text by Seino


 

 11月27日(土)。この日を何と形容したらいいのか。「最高!」とか「感激!」とか「今までやってきたことは間違いじゃなかった!」とか、色々頭に浮かぶのですが、「いや、アレはそんなもんじゃないだろ!」ダメ出ししては消えていきます。あんなに楽しくて最高なパーティを体験した皆さんごめんなさい。ちょっと今回は、しみじみするかもしれません。ついでに長くなるかもしれません。でも「キャプテン・ファンク」が「別海に来た」のに別になんか短くまとめる必要なんてあんの?とかも思いつつ。当日パーティに来ていただいた皆さんも、間違ってこのページを開いちゃった人も、ほんのちょっとの間だけ、お付き合いください。


 もう本っ当に来て欲しいけど、終わってしまうのがイヤだから来て欲しくないような…そんな浮ついてはボーッとするばかりのチッチとサリーの恋煩いよろしくモジモジと待ち焦がれていた11月27日。我々スタッフの待ち受ける「 PEACE 」に、この日の夕方、キャプテン・ファンク=オオエタツヤさんがついに降臨(ってぐらい緊張してましたマジで)したのです。


 車から降りてくるオオエさん。うわっ、 細い! 「今日はよろしくお願いします!」とスタッフ一人ひとり両手握手!おおっ、 いい人だ! それよりさっき見たときからずっと思ってたけど…自分より年上のしかも「キャプテン・ファンク」に言っちゃマズいけど… か、 カワイイ 。 今まで見たアー写のシリアスなイメージを思いっきりうち砕かれるチャーミングさ。実際、この後パーティーで実物を見た女の子のお客さんのリアクションは完全にアイドルのそれ(あちこちでキャーキャー言ってた)なのでした。


 このあと、オオエさんと一緒に 郊楽苑の風呂 に入り、ゲストDJ恒例の「ホームラン」で夕飯を相伴させてもらうというスタッフならではの職権濫用(ファンの方、本当スイマセン)をしていたのですが、とにかく、今まで超一流のDJの方々と御同伴させていただいた身で言わせてもらっても、とにかく気さくすぎ!腰低すぎ!そして話題ふりまくり!思わず 「 あなたオオエタツヤさんですよ! 」 とツッコミたくなるほど超絶にいい人。というか、「ハリウッドのゲストの人って本当いい人ばっかりだね!」とお客さんにも言われたけど、言われるまでもなくトップクリエイターでバランス壊れた人なんていない。みんな本っ当にいい人ばっかり。自分はDJでございなんて人、凄いDJの人であればあるほど、絶対にない。実は、これとても重要だと思うんですけどね。閑話休題。


 というわけで、郊楽苑では中学校時代での CAN のコピーバンド話を(なんて早熟な…)「ホームラン」ではクイーンからデヴィッド・ボウイ、マルコス・ヴァーリからノイ!純ちゃんラーメンからパブリックエネミーまで、そのDJと同じくらいジャンルレスに展開する面白すぎる話を聞きながら、いよいよ会場のピースへ入り、本番へ。


 前座の山本・奥山のキャプテンへの愛情 MAX なプレイ後、ときに11時15分、遂に、遂に、遂に! 出たぞ!本物だぞ!嘘じゃないぞ!別海に来たんだぞ!キャプテン・ファーンク!!!


 ビースティー、ジュニア・シニアともうどしょっぱなからキラーの連打!連打!ああ、上手い。上手すぎる。あの繋ぎ方はどうやってんだ、そんなことを考える間もないほど、自然に体が動いてしまう。キャプテン(と以降呼ばせていただきます。)のポーズもじわじわとキマり出す。少し冷静になってキャプテンのアクションを見る。やっぱり失礼だと思いながらも、ひとつひとつの動作がすっごくキュート。なぜかプリンスを思い出してしまった(実際「 KISS 」の四分打ちもかけてたけど)。新旧関係なくバンバン完璧な繋ぎでキメていく選曲にフロアも揺れまくり。


 セットが進んでいくうちに、ふと何十回も聞き覚えのあるフレーズが右モニターから聞こえてくる… EVERYDAY EVERYWHERE YOU CAN HEAR MY MUSIC ♪…マジか?スタッフがハイタッチをしはじめる(含む俺)。 I WANNA HOLD YOUR HAND のフレーズの直後に弾けるホーンセクション。 SUGIURUMN「 MUSIC IS THE KEY OF LIFE 」 でしょ。 ロック好きもテクノ好きも皆ハウスの洗礼を受けた魔道の曲、今や各自バラバラな選曲のハリウッドDJ達も当時こぞってかけてた曲。それを今、よりによってキャプテンが目の前でかけている。スタッフの中には涙ぐむ奴までいる始末。自分もちょっとヤバかったけど、なにせパーティコラム担当である。職務を全うするのだ。あっラプチャーだ!!キャー!カッコイイ!!いかん、いかん、冷静にならねば、あ、このキックは…マジか?マジでか?


 奇しくもさっきまで「ホームラン」でア・サートン・レイシオからニューオーダまでオオエさんとずっと話してたファクトリー残党である自分、ここで脳の栓が一気に吹っ飛ぶ。「知ってる曲だからって歌うのはカッコ悪いよねー」と普段ホザいてたが、もうどうでもいい。 キャプテンが「 BLUE MONDAY 」かけてるのに歌わないでどうする 。 もうこの辺からお客さん跳ねまくる。キャプテンのキメもだんだん大きくなっていく。


 イントロを聞いた瞬間、喜ぶより先に、本当か?と半信半疑なミョーなザワメキすら起こった「 ONE MORE TIME 」。歌がはじまった瞬間、何回ハリウッドのパーティがこの曲によって彩られてきたかを思い返す。そして本当にかけてくれるとは思ってなかった 「 RENEGADE MASTER 」 。かかった瞬間のフロアの絶叫、お客さんも跳ねる跳ねる、とにかく跳ねる!まるで世界一のヒット曲でもかかってるかのような錯覚にとらわれる。もうここまでエラいことになってる以上、フロアが全員望んでいるのはキャプテン・ファンク自身の曲にほかならない。もちろん本人もそんなことは百も承知。 「 HOME SWEET HOME 」 で全員の手拍子が止まらない。格好良すぎ。


 「本当に今日はありがとうございました!」と本人が挨拶する間も、フロアからはアンコールの声と「キャプテンファンク最高―!」という野太い声援が飛び交い(すごい気持ちわかる)、やめるにやめられない状態に。アンコールに応えて2セット目に入るが、お客さん全く退かず、フロアから誰も離れない。聴けたら嬉しいとは思いながらも、まさか本当に聴けるとは思わなかったの 「 TWIST & SHOUT 」 。 スピンされた瞬間、バンバン飛び跳ねるお客さんとスタッフ。


 その後、2回目のアンコールにも強引に応えてもらい(スイマセン!)3セット目に入る。またしても聴けるとは(以下同文)の 「 DANCING IN THE STREET」 からブラー「 TENDER 」のコーネリ・ミックスへ。皆が両手挙げて歌っているのに少し驚きつつも、オオエさんも歌って大合唱のエンディングとなった3時間半(結局持ってきたレコードのほとんどを回したそうです)。何度もお礼を言ってくれるオオエさんと鳴りやまない拍手。頭の芯が痺れたようにボーッとする。どのお客さんも「すごく楽しかった」「本当に良かった」と次々と言ってくれる。まあ、わざわざ「つまんなかった」ってスタッフに言いに来る人もあまりいないとは思うけど、それにしても皆が熱に浮かされたように伝えて来る。


 帰りの空港までの車中では、すっかりオオエさんになついた「ピース」のマスターの愛娘である、いろはちゃんを膝だっこして、「アルプス一万尺」や「おせんべ焼けたかな」を一緒にやってる貴重なシーンまで見たぐらいにして。(「お兄ちゃん、歌ヘタだから自信がないなー」という発言がナイスすぎ!)


 このパーティはハリウッド7周年記念であり、第一期ハリウッドの総決算でもありました。そのハリウッド総括ともいえる場にオオエさんが来てくれたことは、本当奇跡のような巡り合わせとしか言いようがありません。それは、今回その当時のアンセムのほとんどがスピンされたからという表面的な部分だけではなく、キャプテン・ファンクがいなければ、ハリウッドが生まれることもなかったからです。ずっと来て欲しかったDJと、7年の間支えくれたお客さんが一同に会することで初めて成立できた、ずっとやりたかった形のパーティだったと思います。


 今年は、本当に多くの素晴らしいDJの方達に別海に来ていただき、まるで今後のハリウッドを示唆するかのように、お客さんとスタッフに新しい風を吹きこみ、大きな力を分け与えてくれました。こうした今年の試みが、来年以降どのような形で表れるのかはわかりませんが、今後もより一層のご愛顧をよろしくお願いします。いつも同じ事しか言えなくて申し訳ないのですが、今回無理を通して来ていただいたオオエタツヤさん、踊ってくれたり、楽しんでくれたり、機材の撤収を手伝ってくれたりもしてくれた(!)この夜、来ていただいたお客様の皆様に心より感謝申しあげます。本当にどうもありがとうございました!

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