WOA外伝〜虹色の弾丸〜

第二話 災害地到着

ガルド「それで、なんであのお嬢さんは気を落として居るんだ?」

ガルドとリチャードはギルドのマスタールームに帰ってきていた

リチャード「美坂栞」

ガルド「ん?」

リチャード「あの子の名前だ。美坂がファミリーネームで栞がファーストネームだ。覚えてやれ、いつまでもお嬢さんと呼んでやるなよ。子供扱いされるのを気にしているみたいだからな」

ガルド「分かった分かった。で、話しを戻すんだが」

リチャード「栞はな、人に避けられることを極度に嫌うんだ」

ガルド「なんだ? 寂しがり屋なのか?」

リチャード「平たく言えばそうだな。俺が日本にいるときに、俺の暴走に栞を巻き込んでしまってな。長いこと、床に伏せっていたんだ。そのせいで友達が居なくてな。瑞穂・・・昔の俺の相棒に俺を止めて貰って、栞はもとの生活に戻ることができたんだが、それ以来、仲間や友達を大切にしていてよ。なんというか人とのつながりというのを失いたくないんだな。それでさっきクラスを言うのをためらった訳だ」

ガルド「なるほど」

リチャード「栞は察したんだよ。自分のこの年や身なりでAA+クラスであると言えば皆一線を引いてしまうんじゃないだろうかってな。まぁ、普通はああなるがな」

ガルド「まぁな。俺も内心驚いたぞ。年不相応だもんな」

リチャード「そういうことだ。ハンターとしては逸材だが精神的にはまだまだ足りないところもある。まぁ、それでも大分成長したがな。腹の探り合いができるようになったのはいいことだ」

ガルド「そうだな。まだしばらくは栞についてやるのか?」

リチャード「ああ、しばらくと言わず一生ついてやる覚悟で居るがな。あいつは弟子である前に恩人でもあるからな」

ガルド「お前もいろいろあったようだな」

リチャード「まぁな。まぁ、俺の話はそのうちな。んで、栞はどこいったよ?」

ガルド「さぁ、上のロビーにいるんじゃないか?」

リチャード「大丈夫か、なんかのけ者にされてなければ良いんだが」

ガルド「じゃあ、行ってみるといい。俺は報告書を作らんといけんからな」

リチャード「分かった、じゃあ、またあとでな」

ガルド「おうよ」










リチャード「さてと、落ち込んでる栞を元気づける方法なんぞ俺は知らんぞ」

もし、落ち込んでいる栞がいたらどうしようかと考えながら移動していると
あっという間にロビーについてしまった
まぁ、なんとかなるかとロビーに入る

すると、そこには注目の的になっている栞の姿があった

リチャード「栞、随分人気者だな?」

栞「あのぅ、リチャードさん、助けてください」

どうやら、周りのハンター達から質問攻めにあっているらしい

リチャード「栞、良かったな」

栞「?」

リチャード「ここにもお前の仲間が沢山いる」

栞「・・・はい!」

栞はリチャードの言葉に始めはきょとんとしていたが、すぐに満面の笑みを浮かべた







しばらくして、栞とリチャードはマスタールームにいた

ガルド「栞、リチャード。仕事だ」

ガルドは栞とリチャードに資料を渡す

内容は、ここから数百キロ離れた都市に異変が発生しているとのことだった
その異変とは・・・

栞「死んだ人間が動き、生きた人間を襲っている・・・。グールですか?」

栞は日本にいたときに起きた事件のことを思い出していた
そのときも、生きた屍。グールが現れていた

ガルド「正確には違う。グールは魔術、或いは呪いによって行動させられているが、こいつらは、別なものらしい」

リチャード「別なもの?」

ガルド「ウイルスだ。感染すると体内の新陳代謝が異常になる。同時に脳も冒されるため、思考力が低下し動物のように本能に基づいた行動をとるようになる。んで、人間を襲うって言うのは単に養分摂取のためだな。その理由は新陳代謝の異常によって要求エネルギーが増大するからだ。」

栞「・・・私たちの仕事は、その都市の沈静化、ウイルスの駆除、ウイルスの発生源の調査と言ったところでしょうか?」

ガルド「うむ、そういうことだ。話が早くて助かる」

リチャード「なぁガルド、ウイルスの防疫策は当然あるんだろうな?ミイラ取りがミイラになりたくないぞ?」

ガルド「おうよ、心配するな。装備課に行ってウイルスキャンセラーをもってけ」

栞「了解しました。美坂栞、リチャード・ストライフ、現時点をもってハンティングミッションをスタートします」

ガルド「おう、気をつけてな。定時連絡を忘れずにな」

リチャード「ああ、じゃ、行ってくる!」






車を走らせること十数時間

栞「すっかり夜になっちゃいましたね」

リチャード「そうだな。夜間の到着は避けたかったんだがな」

夜間の活動はいろいろと制限が多い
まず、視野が狭くなる
それから、相手の動きが読みにくくなる

栞「心配ありません、まだ未熟とはいえハンターです。暗中状態での状況把握の手段は持ち合わせています」

リチャード「ん、そうだったな。しかし、日中状態に比べれば行動制限があることは間違いないからな。気をつけるに越したことはない」

栞「はい」

さらに2時間ほど車を走らせるとようやく街の中に入った

街の中は静寂に満ちていた

繁華街と思われる場所も、明かりこそついているものの喧騒が無い

栞「リチャードさん、視覚をダークネスビューで補強します」

リチャード「了解だ」

闇の魔法、ダークネスビュー

闇の部分にのみ視覚を強化する魔法である
現代科学においても暗闇において視覚を確保する
ナイトビジョン、或いはスターライトスコープと呼ばれる装備が存在する
それは微量の光源を電気的に増幅して視界を確保するものだが欠点がある
それは、大量の光源も増幅してしまうことである
結果、まるでフラッシュを見ているような状態になり
目がくらんでしまう

その点、ダークネスビューは、大量の光源に阻害されることはない
つまりは、夜や光源の無いところでも昼間のような視覚を得ることができるのだ

リチャード「栞、分散行動だ。お前は北方面、俺は南方面を探索する」


栞「了解。1時間ごとに定時連絡。3時間ごとに各自に本部に定時連絡でいいですか?」

栞は通信用のインカムを付け、バックパックからコンパスを取り出し、現在位置を確認すると、ホルスターから銃を取り出しスライドを引く

リチャード「完璧だ。では、行け!」












数分後


栞は、ラクーンシティ北部の探索を初めてすぐに異変を察知する

栞「血なまぐさい・・・」

よく見るとそこらに血だまりの跡がある

そこからさらに、血の引きずった跡を見つけると銃を構えゆっくりと辿っていく

それは、路地裏に続いており、その先には、誰かが暗がりで何かをしていた
ダークネスビューによって視覚が強化されているおかげで、その人が地面に跪き何かを犬のように食べているように見えた

栞「そこで・・・なにをしているのですか?」

栞は10メートルほど距離をおいて、声をかけてみた
何かを食べている人は声をかけてられその行動を止め、こちらに向かって立ち上がった

栞「!」

栞が見たものは、人の姿をしているものの顔中血まみれで肌の色は土気色をしていた

「グゥゥゥゥ」

まるで獣のようなうなり声を上げながら、こちらに近づいてくる

本能的に危機を察知した栞は、銃を向けながらも、先程この人が食べていたものを見る

栞「・・・・これが、ウイルスの影響ですか」

それは、あちこちが食い破られた人だった

数時間前、ガルドが言っていたことを思い出し、ガルドからもたらされた情報が正しいことを認識した

栞「あ・・・」

栞は、ギルドでもらったウイルスキャンセラーを起動させた
これは、風と水の魔法を利用し、空気中に存在するウイルスと水分に存在するウイルスを除去できる魔道具である
すでに体内に入り込んだウイルスさえも除去できるため、ウイルス汚染地帯での活動には必須品である

栞「・・・かわいそうですが、この姿でいるのは辛いですよね」

栞は覚悟を決め、理性を失った怪物と化した者の頭を撃ち抜く

いくらウイルスに冒されているとも、体の制御を行っている脳髄を撃ち抜いてしまえば立ち上がることはないだろう

栞「もしかしたら、まだ生存者が居るかも知れませんね」

栞は、銃をチェックし、異常がないことを確認すると、さらに奥に進んでいった










一方、リチャードも同じく、ウイルスに冒された人間と接触していた

リチャード「なるほどなるほど。痛覚が無い分耐久力は高いが、動きが鈍い」

この怪物は手足に銃弾を撃ち込む程度では怯むことなくこちらに突き進んでくる
だが、まるで体を引きずるように動くため全体の動きは襲い

リチャード「まるで、ゾンビ・・・だな」

リチャードは昔見た、ホラー映画を思い出していた
その映画に出ていた怪物もこんな感じだった

だが、これは映画じゃない
夢でも幻想でもない

現実

リチャードは探す

ほんの少しでもいい
教え子からくる連絡を受けるために体を止められる場所を

襲い来るゾンビを振り切りながらリチャードは大きな建物に目を向ける
どうやら、この街の警察署のようだ

リチャード「ここならば・・・」

安全という保証は無いが、このまま外にいるよりは確実に安全だ
身を隠す部屋もあるだろう

リチャードは、迷うことなく署内に入っていった





再び、栞に話は戻る

路地裏を抜けるとそこは、教会がそびえ立っていた

栞「ふむ・・・とりあえずはいって・・・!!」

見通しの良いところに出たのだが栞はすぐさま身を隠した
そこには夥しい数のゾンビが群がっていた
よく見ると教会の入り口が少し開きかかっており、内側から必死になってゾンビの進入を阻止しているように見えた

栞「生存者が居るようですね。助けないと・・・」

栞は銃のマガジンを抜き残段数を確認する

そして、残りのマガジン数も確認する

栞「足りない・・・でも、体術も使えばなんとか」

栞は、目を閉じて、これから行う戦闘のシミュレーションを頭の中で瞬時に行う
無駄な弾、無駄な動きを省くために栞がいつも戦闘前に行うことだった

栞「よし・・・」

目に闘志を宿し、栞は群がるゾンビの中へ突入する!

栞「シルフィードダンス!」

アブストラクション、シルフィードダンスを使用し、高速移動状態になる
もともと動きの鈍いゾンビに、シルフィードダンスを使えば
それらは、その動きに追従することができない
しかし、こうも数が多いとなれば話は別である
数が多ければ囲まれる
囲まれれば、行動は制限され切り抜けるのが困難となる
栞はそれを防ぐために、始めから高速状態となり
戦闘に望んでいる

栞は的確に、進行上にいるゾンビだけを倒して道を切り開いていく
しかし、その道もすぐにゾンビ達に埋まっていってしまう
帰り道は無いのだ
進むしかない

栞は確実に入り口に近づいていく
あと少し・・・

だが、敵はあまりに多かった

あと数メートルと言うところで残弾数がゼロになった

あっという間に囲まれ始める

栞「どいて・・・ください!!!」

囲まれた状態においても栞の目の闘志は消えることはなかった
弾の切れた銃をホルスターにしまうと
そのまま、入り口に群がっているゾンビ達に飛び込む

栞「美坂流練気術!龍爪螺旋脚!!!」

逆立ち状態から足を大きく開き、そのまま回転することで
周囲のゾンビ達を文字通り吹き飛ばした

日本にいるときに姉から教わった体術
銃が使えないときの技
これが、栞の命綱の一つとなる切り札である

そのまま滑り込むように、教会に入り扉を封印した

栞「はぁ・・・はぁ・・・」

滅多に使うことのない体術は一時的に栞の体力を消耗させた
しかし、日本にいた頃よりは遙かに体力は増加している
そして、リチャードとの訓練により栞は体力を早期に回復させる術を習得していた

息が整うと栞はまず状況の確認をした
ざっと見たところ周りには男性が二人、女性が一人

そして、未確認の気配が数体

突然の来訪者に三人は
驚くと同時に疑いの目を栞に向けてきた
それもそのはずである

三人は先程、栞がなぎ倒してきたゾンビ達に追われ
ようやくこの教会へと逃げ込んできたのだ
そして安堵する間もなく、よく分からないモノが周りにいるのだ

疑いを持つのも当然のことである
栞は三人に自分が通常の理性をある人間であることを説明した
男性の内一人と女性は信用してくれたが
もう一人の男性はこの大量のゾンビの中をかいくぐってきたことを信じず、なかなか信用してくれなかった

栞はそれも仕方ないと、とりあえずは敵ではないということ意思表示だけしておくだけで精一杯だった
それよりも、問題は先程から蠢く得体の知れない気配のことだ
一定の距離を保ってこちらを伺っているのが分かる

今、栞には残弾が無い
エルトリムを使えば残弾を気にすることは無いが極力それは使いたくない
エルトリムは威力が高すぎて、周りにも影響を及ぼしやすいのだ
しかも、建物内部で使用するならば必ずエルトリム使用の影響が出る
つまりはエルトリム使用のエネルギー余剰によって建物が破壊されるおそれがあるのだ
そうなれば、この三人を守ることが出来ない
それに、栞は自分が異能力者であることをこの三人に知られたくなかった
知られれば、ギルドの掟「むやみに自身の能力を知られてはならない」に反してしまうと思ったからである

とりあえず、ここに居続けるのは危険と判断
三人を促し、武器弾薬を探すことを提案した
教会といえど、なにかあるかもしれない
最悪の場合はアブストラクション・マジックバレットを使うしかない
これならば、三人に異能力者であることはバレないだろう

早速移動しようとしたとき、先程、栞に懐疑の念を持っている男性が反論しだした
むやみに動くより、ここに留まっていた方が安全だという
しかし、こちらは武器を使うことが出来ない
それでは、ただやられるのを待つだけである
栞はなんとか説得して男性も一緒に連れて行こうとしたが
男性は栞の意図に気づくこともなく逆に興奮しだし、最後には座り込んでしまった

栞は仕方なく、男性を置いて行くことにした
何かあったら大声を出すように男性に念を押しておいた
栞は、男性と女性の二人で教会内の探索を始めた

改めて見回すと、どうやら2階建て構造の教会のようだ
栞はまず、一階から回ることにした
探索の途中、男性と女性から話を聞くことが出来た
男性の名前はフレデリック
女性の名前はチェスター

二人ともこの街に住む住人であった
二人によると、数日前から怪事件が発生していたそうだ
それは、何かに食いちぎられた死体が街のあちこちに転がっているというもの
先程、人が人を食べていた光景を見た栞はそれが今、教会の外にいる
夥しい数のゾンビの仕業であることが分かった

問題は、なぜゾンビが発生したかと言うことである
それを見つけない限りこの街は救われない
そして、今は何か武器を見つけなければ
ここから出られない
ここから出られなければジリ貧である
いずれは、あのゾンビ達に扉を開けられ、力を持たないこの人達は
生き残ることは出来ないだろう
栞はなんとかそれだけは避けなければならなかった
ハンターとして、理性ある人間として

だから、今気にかかることは、先程置いてきた男性の事である
何事もなければ良いが、得体のしれない気配は未だ消えてはいない

数カ所部屋を探索すると拳銃2丁と多くの弾薬が見つかった
どれも9mmパラベラム弾であった
栞の持っている銃もこの弾薬が使えた
とりあえずは、武器の確保が済んだ
栞は急いで、残してきた男性の元へと向かった

その最中

「うわああああああああ!」

叫び声が聞こえてきた
声の主は、おそらく先程の男性

間に合ってと祈りつつ、栞は全速力で
先程の男性がいた場所へと戻る

そこには、足を怪我したがなんとか無事である男性と
得体の知れない奇妙な生物がいた

一瞬、蛙の大きくしたやつかとも思ったがどうやら違うらしい
それは、おそらく、人間だった生物
所々に人間の名残のようなモノがあるが
形状が著しく変わってしまっている
頭は脳が露出し、左腕は異常に発達している
そして、その先には大きな爪がついている
よく見ると、どうやら目の部分が皮膚で覆われ眼球が見えない

おもむろに栞は地面に転がっていた何かの破片を生物の真横に放り投げた
破片が地面に落ちた瞬間、生物は異常な反応を見せた

栞「なるほど。皆さん、危ないですから、なるべく大きな音を立てないように私の後ろにいてください」

栞は周りにいる人たちだけに聞こえるよう小声で指示を出した
言われるがまま、フレデリックとチェスターが怪我をした男性を連れて栞の後ろに回る

それを確認してから栞は弾薬を装填した銃をホルスターから抜き取る

そして、小さく小さくつぶやく

栞「契約に基づき、大気に流れし風よ、我が周りを真空の刃で護り賜え。バキュームフィールド!」

風の魔法、バキュームフィールド
術者の周囲に真空波を常時発生させ、効果範囲内に進入してくる物体を真空で切り刻む攻防一体型の防御魔法である
しかし、栞は今回、この魔法を全く違った意味で発動させた

音は、空気の振動によって伝わる
つまり、空気がなければ音は伝わらことはない
栞に前にいる生物は聴覚によって周囲の状況を把握していると踏んだ栞はこちらの音を伝わらせないように
周囲を真空で包むこの魔法を使ったのだ

しかし、この魔法の欠点はこちらの音は伝わらないが、むこうの音も伝わらないと言うことである
さらには、音だけでなく微妙な風の変化も感じられないため触覚器官も制限される

戦闘に置いて、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、そして霊感とも超能力とも言われる第六感覚が必要となる
これらの感覚が鋭ければ鋭いほど戦闘に影響する
感覚の欠落を防ぐため、栞はもう一つの魔法を発動させる

栞「セパレーションセンス!」

これは、精霊魔法ではない
自身の魔力を使用した自己魔法である
魔法は、どのような魔法なのかを設定した魔法理論
魔法の発動設定
そして、必要魔力の設定
これを組み合わせれば自己の魔法を組むことが出来る

この中で一番難しいのが魔法の核となる魔法理論である
勿論理論を組むためには高い魔法的知識が必要となる
精霊魔法は精霊の持っている魔法理論を拝借して発動するため
発動条件と魔力のコントロールだけで使うことが出来るのだ
その他にも精霊と契約することによって発動条件の緩和、魔力の補填支援などの恩恵が受けられる

この自己魔法も組むまでが大変であって、出来上がってしまえば精霊魔法と大差ない
言ってしまえば、魔法理論を誰かに組んでもらってそれを譲渡してもらって使うことも可能である

今回の魔法は日本にいるときに雪村瑞穂が組んだ魔法を教えてもらって使えるようになった
「ガンナーはこれが必要になるからね」と

セパレーションセンス
これは、文字通り、感覚を分離させることである
では、どこに分離させるのか。
それは任意で行うことが出来る
今回は、聴覚だけをバキュームフィールド外に設定し使うことによって
聴覚制限を防いだのである

つまり、栞はバキュームフィールド内にいながら外の音を感知することが可能になったのだ

この状態になってしまえば、後は栞が有利な状況下である
異形な怪物に探知されることなく、最小限の弾数でそれを撃破した
しかし、未だ気配が消えない

栞はバキュームフィールドを解除し、周りの探索を始める
しかし、教会内は明かりが少なく、見えない部分が多い
ここで、栞は暗闇でも視界の確保できるダークネスビューを発動させる

ここに来る前にもその魔法を使っていたのだが、栞はまだ複数の魔法を同時使用することに慣れていない
特に精霊魔法の同時使用において発動時には魔力の負荷が高いのである
今回は先程、バキュームフィールドを使うためにダークネスビューを解除していたのである

視界を確保した栞は闇の中に蠢くモノを数体認識することが出来た
栞は考えていた、この人数で音を立てずに切り抜けるためには
自分が全ての怪物を倒す方が良いのか
それとも、この教会からなんとか抜け出した方が良いのか

前者は、周りの人間が絶対に音を立てないという条件がつく
後者は、外にあふれるゾンビを対処しなければならないという条件がつく

だが、この場所に留まっていても助けが来る保証がない
そこまで考えてふと思い出した

栞「あ、定時連絡・・・」

そうリチャードとの定時連絡である
お互いの無事と状況を知るための大事な連絡である
栞は、インカムの通信をオンにした

ギルド製、通信用インカム
これは、通常のインカムではない
ギルドの技術を利用した、高性能のインカムである
魔法的技術を取り込んでいるため、通信距離は半径100Km
特殊な状況下でなければ、通信妨害を受けることもない
また、距離によるタイムラグも起きることはない
栞達が行っているような広範囲のハンティングミッションのような場合の
通信手段としてハンターに広く配布されている

栞「リチャードさん、こちら栞です。応答願います」

リチャード「・・・栞か、待ちかねたぞ」