ゴッドイーターバースト
〜緋色の魔眼〜

第3話

茜はフィーナのことを相談するためにアリサの部屋に来ていた
突然の訪問にもかかわらず快く部屋に入れてくれた

先程訓練で見せたフィーナの様子を事細かく報告した

アリサ「重症ですね。もしかしたら私より酷いことになっているのかも」

私より
アリサも以前、トラウマによって任務中に戦意喪失状態に陥ったことがある
その時は茜が新型神機同士の共鳴現象による精神介入によりアリサを引き上げた

今回は茜による精神介入は出来なかった

茜「アリサさんみたいにフィーナさんの精神に介入できませんでしたから、外的影響による改善しかないかと」
アリサ「ふむ。もしかすると精神介入の条件があるのかもしれませんが、それを探すより茜さんのおっしゃるとおりその方法で行きましょう」

とはいいつつも、解決のための糸口は全くなかった
とりあえずは、フィーナが目を覚ましたら話を聞いてみようということになった




茜とアリサがエントランスに降りてきたときに呼び声がかかった

「あ、茜さーん、アリサさーん!ちょっときてくださーい」

どこから呼ばれたのかとふたりでキョロキョロしていると、ミッションカウンターからだった

茜「ああ、ヒバリさん。どうかしましたか?」

ヒバリ「はい、ツバキさんから緊急の任務です」

緊急任務、しかも茜を名指しである
通常の任務ではないことがすぐにわかった

茜「了解です。ミッションのブリーフィングを」

ヒバリから緊急任務のブリーフィングファイルを受け取る

そこには非常に苦しい内容が書かれていた

西京院 茜 特務

複数の場所にて大型アラガミが複数発生。
そのうち、一番危険度の高い箇所のアラガミの排除を命ずる

場所:贖罪の街
確認アラガミ:ヤクシャ複数


アリサ「これは・・・」
横からのぞき見していたアリサがあまりの危険度に唸った
一体ならばそうでもないのだが、複数となれば話は別だ
攻撃力が高いため集団で襲われると目も当てられない

茜「でも、誰かが行かないとね。ツバキさんは私にそれが出来るから特務として依頼してきたのでしょう。ならば行くまでです」

そんな茜をみてアリサはやれやれと言った顔で
アリサ「そう言うと思った。ヒバリさん、この特務、私も随伴します」

ヒバリはアリサの申し出に、任務内容を確認する
特に随伴者の制限は記載されていなかった
基本的には特務は単独での行動であるが、任務者の要請。そして依頼者の許可があれば随伴は可能である

今回は、アリサの一存で随伴要請だったが、茜がそれを容認したと同時に随伴制限がないとのことで強引に随伴と言うことになった

このアラガミに対応した装備を2人は整える
ヤクシャは火、氷、雷属性が弱点との報告が上がっている
茜は刀身にホールドのあるショートブレードを
アリサは各属性弾を用意した

2人がアナグラから出ようとしていたとき、後ろから呼び声が聞こえた
振り返ると、そこには遥人の姿あった

茜「どうしたの?遥人さん」

遥人「私も・・・連れて行ってください!」

すぐさま、茜はその申し出を断った
ヤクシャは新人には非常に危険なアラガミだ。それを複数だ
そんなところに新人を連れて行くなんてことは出来ない
死にに行くようなものだ

遥人「でも・・・」

それでも食い下がる遥人にアリサはすこし事情があるのでは?と思い、その理由を問いだたした

遥人には両親が居ないとのこと
2人ともアラガミに殺されてしまったとのこと
そのアラガミは今回討伐対象となっているヤクシャという
そのことを知ったのはつい最近のことであり、遥人は両親の敵を取るためにゴッドイーターになったという
まさか、こんなに早く、その機会が来るとは思いもしなかったと

茜「・・・長距離からの支援が足りないのよねぇ」
アリサ「茜さん?」
茜「あら、遥人さん。丁度良いところに。訓練しましょう。長距離からの支援。立ち回りは移動中に教えるから。出来るわね?」

遥人「隊長・・・。はい、出来ます!」

茜は遥人を特務の同行を許した
もちろん、遥人の事情を汲んだ上の判断
しかし、危険性については先程説明した
遥人もそれは覚悟の上だろう

いざとなれば、私が盾になる

おそらくはアリサもそのつもりだろう

願わくば誰も無傷で帰還できますように・・・
茜はそう強く思いながら戦地へと赴いた
















贖罪の街に到着すると偵察と防衛部隊がすでに展開しており
ヤクシャを補足していてくれた

詳しく話を聞くと、ヤクシャは全部で5体。
すでに、偵察、防衛共に被害がでているとのこと

速やかに対処する必要がある

ヤクシャは右腕に砲身を備えた鬼神のようなアラガミで
元々集団で行動するアラガミだ
視界は広い反面、聴覚は鈍いため静かに近づけば気づかれることなく
先制攻撃ができるだろう

茜とアリサ、そして遥人はその点に留意しながら戦闘を行うことになった

偵察部隊の報告の場所に到着した
そこには視認できるだけで3体
他2体がどこかにいるだろう

今回のロール(役割)はこうだ

前衛として近距離を茜が
後衛として遠距離をアリサが
そして、支援として遥人が受け持つことになった
遥人に関しては、危機を感じ次第戦場より離脱する旨を伝えた

茜「よし、じゃあ行こうか!」

茜の合図で3人はヤクシャ討伐を開始した






まずは、3体の相手をするより、確実に数を減らすため
どこかにいる2体の探索に入る
少し、探すと3体のいる場所から丁度、街の廃墟の建物となっているところを挟んで
反対側に2体が居た

茜がアリサに1体だけこちらにおびき出せないかと提案すると
アリサは他の1体に分からないようにバレットを射出
手前の1体に当てた
するとヤクシャ1体だけがこちらを発見し近づいてきた
どうやら、うまくいったようだ

複数のアラガミを相手にする場合、どう敵を分断するかが
鍵となってくる

聴覚が鈍いだけあって、この作戦は良策といえるだろう

1体となってしまえば、茜、アリサの前ではさほど脅威ではない
ただ、遥人の方に行ってしまわないように留意するだけだった

ヤクシャの砲撃をよけながらまず茜が接近する
ホールドスキルのある獣剣をステップを巧みに使い
確実にダメージを与えていく。
そんな、茜の援護をするかのようにアリサが的確に弱点部位へと
砲撃を打ち込んでいく。
遥人は、茜がよけきれなかった時に受けたダメージを
回復弾を使って支援していく

端から見れば非常に連携力のあるパーティである
遥人は新人にしては非常に高い適応力、そして思考力。加えて判断力を備えている
茜は戦いながら遥人の潜在力の高さに唸りを上げた

茜「よい、ゴッドイーターになりそうですね」

茜のいう良いゴッドイーターとは、生存力の高い者のことである
いくら、技術があろうが、生存力が無ければまったく意味を成さない
生きていてこその技術なのだ

そうこうしているうちにヤクシャ1体の討伐に成功した
続いて2体目

2体目は遥人も慣れてきたのか回復弾だけでなく、銃撃も混ぜ始めた
積極的な攻撃ではないが、十分支援として成り立っている

2体目は1体目よりも早く片付けることが出来た

ふぅ。と茜がため息をついて一息入れていると
ドクン・・・

なにか嫌な予感がした

こういうときは決まって予想外のことが起きる
慌てて、周囲を確認すると

先程まで反対側にいたはずのヤクシャ3体が茜たちを囲んでいた
冗談ではない
1体ずつならばまだ、このパーティなら大丈夫だった
しかし、3体同時になると話は別である
ほぼ全方位からの攻撃に対処しないといけなくなる
そうなると、遥人を気に掛けながらの戦闘は無理だ
一挙手一投足に全神経を集中し相手の攻撃を見極めなければならない
その状況下で遥人を守りながらはどうみても無理であった

茜「遥人さん!今すぐここから離脱しなさい!私とアリサは遥人さん離脱の援護を!」

茜が怒声のような指示をアリサと遥人に与える
事の重大さに遥人もすぐさま返事をした後、この場からの離脱を試みた

まずは、ヤクシャ達の注意をこちらに引き付けるため、茜とアリサはヤクシャ3体に均等に銃撃を試みる
聴覚に鈍いヤクシャならば、注意をこちらに引き付けた後、遥人が静かに離脱すれば大丈夫だと踏んだからだ

目論見通り、ヤクシャ3体を茜たちに向かせることに成功した
その隙に、遥人がヤクシャのそばを抜けて行こうとしたとき
1体のヤクシャが遥人に気づいた

無防備だった遥人はヤクシャの行動に反応が遅れた
ヤクシャの攻撃を咄嗟に防御しようとしたのだが
ほんの少し間に合わなかった
ヤクシャの攻撃。何かに当たると爆発する弾を受けてしまった

遥人は宙に舞うように悲鳴を上げながら吹き飛んでいってしまった

茜「遥人さん! アリサ!私にバーストを!」

茜はアリサにアラガミバレットの受け渡しを要求した
アラガミバレットを受け渡されることにより、身体がバースト状態になり身体能力が向上し
移動速度が上がるからだ

アリサは3発のアラガミバレットを射出した
受け渡された茜は急いで遥人の元へ向かおうとするが、
それを他のヤクシャに防がれてしまった

こんなときに!

しかし、茜はこの時若干の違和感を感じた
ヤクシャは聴覚が鈍いはずである
ならば、遥人が通り過ぎるとき何故気づかれたのか。
遥人にはあらかじめ、彼女を守るため消音のスキルを付けていたはずだ。

アラガミの特性とスキルの効果から見つかることはまずあり得ない。
しかし、現に彼女はアラガミに見つかり、生命の危機に扮している

茜「いや、そんなことは後!今は遥人さんを!」

まずは、目の前のヤクシャを何とかしなければ
倒すことは考えるな
如何に抜けていくかを考えるんだ

茜は自分にそう言い聞かせながらヤクシャに攻撃を当てていく
数回の攻撃の後ヤクシャが怯んだ

ここだ!

茜はこの瞬間にヤクシャをすり抜けて遥人のところへ走った
しかし、茜はその先にいる遥人の近くに先程遥人を襲ったヤクシャがいることをみてしまった

この状態で、さらに遥人が攻撃を受ければほぼ生存は絶望的
しかし、バースト状態になった今ですら攻撃される前にそこにたどり着くのは不可能

どうすればいい。
考えろ
考えるんだ

ふと、茜に案が浮かんだ。
しかし、それは自分の身を危険にさらすばかりか下手をすれば自分自身がアラガミになってしまうかもしれないというもの
だが、悠長なことは言ってられない

茜「アリサ、バーストのレベルを上げる!バレットの引き渡しを!!!」

アリサは耳を疑った
通常ゴッドイーターのバーストはゴッドイーターの安全も考えてアラガミバレット3発が限度とされている
それ以上はゴッドイーターに何が起きるか分からない。下手をすれば神機がゴッドイーターを侵食し
アラガミ化してしまう恐れもあるからだ

茜「アリサ、早く!」

茜はアリサに再度要求してくる

アリサは迷っていた
確かに過剰バーストを行えばさらに身体能力が上がり遥人の元にたどり着けるかもしれない
しかし、それにはあまりにリスクが大きすぎる

茜はアリサが迷っていることは見て分かっていた
だが、それでも自分で自分にバーストのレベルを上げることは出来ない
それ故の苦渋の決断なのであった

茜「私なら大丈夫! 今は遥人さんを助けることだけを考えて!お願い!」

茜の叫びにアリサは頭を振った

まったく、この人は言い出したら聞かない人だ
そう言う人だった
これまでもいくつもの修羅場をくぐってきたあの人だ
今回も大丈夫だ。

アリサはそう自分に言い聞かせて神機の砲身をアリサに向けた
打ち込むは、アラガミバレットもてる分すべて

アリサ「茜さん!行きます!!!」

アリサは計6発のアラガミバレットを茜に打ち込んだ




茜にアラガミバレットが打ち込まれた直後
茜は、視界が真っ白になった

ああ、やっぱりだめだったのかな・・・

そんな風に思っていると
どこからか、声が聞こえた

「全く、我が主は無茶をする。我に食われるとは思わないのか?」

全く聞いたことがないはずなのに、なぜか知っているような感覚

茜はその声がすぐに神機によるものだと察知した
以前、自分の上司だったものの神機が人格をもち
茜とその上司だけが見える存在としていたことがあるからだ

茜「人ってね、時にはリスクを考えないで行動する者なのよ。そこに可能性がある限りね」
「く・・・はっはっは。我が主は相当な度胸持ちとみた。まぁ、そんなことは今まで何度も見てきたから分かってはいるがな。よかろう。我、これより主と共に生きることにいたそう。なに心配はいらん。すぐに元に戻れる。では、また会おうぞ!」


茜の視界がふっと戻された
しかし、体の感覚は今までと違う
踏み出せばまるで天高く飛べそうなくらい体が軽い

これなら行ける!

茜は力一杯、大地を蹴った
すると茜の体は地面に対して平行に滑るように跳躍していった
遥人の所に到着したのはほぼ一瞬
茜はすぐさま遥人を抱きかかえようとして更なる体の変化に気づいた
自分の両腕がショートブレードのように鋭利な剣と化していた
さらに自分の足は草食動物のように細く伸びていた。
そしてもう一つ。
これだけのスピードで動いたにもかかわらずしっかりと視認できていたのだ
通常ならばスピードが増すにつれ視認範囲は狭くなる
しかし、茜は通常と同じように視認できていたのだ。

また、この姿になっても自分の意志がはっきりとし、体には何も苦痛がないことに茜は驚いた

先程の神機の声

「共に生きることにいたそう」

これがその鍵なのではないだろうか

とりあえずは、そんなことより、遥人を守ることが先決
こんな腕では遥人を解放することはできない。

ならば、今見えているアラガミを駆逐するのみ

まず茜は、遥人の近くにいたヤクシャに標的を定めた
まずは軽く踏み出す。
それだけで、ヤクシャが感知できないほどのスピードで
後ろに回り込んだ
そのまま、ヤクシャの足を切る

まるで豆腐を切るかのような軽さでヤクシャの足が切断された
足が切られ、そのままヤクシャは前のめりに倒れ込んだ
そのまま茜はヤクシャの上に飛び乗り、まるで解体をするかのようにヤクシャを切り刻んだ

アリサは茜のその姿をみて恐怖を感じた
あまりに強すぎる
アラガミがあっという間にバラバラに解体されていた
茜は、そのまま残った2体も同じようにバラバラにしていた

全てが終わり、佇む茜をアリサはこう表現した
「緋色の目を持つ鬼神」

茜「アリサさん、遥人さんを・・・」

茜にそう言われて、急いで遥人の所に向かう
遥人は大きなダメージを受けているものの命に別状は無かった

ほっと胸をなで下ろしていると、茜のいる方角から
ドサッ
と、なにか物音が聞こえた
振り向くと、そこには元の姿に戻った茜が倒れていた。