text by Seino


  もう何も思い残すことはないな、うん。先々月より告知しておりましたキャプテン・ファンク&新井仁さん in 北海道ツアー。札幌、帯広と縦断し、ここ遥か遠くの別海町(笑)にて千秋楽の5月20日(土)を無事終了いたしました。あの日PEACEに足を運んでいただいた皆さん、どうでしたか?俺的にはもう、もう…いやー本当に、すごかった。すごいもん見てしまった。以下、今回のパーティ、およびその前後の出来事を恒例ではありますがワタクシ、清野がレポートさせていただきます。…ゴメンナサイ、いつもオマエのレポート長すぎと言われてますが、今回は最高に長いっす。

 土曜4時過ぎ、帯広から別海まで車で到着したオオエさんと新井さん(帯広スタッフの方々本当にありがとうございました!)。 顔見た瞬間から、満面の笑みで「先生お久しぶりです!今日はよろしくお願いします!」と、どしょっぱなから相変わらずの超絶イイ人モード全開で両手握手のオオエさん。前より髪が伸びたかな…なんかまたさらに痩せたような…と、つい遠距離恋愛で久々に再会した女のような目で見てしまう。そして…はじめて間近で見た新井さんは…そりゃあ俺も女だったら「新井ギャル」にもなるわってぐらいの、すんごいフェロモン。 背高っ!細っ!顔小さっ! もうしゃべってる声からしてヤバい 。というわけで、田中角栄を出迎える越山会ばりに直立不動の俺に、「そんな恐縮しないでください!」という新井さんの温かい言葉が。しかし…今でも心のザ・ベストテンに「ルビーの指輪」のごとく居座り続ける 伝説のN.G. THREEのフロントマン新井さんを目の前にして…恐縮しないで言われても無理す。体動かないす。(でも N.G. THREEの7インチにちゃっかりサインをもらった俺)。サウンド・チェックの時点で、ポール・ウェラーのステッカーも眩しいアンプの下に 「NORTHERN BRIGHT」 ロゴのケースを無造作に置かれてるだけで即死。そしてパーティー開始前に全員で居酒屋「やっとこさ」(海鮮丼美味し!PARTY SHOT参照)で食事…なんで俺はマイ・カリスマの二人とここで海鮮丼食ってるんだろうと妙な気分になってる最中、スタッフ山本が「NORTHERN BRIGHの“WILD FLOWER”って昔、先生(俺だ)の国語の授業でかかってたから思い出の曲なんですよねー」と、若さゆえの怖いもの知らず発言。これがあとで…

 前座の自分、半田と終え、遂に新井さんアコースティック・ライヴ。自分スタッフのくせに一番最前列に陣取ってしまい、その距離1メートル。これ以上近づくとピロー・トーク状態になるほどの超至近距離から聞く10cc「I'm Not In Love」トッド・ラングレン「I saw the light」…やはり生は強い!とかいった事実もさることながら、アコギの軽量セットだと、その上手さや表現力がいっそうビシビシ伝わってくる。にしても…結局この声なんだよなぁ。10年に数人レベル(と俺は思う)の美声。軽妙なトークを挟みつつも、一度歌い出せば、もはやCDを完全に凌駕しているこの声。「録音より生がいい」なんて、そんなのミュージシャンだったら当たり前じゃん!とかツッ込まれるかもしれないけど、そんな当たり前のことも当たり前じゃなくなっている今だからこそ。レディオヘッド「HIGH & DRY」のカヴァーの時なんて、もうありえない領域に達してた。耳が完全に女になってしまう。なので、新井さんがボソッと「WALK ON THE WILD SIDE…」って囁いた瞬間「キャァァッ!」と薄気味悪い声をあげたのは俺です(ゴメンナサイ)。このツアーをイメージして書かれたという新曲「HANGING AROUND」(これがまた、えれーイイ曲!)を披露したのち、この曲を含む、このツアーのために本人自らが録音し、手売りしているアコギ・セットのCDRを紹介(詳しくは6月のプレイ・チューンの拙文を参照)。さらに!ここでとんでもないボーナスが!!「自分も久しぶりだから自信ないんだけど…」と言いながら爪弾いたのが…なんと、なぁんと件の 「WILD FLOWER」!! (楽屋裏でコードを思い出しながら練習したらしい)…なんっつうイイ人なんだ!

 そんな至高のセットに陶酔さめやらぬうち、遂に、ついに登場、別海2度目の来訪だ(JB風に)キャプテェーン・ファーンクゥ!! お客さんの期待値もハンパではなく、1曲目から完全にアガッてしまっている。それより何より自分の期待値がハンパではない。前回はキャプテンの姿に見惚れてしまうあまり、結局キャプテンのキメポーズと曲しか記憶に残ってない不甲斐なさだったが、さすがに今回こそは、冷静にニューモードのキャプテンと、その奥義を見届けるのだ!と超至近距離でミキサーに集中…

 …何が起こってるのかすら最初わからなかった。一目盛りでもズレたら全て台無しになってしまうかのような、全てのトリムを一瞬たりとも同じ位置にしてない怒涛のミキシング。時に場を徹底的に盛り上げ、時に徹底的に攻撃する怒涛のイコライジング。「ものすごい何か」が感覚器を伝わって脳に入ってきているのはわかるが、それが何なのか説明できないような感覚。もちろんピッチ合せや音量調節などDJにおける通常の行為もあるが、それすらスピードが異常。あらゆるバランスや手順がオオエさんのシノプシス間を超高速でかけめぐってるとしか思えない。そんなことを考えてると、風貌も相俟ってか、まるで 新種の発明・発見を披露する若きサイエンティストのようにも見え、さっきまで自分が触ってたミキサーとは、もうまったく別種の機械を弄っているような…(情けない素人DJでスマン)。オオエさん本人は自身のHPで「ジェフ・ミルズの方がよっぽどミキサー前で忙しそうですよ」って謙遜してたけど… ジェフ・ミルズて! それでいてレコード選んでる仕草だけでキャーキャー叫ぶ女子多数な天下無敵のキューティさも相変わらず。そんでキメのブレイクごとに、あのバツグンの笑顔でキャプテン・ポーズが連発された日にゃあ…さっきからウォーウォーうるせえなと思ったら、それは自分が発していた雄叫びだったぐらいにして…。後半いよいよギアがトップに入り、カサビアン使いからラプチャーのリミックスあたりの流れに至っては、 もう何をどうやってんのか全っ然わからなかった。 とにかくもう客は叫ぶしかない勢いで怒涛のクライマックスへ…ってところで、まーた苦情の電話が!(ゴメンナサイ!)。…あぁ…この後、新井さんのDJもあるのにぃ…うぅ…。しかし、そこは、あの2人。その後も何時間にもわたるファン・サービスも惜しまず、一緒に写真撮ったり飲んだりしゃべったり…(PARTY SHOT参照)しかもその合間に小さい音量でずっとレコードつないでいたり(感涙!)、まさしくお二人の人柄が思いっきりにじみ出た、本当に心温かくなるアフター・アワーズ(普通はピークタイムの時間帯なんだけど…)だったのでした。

 次の日は一日かけて知床観光。これもニューアルバム発表以降「晴男」な新井さんのご利益か、完璧なピーカン。二人とも写真撮る撮る。スタッフもそんな二人を撮る撮る(PARTY SHOT参照)新井さんがトド肉定食にヤラれたり、遊歩道をショートカットしようとして大量のダニにヤラれたりと様々な事件が勃発しながらも、本当に一日中楽しくて笑ってた記憶しかない。そのまま恒例の居酒屋「ホームラン」になだれ込み深夜まで…本当にここには書ききれない、もしくは書けないことばっかりなので省略しますが、あの「表現者」としてのとんでもなさを見せた昨晩から一転、人間界へ帰還したようなお二人を交えて、本当に至福の瞬間を送れた日曜日でした。帰りの空港でも色々楽しい事があったようですが、残念ながらご同伴できなかったので、詳しくは新井さん(『DIARY』のコーナーを参照。 http://www.ldandk.com/hitoshiarai/arai.html)、オオエさんのHP(http://www.tatsuyaoe.com/findframe.html)を是非ご参照ください。僕らにとって嬉しいこともそこには沢山書かれていました。本当にありがとうございます。

最後になってしまって申しわけありませんが、何よりも、この日来ていただいたお客さん、手伝ってくれた友人の皆さんに最大級の感謝を申し上げます。皆さんとのつながりと温かい支援がなければ、このパーティを実現することは不可能でした。本当に心からの謝辞を捧げたいと思います。

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