text by Yamamoto

■前編 後編

 今回、初のパーティー・リポートを務めさせていただくスタッフ山本です。今までのパーティー・リポートはその全てをほぼ清野が担当しており、その内容も毎回なかなかの評判なのですが、今回のパーティーだけは、例え文章がヘタクソでも僕が担当しないと筋が通りません。なぜかって?それは今まで当サイトをご覧になっていただいている方ならお分かりだとは思いますが、僕にとって沖野修也とは「憧れの人」であり、「スーパースター」であり、「師匠」であり、「神」なのです…。沖野さんに関しての文章を書くときはいつもそうですが、今回もまた長くなってしまうかもしれません。いや、なりますね絶対に。全部読むのは大変でしょうが、活字中毒の方はお付き合い下さい(笑)。

 11月17日金曜日。沖野さんが別海に到着したのはお昼過ぎ。車から降りてきた沖野さんは相変わらずのものすごいオーラ。ファッションも完璧(軽く羽織った黒の革ジャンはニュー・アルバムのジャケ写で着ていたものと同じもの!)。スタッフ一同、一瞬気圧される。しかし沖野さんの「お久しぶりです沖野です。今日はよろしく!」という気さくな感じの第一声に緊張が解け、一安心。沖野さんにまだ一度も会ったことがない人は、あの風貌から受けるイメージでシリアスなイメージを持っているかもしれませんが、実はとっても気さくでチャーミングな方なんです。

 会場のPEACEに入り、いきなりエントランスの壁掛けの鹿の剥製をしぶしぶと眺める沖野さん。そこでおもむろに口を割った一言が…

「誰か鹿の木彫りの彫刻売ってるとこ知りませんかね…?」

 ????……戸惑うスタッフ一同。話を聞くと、どうやら自身がオーナーを務めるクラブ、The Roomの内装を近々一新するらしく、そのオブジェとして使いたいとのこと。この話の続きは「沖野修也Official Blog」に“鹿だらけ” (笑)というタイトルで何と3回にも渡って取り上げられています。是非チェックを!

 この後、日が暮れるまでの少しの時間を使って観光へ。まず、スタッフ渡邉の自宅兼牧場「ウルリー牧場」で開かれている「大竹伸朗と別海」展を見に行く。アートに造詣が深い沖野さんでも、まさか大竹伸朗の展覧会が別海で開かれているとは思ってもいなかったらしく、興味津々の様子。サイロを改造した会場に入るなり、地元のおばちゃんたちに暖かく迎えられる沖野さん(笑)。大竹伸朗が若干19歳だった頃にウルリー牧場でアルバイトとして働きながら、残したデッサンや写真を「よくこれだけの量を保存していたもんやねえ」と感心しながらじっくりと眺めている。
 すると沖野さんが作品に感化されたか、「僕もなんかスケッチしていいですか?」と一言。えー!!??マジっすか!!??も、もちろん、喜んでお願いします!!とスケッチブックとペンを渡すと、若き日の大竹伸朗のセルフ・ポートレイトを見ながらサラサラ。完成品を見てみると……上手い!上手すぎる!!沖野さんが絵が得意なのは知っていたけど(The Roomのフライヤーや十周年のコンピのジャケットを手掛けたりしています)、まさかここまでのレベルとは…。しかも完全なる独学という…。おばちゃんたちも「あら〜上手だね〜」と近所のお絵かきが得意なお坊ちゃんを褒めるかのような口調で感心していました(笑)。ちなみにこの絵は会場に行けば見れますのでみなさんもぜひぜひ行ってみてくださいね。

おもむろにペンを走らせる沖野さん

完成品。プロ並みです…。

 ウルリー牧場を後にして、次に向かう先は前々からぜひとも沖野さんに見せたかった場所。

「沖野さん、日野照正さんの“ホイール・ストーン(車石)”ってアルバムご存知ですよね?その車石っていうのが根室にあるんですけど行ってみませんか?」
「マジっすか!?もちろん行きましょう!!」

 というわけで、根室の観光名所『車石』へ。この移動の間の車中でようやく沖野さんとゆっくり話すタイミングが出来たのですが、緊張して何から話していいのか分からなくなる僕。もっとたくさん聞きたいことがあったはずなのに…と焦って言葉もカミ気味(笑)。そんなテンパリ野郎の僕の話にも、じっくり耳を傾けて、丁寧に答えてくれる沖野さん。ああ何て優しいんだ…。ソロ・アルバムの製作話から、レコードの買い方、『DJ選曲術』の話から飛躍して最近のクラブシーンについての鋭い指摘、さらには「生・オキノの言葉」やここでは書けないようなネタまで(笑)、ありとあらゆるお話を聞かせていただいたのですが、それがいちいちオモシロイ。あの独特の関西弁の口調もあるのか終始引き込まれっぱなしでした。

 到着するとあたりはもう日暮れ時。海に面しているからか風が強くて寒い…。震えながら断崖絶壁に作られた階段を下りていくと、ありました車石。打ち付けられる豪快な波がまるで「火サス」のような雰囲気を醸し出しています。目前に広がる太平洋も大パノラマで大迫力。日野照正さんがインスパイアされたのも頷けます。この厳格な風景にはジャズがよく似合う…。ちなみにトップページの写真はここで撮ったものです。

 別海に戻り、PEACEでサウンドチェック。今回は特別にサウンド・システムを総入れ替えしたので不安が大きかったが、特に何事もなく終了。このサウンドチェックの時点ですでに沖野さんがかけるレコードは聞いたこともないヤバイ曲ばかり。その場でバコバコに踊りたい気持ちを何とか抑える(笑)。

 夕食は沖野さんの大学時代の友人でもある音響スタッフ加藤の自宅で鍋を囲む。これがとんでもなく美味!!沖野さんも体の細さに似合わずどんどん箸が進む。ここでも沖野節のトークが炸裂していたことは言うまでもありません(笑)。おいしい食事と最高のトークを堪能している間に、いつの間にかパーティーはオープンしていたのでした…。

(後半へ続く)

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