ゴッドイーターバースト
〜緋色の魔眼〜
第2話
茜はツバキに朝、早々に呼び出された
本日付で新型神機使いが2名配属されるとのこと
一人は、極東支部より活動を開始する新人、日月遥人(たちもりはると)
もう一人は欧州支部より転属されたフィーナ・ルナ・スフィリム
ツバキは茜に二人の教練の依頼をしてきた
茜はすこし不思議に思った
新人である遥人に教練を行うのに問題はない
しかし、欧州支部より転属されたフィーナは資料をみたところ
部隊長に就任しており、すでに多くの経験を積んでいるように思われた
茜「ツバキさん、遥人さんの教練は分かります。しかし、フィーナさんもですか?」
ツバキ「ああ。そうだ。」
茜はツバキにその真意を問うてみた
ツバキはフィーナは現在、不安定な状態なのだという
欧州支部にいること、フィーナは新型神機使いとして申し分ない使い手だったのだという
しかし、ある出来事によってその頃の実力を十分に発揮できていないのだという
茜「・・・フィーナさんになにかあったのですね?」
ツバキ「さすがに鋭いな。そうだ。欧州支部にいるころフィーナは自分の目の前で仲間を死なせている」
やはり・・・
神機使いとはいえ、人間である
自分の目の前で仲間が死んでしまうことは計り知れない心の傷になる
常に死と隣り合わせということは神機使いであれば皆、知っている
故に明日生きていられないかもしれない
神機使いはそれ相当の覚悟が必要になる
ツバキ「いや、正確には自分のせいと思いこんでいるらしい。欧州支部の報告では・・・」
クアドリガ討伐戦において
部隊長であったフィーナは3名の仲間とともに任務に赴く
2名はフィーナと信頼関係が強く、連携も問題なかった
しかし、もう一人は新人の神機使いで経験も浅く
他の仲間との連携がうまくいってなかった
フィーナは他の仲間を守るように戦っていた
序盤は何事もなく順調に事は進んでいた
しかし、クアドリガが活性化したときにその出来事が起きた
急に突進してきたクアドリガの弱点を撃ち抜きひるみを狙ったフィーナの
射線上に急に割り込んできた新人にヒット
硬直状態になった仲間がそのままクアドリガの突進をもろに食らってしまった
すぐにリンクエイド等の処置を行ったが、あまりにダメージが大きすぎた
この出来事のあと、フィーナは自分を責めてしまった
結果、仲間が自分の目の前に来ると途端に動きが悪くなってしまうということになってしまった
戦果もほとんど上げられなくなり、部隊長を解任
果てはほぼ左遷と言った形でこの極東支部に転属となった
茜「一筋縄ではいかないと行ったところ・・・ですね」
ツバキ「お前には苦労をかける。しかし、お前ならフィーナを復帰させることができると判断した上の頼みだ」
正直、茜はフィーナを戦線復帰させる自信は無かった
しかしながら、0部隊隊長として断るわけにはいかなかった。
教練隊に入隊する以上、使えるゴッドイーターにしなくてはならない
茜「ツバキさん。フィーナさんに関しては少々お時間がかかるかと思います」
ツバキ「かまわん。しっかり使える奴にしてやってくれ」
茜「はっ!」
茜はツバキに敬礼をして応えた
自分への鼓舞と決意を込めて
数時間後
フェンリル極東支部 ゴッドイーター訓練所
茜はさっそく、遥人とフィーナを訓練所に呼び出した
茜が集合時間少し前に訓練所に行くとそこにはすでに2人そろっていた
茜「2人とも早いわね。感心です。訓練前にまず自己紹介。私は西京院茜です。コードネームはAKANE。この教練部隊である0部隊の隊長を仰せつかっています」
遥人「日月遥人です。本日付でフェンリル極東支部に着任しました。コードネームはharutoです。よろしくお願いします」
フィーナ「フィーナ・ルナ・スフィリムです。同じく本日付でこちらに着任しました。コードネームはFeenaです」
自己紹介が終わったところで茜はさっそく、基礎訓練に移った
剣モードの扱い、銃モードの扱い、盾の扱い。それから捕食のレクチャーをしつつ行った
フィーナは経験者のため、そつなくこなした
遥人も、初めて扱ったわりには良い筋をしていた
茜は確かめたいことがあった
それは次の訓練で分かる
連携訓練
フィーナのトラウマがどの程度のものなのか、この目で確かめる必要がある
フィーナは連携と聞いて顔を曇らせたが茜は構わずに2人にイミテーションのオウガテイルとコクーンメイデンの連携討伐を命令した
どちらも新人には脅威の相手ではあるが、経験者のフィーナがいるならばさほど問題ではない
いざとなれば、茜がサポートに回る
茜「それでは、始め!」
茜の号令と共に2人は戦闘を展開する
遥人は素人ながらも攻撃を回避しつつ的確に剣戟をたたき込む
フィーナはそんな遥人を守るように立ち回り、大剣を振る
序盤は順調に事が運んでいた
しかし、やはり問題は起きた
フィーナがコクーンメイデンを銃撃しようとした瞬間、遥人がオウガテイルの攻撃を回避するために後ろに下がった
そのため、丁度フィーナの射線上に遥人が入り込んでしまった
フィーナ「あ・・・」
突如フィーナの顔が強ばり、動きを止めた
茜「フィーナ! オウガを撃ちなさい!!」
この場合、咄嗟に射線軸をずらして敵を再度補足するか、近くの別の敵に照準を合わせる。もしくは近接攻撃に移行する
と言ったことが考えられるが、フィーナは完全に思考が止まり棒立ちになっていた
茜が咄嗟に指示を出すがまるで聞こえていない
遥人を追っていたオウガテイルがフィーナを見つけ、そちらに攻撃の矛先を変え、襲いかかろうとした瞬間
オウガテイルは八つ裂きにされた
茜が咄嗟にオウガテイルを切り刻んだ
そして、残りのアラガミをも殲滅した
茜「訓練を終了します。フィーナさん、大丈夫ですか?」
フィーナ「あ・・・・あぁ・・・・」
フィーナの意識はほぼ飛びかかっていた
どうやら、トラウマが再発し思考停止しているのだろう
茜「遥人さん、フィーナさんをラボラトリの医務室に連れて行きます。手伝ってください」
遥人「はい!」
医務室でフィーナに鎮静剤を投与させた
すぐにフィーナは眠りに落ちた
とりあえずはこれで大丈夫だろうとのこと
茜「遥人さん。ありがとうね。あ、訓練の成果は上々です。次の訓練は実際にアナグラの外に出ての実地訓練になります。頑張りましょうね」
遥人「はい・・・。あの、フィーナさんは・・・」
茜「彼女なら大丈夫です。彼女もしっかり現地に送れるように訓練しますから。今は自分のことだけ考えていればいい。生き残るために・・・ね?」
遥人「はい」
茜「よろしい。では、今日はこれで解散します。ゆっくり休んでください」
遥人「お疲れ様でした!」
フィーナの現状を目の当たりにして茜は頭を悩ませていた
正直、戦闘中に意識が飛んでしまうほどのトラウマとは思っていなかった
相当深いトラウマのようだった
茜「私に・・・何が出来るんでしょうか・・・」
何か出来ること・・・。何が出来ること・・・
堂々巡りの思考の中、ふと思いつく
茜「アリサさんに、相談してみましょうか」
一人では思考のどつぼに填ってしまう
アリサなら、なにか解決策があるかもしれない
そう、彼女もトラウマがあった
しかし、それを乗り越えて今ここにいる
茜は医務室からアリサの部屋へと向かった
仲間を死なせないために・・・