ダンダンダンダン
私は足音を頼りに後を追っていきます
追っていくとだんだん、足音以外のノイズが聞こえてきました
いえ、ノイズというよりは歓声でしょうか
追っているうちに足音だけではなくうっすらと影を捉えるまで追いつきました
そして、その影は明かりのついている建物へと入っていきました
リトルバスターズ
Another miracle
新生活
続けざまにその建物の中にはいると
何故か
女の子が大きな男子を蹴り飛ばしていました
かえで「なっ!?」
何が何だか分からないので、歓声を上げている人に聞いてみました
かえで「すみません、これは一体どういう事ですか?」
「ん? なんだ知らないのか?」
かえで「明日からこの学園に通うものですから・・・」
「へぇ、転校生か。じゃあ、知らなくて仕方ないな。これは、まぁ、余興みたいなもんかな」
かえで「余興って、殴り合いがですか?」
「ああ、こいつらは本気じゃなくてじゃれ合ってるだけだからな、と言っても今日ばかりは誰にも止められんがな」
かえで「どういう事です?」
「恭介・・・ああ、こいつらのリーダーみたいなやつな。そこで寝てるやつ。そいつがいる所じゃないと喧嘩をしちゃならないルールらしい。で、その恭介だけど、今、就職活動から帰ってきてな。こいつら恭介が帰ってくるまで我慢してたから恭介が帰ってきて二人ともフラストレーションが爆発したんだろうなぁ」
かえで「それにしても、このままじゃ駄目です」
私は、喧嘩を止めるために先程の女の子と大きな男子の間に割って入ろうとしました
「あぶない!」
どこからか、声が聞こえると同時に私は・・・
バシッ!
両手で女の子の蹴りと男子のパンチを受け止めていました
かえで「ふぅ・・・いい加減にしてください」
気づくと周りの歓声が消え、静寂が満ちていました
私は、まず女の子の方を向きます
かえで「女の子なんですから、人を蹴ったりしてはいけません。分かりましたか?」
「なにぃ、邪魔するなー」
かえで「駄目なものは駄目です!」
反論してきたのでつい、きつい口調で制してしまいました
それに驚いたのか、急に猫のようにおとなしくなってしまいました
それを見て次は男子の方を
かえで「あなたも女の子に手を挙げてはいけません。それがどんな理由があろうともです」
「でもなぁ・・・」
かえで「言い訳は男らしくありません。それとも、あなたはそれほどの体格がありながら心は貧弱とでも言うんですか?」
「ぐぁ・・・すみませんでした」
そこまで言って
はっと我に返りました
かえで「やってしまいました・・・」
喧嘩を止めるためとはいえ面識もない人に説教をしてしましました
かえで「あ・・・と・・・えと・・・」
突然、罪悪感が出てきました
同時に恥ずかしくなってしまって
どもってしまいました・・・
「いや、喧嘩を止めてくれたことに感謝するぞ」
おたおたしていると、人混みの奥から制服を着た男性が近づいてきました
かえで「えと、すみません。転校したばかりなのに出過ぎた真似をしまして・・・」
ぺこぺこと頭を下げて謝る私
「そんなに謝ることはないさ。それより、あの二人の喧嘩を止めるなんてたいしたもんだ」
まわりから、「ああ、全くだ」とか、「一体何者なんだ」とか聞こえてきました
「ん?今、転校とか言ったな?」
かえで「あ、はい。明日から通学することになってます。2年の雪村かえでといいます」
「そうか、俺は3年の棗恭介(なつめきょうすけ)、いま、雪村が止めた女子の方は俺の妹、棗鈴(なつめりん)。そっちのでかいのが井ノ原真人(いのはらまさと)。あっちの胴着を来てるのが宮沢謙吾(みやざわけんご)、その近くにいるのが直枝理樹(なおえりき)。4人とも2年だ。もしかしたら雪村と同じクラスかもな」
私は、謝罪の意味を込めて周りに頭を数度下げました
かえで「大変お騒がせいたしました。失礼しますっ」
私は逃げるようにして自分の部屋へと戻りました
部屋へ戻った私は、ベッドに潜り込み、先程の自分の行いを恥じていました
かえで「来てそうそう、私は何をしているのでしょうか・・・」
そもそも、私はなんであそこへ行ったのでしょうか
・・・
もう、寝ましょう
はぁ・・・気が重いですね・・・
なんだかんだで疲れていたのでしょうか
いつの間にか、私は眠りのそこに落ちていきました
次の日
私はまず、職員室に向かいました
といっても、まだどこに何があるのか分からないので
朝、丁度、女子寮の入り口であった小毬さんに案内してもらいました
かえで「ありがとうございます。小毬ちゃん」
小毬「いえいえ〜。じゃ、かえちゃん。またね〜」
トテトテと、小走りで小毬さんは行きま・・・
ズルッドテッ!
かえで「またっ!?」
慣れないといけないのでしょうか
今回もどうやら怪我はなさそうです
小毬さんが道の角に消えてから
私は職員室に入りました
職員室で担任の先生に簡単に学園のことなどを教えてもらいました
その後、HRの時間になったので先生と教室の前まで来ました
担任「じゃあ、雪村はすこしここで待っていてくれ。呼ぶからな」
かえで「はい」
担任の先生が教室に入っていきました
どうやら、このあと私が呼ばれてクラスのみんなに紹介されるみたいです
かえで「なんで、心臓の鼓動が早くなってるんでしょう・・・」
初めは分かりませんでしたがすぐに、それは私が緊張しているからだと気づきました
担任「雪村ー、入りなさい」
呼ばれると鼓動はさらに早くなりました
ああ、大丈夫でしょうか
同じ方向の手と足が出ていませんよね?
教室にはいると、なにかこそこそと聞こえてきました
「おい、あの子昨日の」「ああ、あの二人をたった一人で止めた奴だ」
はぅ・・・
すっかり広まっているんですね・・・
担任「静かに。それじゃ、自己紹介してから、神北の横の空いてる席に座りなさい」
かえで「はい、雪村かえでです。訳あって小学校、中学校と行くことが出来ませんでした。集団生活に、慣れていなくて皆さんにはご迷惑をおかけするかと思いますがよろしくお願いします」
挨拶をすませると、私は先程、担任の先生が言われていたところの席に座りました
小毬「かえちゃん、かえちゃん」
かえで「小毬ちゃん、一緒のクラスに慣れましたね」
笑顔で隣の小毬ちゃんに応えます
ぐるっと、クラスを見回すと・・・
かえで「あらあら、随分と見知った顔がいますね」
小毬ちゃんに、来ヶ谷さん。
クドちゃんに、宮沢謙吾くん。それに昨日暴れていた、井ノ原真人くん。
そして、棗鈴ちゃんに直枝理樹くん
その瞬間、何かが頭の中で一瞬だけよぎりました
森のようなところで何かが・・・
小毬「・・・ちゃん?かえちゃん?」
かえで「えっ?ああ、ごめんなさい」
小毬ちゃんの呼びかけで意識が戻りました
それにしても、今のは・・・
休み時間に同じクラスの女の子が誰かを捜していました
かえで「どうかしましたか?」
「んー、雪村さん、棗さん見ませんでしたか?」
私は、ぐるっと教室を見回します
どうやら、棗さんはいないようです
かえで「もしかして、日直なのですか?」
「はい、もう、仕方ないなぁ・・・」
かえで「私が黒板を消しておきましょう。それと、棗さんには私から言っておきますから」
「え、でも・・・あ、そうか・・・」
始めは否定的だった女生徒さんも私の噂を聞いているのでしょう、すぐに納得してくださいました
「じゃあ、お願いします」
かえで「はい、任されました」
ぺこっと軽くお辞儀をして女生徒さんは私から離れていきました
かえで「さてと、棗さんを探しに行きましょう」
学園内を歩いていると
「にゃー」
鳴き声が聞こえました
かえで「猫?」
見回してみると
連絡通路の外れにたくさんの猫たちと一緒に棗さんがいました
どうやら、猫じゃらしで猫をかまっているように見えました
鈴「こっちだこっち・・・」
虎柄の猫を猫じゃらしでかまっています
猫も猫じゃらしに誘われて、右へ左へと追いかけます
その際もほかの猫たちが棗さんにちょっかいを出していました
鈴「ひゃ!」
どうやら、猫じゃらしを持つ反対の手をほかの猫が咬んだみたいでした
咬んだと言っても棗さんが痛がっている様子が無いところを見るとじゃれている・・・つまり甘咬みだということが分かりました
しばらく見ていると、誰かがやってきました
直枝理樹くんでした
理樹「ああ、こんな所にいた」
かえで「こんにちは、直枝くん」
理樹「ああ、えっと雪村さん・・・でしたっけ?」
かえで「はい、昨日はお恥ずかしいところをお見せしました」
理樹「いやいや、恭介も言ってたよ。鈴と真人の喧嘩を止めるなんてすごい奴だって」
かえで「はぅ・・・お転婆でなんかもう、恥ずかしいです。あ、そういえば、直枝さんは棗さんたちと仲がよろしいんですね?」
理樹「うん、子どもの時からの幼なじみなんだ。子どもの時は『リトルバスターズ』なんて名前を付けて遊んでいたなぁ」
かえで「リトルバスターズ?」
理樹「ほら、よくあるでしょ。悪を倒す正義の使者。僕たちはそれになろうとして色々したよ。蜂の巣を退治しようとして体に蜂蜜を塗った真人が突っ込んでいって、案の定、蜂にまとわりつかれた真人向かって殺虫剤に火をつけてまるで火炎放射器みたいなのを吹きかけたり」
かえで「あ、危ないですよ」
理樹「うん。僕もそう思う。火だるまになった真人を鈴がキック一発で卒倒させて地面に転がるように蹴り続けたり。まぁ、そのおかげで真人についてた火が消えたんだけどね」
かえで「ふふ、無茶をしますね」
理樹「でも、楽しかった。今でも、恭介が色々考えてくれる。恭介は僕らのリーダーみたいなものだからね」
かえで「そうですか、あ、そうだ。棗さんに注意勧告をしないと」
理樹「?」
私は、理樹くんから離れて棗さんに近づきます
かえで「棗さん、日直の仕事を忘れて遊んではだめですよ?」
鈴「遊んでなんか無い!」
あらあら、睨まれてしまいました
でも・・・
かえで「自分の役割はきちんとするべきですよ。誰も、猫と遊ぶなとは言ってませんし。役割を果たした後に遊べばいいのですよ」
丁寧に、棗さんに説明します
言葉は悪いですが、猫たちと遊んでいる姿を見ていると
心までは悪くなっているとは思えませんでした
理樹「僕もそう思うよ。鈴、最近、クラスから浮いてるみたいだし」
鈴「そんなこと無い」
理樹「じゃあ、誰か友達いるの?」
鈴「・・・後ろの席の子」
理樹「名前は?」
鈴「あう・・・えっと・・・」
直枝さんに問いつめられて口ごもってしまいました
助け船、出しましょう
かえで「直枝さん、その辺で結構ですよ。棗さん、とりあえず、黒板は消しておきましたから次からはちゃんとやってからほかのことをしましょう?」
鈴「・・・わかった」
次の授業からはちゃんと黒板を消す棗さんがいました
言えば分かってくれる子
みたいです
放課後
教科書とかを自分の鞄に詰めていると
なにやら話し声が聞こえてきました
断片的ですが、火星と戦争・・・
はい?
なにか突拍子もない会話が聞こえてきました
かえで「火星と戦争ですか。随分とSFチックな・・・」
特に用事も無かったのでそのまま女子寮に帰ることにしました
途中
小毬「かえちゃ〜ん」
トテトテと小毬ちゃんが走ってくる
かえで「小毬ちゃん、どうしたんですか?」
小毬「いっしょに帰ろう〜」
かえで「あ、うん」
私と小毬ちゃんは女子寮まで一緒に帰りました
小毬「あ、そうだ。かえちゃん、後で私のお部屋にきてくれないかな?」
かえで「? いいですけど、どうしました?」
小毬ちゃんはちょっと困ったような顔をしていました
小毬「課題、一緒にやりたいなぁって思ったの」
確かに今日は3科目課題がでていましたね
せっかくお誘いしてもらっているのですから一緒にやることにしましょう
かえで「はい、いいですよ。ご飯食べて、お風呂入ってからですから・・・7時頃お伺いしますね」
小毬「うん、わかったよー」
午後7時
事前に小毬ちゃんの部屋の場所を聞いていたので迷うことなく目的地に到着
コンコン
かえで「小毬ちゃんいますか?」
小毬「はーい」
トテトテトテといつもの走る音
ガチャ
小毬「いらっしゃい〜」
部屋着の小毬ちゃんが出迎えてくれました
中に入っていくと机や、ベッドなどが二つありました
それを見て私は気づきました
ここに来たときにもらった入寮の際の手引き書にこんな事が書いてありました
『ルームメイトを設けることが出来る』と
かえで「えっと、小毬ちゃん、ルームメイトさんがいらっしゃるのですね」
小毬「うん、でも、今日はかえちゃんがくるから〜って言ったら、出かけてくるって行っちゃった」
かえで「それは・・・悪いことをしちゃいましたか?」
小毬「ううん。大丈夫だよ。じゃあ、早速課題やっちゃお〜」
かえで「あ、はい」
テーブルにふたり対面で座って課題をこなしていきました
小毬ちゃんは英語はとくいで古文や文学。いわゆる国語が苦手のようでした
私は何というか、それなりにこなせます
逆に言えば器用貧乏と言うことになるのですが・・・
それでも、小毬ちゃんの分からないところ教えてあげられるのが嬉しいです
1時間半くらいで、課題を終わらせることが出来ました
小毬「ふぇ〜、かえちゃんがいて助かったよ〜」
かえで「いえいえ、こちらこそ、楽しかったですよ」
それから、しばらく小毬ちゃんの持ってきたお菓子を食べながら雑談をしました
かえで「あ、そろそろおいとましますね」
小毬「あ、うん。かえちゃん、今日はありがとう」
かえで「いえいえ、また一緒にやりましょうね」
小毬「うん!」
バイバイと手を振って小毬ちゃんの部屋を出ると
なにやら、廊下から声が聞こえてきました
何事かと、声のする方へ向かうと
知った顔が一人。
知らない顔が・・・えっと・・・4人
どうやら、口論しているみたいです
あ・・・
なんか、殴り合いに発展してます
止めないと・・・
かえで「やめてください!」
喧嘩を止めようと間に割って入ろうとすると
またもや、急に止められない攻撃が二方向から飛んできました
バシッ
なんなく、攻撃を受け止めることが出来ました
かえで「ふぅ・・・何があったのかは知りませんけど、喧嘩はよくありません」
「なんですの?あなた。邪魔しないでくださる?」
かえで「これ以上喧嘩をしないのなら、邪魔はしません」
「あなたには関係ないでしょう?」
む、聞き分けがありません
仕方ありませんね
かえで「駄目なものは駄目です!!」
少し、強めに説き伏せてみました
ビクッ!
と、なぜか棗さんのほうが身をすくめていました
一方相手側は
「っ、仕方ありませんわ。棗鈴、今日はこの方に免じて引いてあげますわ。行きますわよ!」
取り巻きを連れながら去っていきました
私は、棗さんに近づき
かえで「棗さん、出来れば喧嘩してほしくないです」
と頼んでみました
鈴「・・・」
棗さんは私への返答を考えているようでした
数分後
鈴「・・・善処する」
とりあえず、一歩前進でしょうか
かえで「はい、それで結構ですよ。もう遅いですから、私たちも戻りましょう」
鈴「・・・うん」
部屋の方向が違うので棗さんとは途中で別れました
別れ際、棗さんの耳になにかイヤホンの様なものがついていたのを見たのですが
あれはなんでしょう・・・
なんにせよ、登校初日、慣れないことで疲れました・・・
とりあえず、今日はもう、寝ることにしましょう・・・
to be next scene