった。表面がいかにキャッチーであろうと、須永さんの表現に硬質なリアリズムがそなわっているのはそのためであって、それにすっかりあてられてしまった、現在の私の状態が、まあフヌケなわけなんですけど。

 以前このホームページを設立した時のコラムで「パーティが“ FUN ”であるためのケモノ道」みたいなことエラソーに書いたけれど、言わずともそれを身で実践してる須永さんとお客さん達と自分以外のスタッフ全てにリスペクトを捧げます。最後にフロアが最も盛り上がった須永さんの一言をしっかり残して、パーティ報告のシメとさせてもらいます。須永さん、忘れないでくださいね!

「また、来年も来ます。」

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