text by Yamamoto

 今回の10周年パーティーに来てくれたみなさん、行きたかったけどやむを得ず来れなかったみなさんにも最大級の感謝を!!あれからもう一週間が経つのですが、僕の気持ちは未だ冷めやらない興奮と、未だ抜けない疲労感でなんだか浮世離れしております…。パーティー前は物理的にも精神的にも余裕がなく、正直かなり参っていたのですが、いざパーティーを終えてみると、そんな消極的な気持ちでいたことをみんなに謝りたくなるくらい、楽しくて、暖かくて、笑顔溢れる、HOLLYWOODらしい最高のパーティーで10周年を飾ることができました。言葉では言い尽くせないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。みんな本当にありがとう!!

 それではお粗末ながらもパーティー・リポート始めさせていただきます。


 27日夕方、釧路空港に降り立った須永さんと、急遽来訪が決定したシンガーのCAYOさん(SHIBUYA-FMの須永さんの番組でアシスタントをされています)。もうかれこれ5度目になりますが、この瞬間はいつも緊張して足が震えます。須永さんから放たれるものすごいオーラ、CAYOさんはモデル出身の完璧なプロポーションで、毎度の事ですが周囲から浮きまくっています(笑)。

 別海へ向かう車中では現在取り掛かっている新作のお話や、抱腹絶倒のDiggin'エピソードなど、興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。広大な根釧台地の中、車を走らせていると須永さんが一言。

「しっかし車とすれ違わないな〜」(笑)。

 パーティーは21時オープン。みなさん逸る気持ちを抑えきれないのか、いつもより客足が早めです。前座は僭越ながらも私、山本と中沢が務めさせてもらい、23時、お客さんの今にも破裂しそうな期待感の中、須永さんのDJがいよいよスタート。

 中沢の流れを受け、須永さんはハウスからスタート。今日のフロアの様子を伺っている感じでしょうか。ファットな4つ打ちで、お客さんのテンションが徐々に上がっていくのがわかります。曲調が次第にパーカッシブになり、ジャジーなテイストになったところで突如投入された、「夜はジャズなのだ!」という本編スタートを高らかに宣言するかのようなSEで、フロアが一気に加速していきます。そこからは阿川泰子の“Send One Your Love” (ニコラ・コンテ・リミックス)、quasimodeの“Down In The Village”等を経て、遂に投下されたのがSoil & Pimp Sessionsの“Summer Goddess”!!!フロアから怒号とも狂喜ともつかない大歓声があがります。やべぇちびる……。さらにそこからエゴ・ラッピンの“色彩のブルース”の中森明菜のカヴァー(!!)からオリジナルへのミックスと来れば完全にフロアは須永さんの思うがまま。この序盤のセットだけで、もう完膚なきまで叩きのめされました。

左から『阿川泰子 / Send One Your Love (Nicola Conte New Perspective Rework)』 / 『quasimode / Down In The Village』 / 『Soil & Pimp Sessions / Summer Goddess』 / 『中森明菜 / 色彩のブルース』 / 『Ego-Wrappin / 色彩のブルース』

あるお客さんが

「僕は普段ジャズは聴かないんですけど、気付いたらいつの間にかジャズで踊っていて…。いや、ホント自分がジャズであんなに踊るなんて思ってなくて…もちろんジャズだけじゃなくてハウス、ボサノヴァ、ラテン、ヒップホップ、ドラムンベース、レゲエ…色んな音楽がかかるんですけど、その全てが“須永ワールド”っていうか…全部ジャズに聞こえるんですよ!!」

と言っていましたが、まさにその通り。「ジャズ」というと、どうしても敷居が高いイメージがありますが、そんな固定観念もガラガラと崩壊していくようなとてつもない構成力です。

 もちろんDJプレイだけじゃなく、須永さんのモーションとでもいうのでしょうか。ブース内での立ち居振る舞いが尋常じゃなく“艶やか”なんです。レコードをクルクルと回したり、プラッターをサッと撫でたり、ツマミをグリグリといじり回したり…その手さばきがとてもエロティック…。そしてその一つ一つの動作が異常に手早い!僕は「タンテさばきはDJの質に比例する」という持論を持っているのですが、これ、須永さんを見てたら納得でしょう?


タオルを巻いて華麗なタンテさばきを披露する姿はまさに職人。スタビライザーを使っているのもカッコイイ!!

 中盤はの「攻めモード」須永さん。旧譜音源のジャズでお客さんをどんどんディープな世界へとハメていきます。難易度高めの4ビートのモロ・ジャズでも、抜群の選曲でフロアのテンションが全く落ちない。いや、むしろ上がってるよなこれ…。ブースの前に群がるのは熱く燃える男達……いや女の子達も!これが「夜ジャズ」の世界か!? 時間はちょっと早いけど…(笑)。須永さんも凄いけど、お客さんも本当に凄いですよ!!

 音質が不安定な旧譜音源をかけると浮き彫りになってくるのが、須永さんの抜群のイコライジング(音質調整)。僕ら前座DJと同じ機材を使っているとは思えないほど、本当に音がキレイ!!!DJミキサーを覗き込んでみた人はお分かりだと思いますが、須永さんはHI(高音)・MID(中音)・LOW(低音)のツマミの位置がありえないほどあちこちに向いちゃってます(マニアックな話でゴメンナサイ)。しかもそのイコライジングは曲ごとに変えてるんですから、本当どういう耳してんだろう……??って唸るしかありません。

 「夜ジャズ」タイムをChristian Prommer's Drumlessonの“Strings of Life”で終えると(今月のPLAY TUNE参照)、ハウスに移行(この「ドン!」って入れてくるタイミングが絶妙なんだよなぁ)。Alexander O'Nealの“Lord-Bah Samba Remix”(いい曲です)の次に来たのが、何とドリカムの“Winter Song”のハウス・リミックス。あまりにもハウス・ビートに違和感なくマッチしてたから、サビになるまでこの曲と気付きませんでした。これがあまりにいいリミックスで!!「このブートは何だ!?」と思って後で探したら、普通にドリカムの正規CDに入ってるんですね……勉強不足でスミマセン……。

左から『Alexander O'Neal / Lord (ClubBah Mix)』 / 『Dremas Come True / Winter Song -Dancing Snowflakes Version-』

 この後は山下達郎“高気圧ガール”という、とびっきりのサプライズがあり(フロアはもちろん悶絶!)、そこからHOLLYWOODスタッフのBack to Backへ。一瞬「?」と思われた方もいると思いますが、これは須永さんとあらかじめパーティー前に約束していた事でありまして…。

 サウンドチェックの際、須永さんがおもむろに放った言葉が

「今日俺のDJの途中でお前らBack to Back入るからね」

あまりの衝撃に戸惑い、ビビッて絶句するスタッフ一同…。すると続けて須永さん。

「10周年なんだからお前らがやらないでどうする!!しっかりやれ!!」

この時は本当に本当に感動しました。マジで泣きそうだった。短い言葉だったけど、僕ら地元DJに気を配って頂いて……。DJセットとはお客さんを楽しませるエンターテイメントであると同時に、“アーティスト”としての表現手段でもあるわけですから。その途中で僕らをフィーチャーしてくれるなんて普通ありえないことです(汗)。

 まぁ結果は…………グダグダでしたが(笑)、おおいに盛り上げてもらったお客さんには大感謝です!! みなさんやさしいですホント……(泣)。


グダグダながらも必死なHOLLYWOOD DJs(笑)

 清野のビースティー“Ch Check It Out”から須永さんにバトンタッチする際は、須永さん、スクラッチで完璧にジャズにつないでました……。やはり百戦錬磨、次元が違います……(当たり前ですよね)。

 そこから「今日は東京から秘密兵器を連れてきました」という須永さんのMCと共に登場したのが前述のCAYOさん!!サプライズ・ライブです。ブースに入って自己紹介をするCAYOさん。お……お美しい…。ほ……細い…。顔が小さい……。まるで別の生き物のような(笑)CAYOさんの完璧な出で立ちにしばし見とれるお客さん。しかもアカペラで歌いだしたのが

「あなたの燃える手で♪ あたしを抱きしめて♪」

『愛の讃歌』だ!!!!!フロアからは凄い歓声!!!!!しかも須永さんが流しているバックトラックは今話題沸騰のINO HIDEFUMIの同名曲カヴァー!!!!!やばい…かっこよすぎ。ダビーなトラックに合わせて紡ぎだされるCAYOさんの声…。普段はボサノヴァなんかを歌ってるとのことでしたが、この情感溢れるソウルフルな歌声にはシビれまくりました。最後には「明日、養老牛温泉に一緒にいってくれる女の子募集中で〜す!!」と…。ステキだ…。女になりたい…(バカ)。

 CAYOさんは自分の出番以外でも終始フロアに出続けてお客さんとコミュニケーションを取っていました。本当にやさしくて、気配りが細やかな方です。今後もサポートさせていただきます!!!みんなもCD買おうね!!!!


CAYOさんのオフィシャル・サイトはhttp://www.cayo-net.com/
オフィシャル・ブログはhttp://cayo-blog.jugem.jp/ (今回のパーティーを取り上げていただきました!)

 パーティーも終盤。GAGLE〜ドラムンベース等、怒涛のPLAYを披露してくださった後、またもやスタッフのBack to Backを挟んで頂き(本当ありがとうございます…)、いよいよクライマックスへ向けて、待ってましたのサービスタイム。“千歳空港”(今月PLAY TUNE参照)〜荘野ジュリの“駅ニテ”〜beretの“Contrast”〜PE'Zの“人が夢を見るといふ事”の自作曲連打には、感激してえづきそうになりましたよホント!!!全部大好きな曲だけど、やっぱり本人が目の前でかけているといつもより何倍も良く聴こえる…なんて贅沢なんだ…つうかここ別海だよな…?。

左から『Sunaga t Experience / 千歳空港』 / 『荘野ジュリ / 駅ニテ (Sunaga t Experience remix)』 / 『beret / Contrast "Samba De Froresta Remix"』 / 『Pe'z / 人が夢を見るといふ事 ~Black Skyline~ Vocal Remix』

 思う存分浸っているところで、須永さんから乾杯のMC。いつもこの瞬間が最高なんです。須永さんもすごくニコニコしてます。

「HOLLYWOOD10周年ということで、呼んでもらえてすごく嬉しいです。ありがとう!!」

って、そんな事言われたら泣きますよ普通……。ここで圧巻の4時間オーバーのDJ本編は終了。この後はアフターアワーズとして、とんでもないいい曲を次から次へと解説入りで披露してくださる須永さん(曲名聞いておけばよかった…)。「じゃあ最後の一曲です!」「これが本当に本当に最後の一曲!」と繰り返す様子はかなり微笑ましかったです(笑)。ちなみに本当の最後の一曲はネーネーズの“No Woman, No Cry”(もちろんボブ・マーリーのカヴァーです)でした!!(感涙)。


当初の予定を大幅に超えるDJプレイ!!心行くまで堪能できました!!


 今回は10周年パーティーということで、思うことは山のようにありますが、パーティー中のスタッフ清野のMC一言が全てを表していたように思います。

「ぜ〜んぶみなさんのおかげです!!完全みなさんのおかげです!!」

なんのヒネリもない言葉に思えますが(笑)、10年やってこれた理由は本当にそれしかないんです。支持してくれた人がいたからこそ、人口2万人にも満たない、娯楽なんて何もない、ましてやクラブ・イベントなど成立するはずのないこの町で10年続けてこれたんです。本当に本当にありがとう!!

 また5周年パーティーからほぼ毎年登場してくださっている須永さんにも、最大級の謝辞を。HOLLYWOODをやってて良かった、別海にいて本当に良かった…というのは飛躍しすぎでしょうか?いえ、そんなことはありません。

  10周年パーティーは終わりましたがHOLLYWOODが終わるわけではありません(笑)。もちろん縮小もしません。むしろ、新しいやりたいことが多すぎて、いてもたってもいられないくらいです。これからも「OPEN MIND, FREE FORM, FUN & HAPPY」を合言葉に15年、20年と続けていけるよう頑張ります!! みなさん、これからもHOLLYWOODをどうぞよろしくお願いします!

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