「グゥゥゥゥゥ・・・」
祐一「フレイムドライブ!!」
アルフに言われたとおり、祐一はグールに不死属性モンスターの弱点のひとつである火の属性の魔法を放つ
祐一の放ったそれは目標に向かって突き進む途中、その周辺にいるグールをも巻き込み燃やす
本来、フレイムドライブは一本の地をはしる炎を放つ魔法であるが、祐一の放ったマジックターボ状態のフレイムドライブは性能が強化されている
放たれた炎は普段のそれより太くなっており、また加給された魔力によって放たれた炎から周囲に向かって爆発する小さな火球を吹き出しながら突き進む
結果、通常よりも遙かに効果範囲の広がった魔法となった
この魔法を名付けるならば、フレイムドライブ・バースト
Wind Of Alchemist
〜錬金術師の風〜 集結
アルフ「どうやら、祐一くんのマジックターボは魔法強化と同時に魔法の性能を上げる事が出来るようですね。さすが、あの人達の息子。そして、この若さでこのポテンシャルまで引き上げた瑞穂さんと言ったところでしょうねぇ」
グールから秋子と名雪を守りつつ、祐一の一挙一動に目を配るアルフ
確かに華音ハンター学園に入学してから数々の体験をし、そのたびに超人的な成長を遂げている祐一は
既に学園内ではサードクラス並み・・・いやもしかするとそれ以上の魔法能力を持っていた
おそらく昇格試験を行えばハンターランクCにはかるく認定されるだろう
これは、アルフも漏らしていたとおり、まずは祐一の遺伝的なポテンシャルの高さ
現在は、魔界にいるという祐一の父親はクレストマジックの正統後継者
そして、母親はあの秋子の姉である。
言うなれば、祐一は魔術師のサラブレッドなのである
そして、祐一の能力を引き上げる要因となったのが雪村瑞穂の存在である
要所要所で、祐一の魔力を上昇させるように祐一に指示を与えていたのである
アルフ「しかし、きりがありませんね。それに・・・」
本来グールは自身のエネルギーの補充のみに動いており、他のグールと連携を取ることはない
しかし、ここにいるグールはなぜか連携を取るような動きになっている
アルフ「フォトンクラッシュ!」
アルフはグールの集団に光の塊をぶつけるが着弾寸前にグールは散開し、消滅したのは一体のみであった
それを見ていた祐一はある魔法の準備をする
祐一「右腕紋章刻印第一節開放!! 我に敵為す者に永遠なる厄災を! 我に仇為す者に永遠なる贖罪を!! エターナルギルティ!!!」
祐一はエターナルギルティをグールの集団の左端に打ち込む
その効果範囲からグール達は右側に逃げる
アルフ「それでは、だめだ!」
集まったグールは、魔法を発動させている祐一に狙いを付けて飛びかかった
祐一「それを待っていた! いっけぇぇぇぇ!!」
祐一はグールの動きに合わせ魔法を発動させたまま腕をグールの側に振り切る
グール達はその動きに間に合わず、光の中に消えていく
アルフ「なんと・・・」
祐一はエターナルギルティを発動させたまま腕を動かすことにより、効果範囲を拡げ逃げたグールを追撃したのだ
祐一「うまくいったぜ、っておい!」
ふたたびどこからともなく、グール達がやってくる
祐一「これじゃあ、倒しきる前に俺の魔力がきれちまう」
アルフ「・・・むぅ」
かなり成長したとはいえ、魔力が無尽蔵にあるわけではない
このままだとジリ貧になるのが目に見えていた
「伏せてください!」
どこからともなく、突如聞こえてきた声に二人は咄嗟に従う
「スタイルチェンジ! ウインドスタイル!!」
銀色に輝く髪をなびかせて、1人の少女が飛び込んでくる
そして、目にもとまらない超高速でグール達の足を撃ち抜いていく
栞「おねぇちゃん!」
香里「美坂流錬気術、煉獄脚!」
足を撃ち抜かれ、行動不能となったグールに香里は炎を纏った連続回し蹴りを放つ
香里「次です! 川澄先輩!」
舞「天翔夢陣流、五月雨」
舞は、超高速の突きを繰り出し周りのグール達を蹴散らす
そうして出来たグール達のいない地に
舞「佐祐理」
佐祐理「うん、全てを照らす聖なる光よ、全ての闇を遮る輝きの空間を作り給え! シャイニングフィールド!!」
名雪や祐一を囲むように半透明の光のドームが形成される
グール達はそれを無視するように近づこうとするが、触れた瞬間グールの体は灰と化す
栞「大丈夫ですか?祐一さん」
祐一「みんな来てくれたのか」
香里「ええ、あゆちゃんに聞いてね」
舞「あゆ、もう大丈夫」
あゆ「うぐぅ・・・」
舞に言われて、木陰に隠れていたあゆが光のドームの中に入ってくる
祐一「なんでそんなところに隠れていたんだ?」
あゆ「だって、ボク、魔法も攻撃も出来ないもん・・・」
佐祐理「そういうわけで、あゆちゃんにはバニッシュをかけて隠れて貰いました」
「うんうん、上出来上出来」
祐一「師匠!」
瑞穂も祐一達と合流する
瑞穂「さて、このグールだけど、どうやら、本当のネクロマンサーがいるみたいねぇ」
香里「本当の?どういうことですか?」
瑞穂はこれまでのいきさつと、現在の状況の推察について話す
祐一「じゃあ、最初の秋子さんを傷つけたのが本物だと?」
瑞穂「まぁ、そういうことね。ウルド、名雪ちゃんの様子は?」
そういうと、ウルドが名雪の影から浮き上がってくる
ウルド「問題ありません。あと、マスターからリンクして水瀬秋子の状態も把握、同じく問題ありません」
瑞穂「そう、よかった」
祐一「師匠、これ、誰です?」
あ〜と思い出したように声を漏らし
ウルドについても皆に説明する
アルフ「そうですか、名雪も眷属を」
瑞穂「やっぱり知ってたのね。さてとアルフ、そろそろあなたから正体を教えてくれないかしら、まぁ、大体見当は付いてるのだけど」
アルフ「やっぱりばれていましたか」
そう言われると、アルフは顔の淵に手をかけ一気にはぎ取る
祐一「ベタだな!」
スパイ映画に出てくるスパイが変装を解くような動作と言った方がしっくりくるだろう
瑞穂「お久しぶりです、幸信さん」
香里「先生、この人は?」
瑞穂「秋子さんの旦那さんで、名雪ちゃんのお父さん」
香里「え、名雪のお父さんはすでに亡くなっているはずでは・・・」
幸信「ゆっくりと話しをしたいところですが、とりあえず、これを片付けましょう」
瑞穂「了解です。ネクロマンサーの方はそちらに任せます」
幸信「分かりました、では、相沢祐一くん、一緒に来てくださいバックアップをお願いします」
祐一「俺がですか?」
瑞穂「頑張りなさい。大丈夫よ、今までの経験をフルに活用しなさい」
祐一「わ、分かりました」
幸信と祐一は光のドームから離れる
瑞穂「香里さんと佐祐理さんは秋子さんと名雪ちゃんの治療。それが済んだら支援と防衛をお願い」
香里&佐祐理「了解!」
瑞穂「舞さんと栞ちゃんは私と残ったグールを殲滅します。栞ちゃん、エルトリムのモードはフレイムかシャインよ。それ以外は効率が悪いわ」
栞「わかりました」
瑞穂「舞ちゃん、おちびちゃんはいる?」
舞「・・・」
舞の影からぴょこっと小さい舞がでてくる
まい「いるよー」
瑞穂「うん。じゃあ、ふたりで広範囲戦闘してください」
舞「・・・わかった」
まい「はーい」
瑞穂「ウルド、あなたの能力は、コピーの他になにがあるの?」
ウルド「影を経由して攻撃ができる。あとは夜であれば闇の濃度を濃くして不可視状態にできるが」
瑞穂「OK、それを使って4人のサポートをして、名雪ちゃんがまだ気を失ってるから魔力が不安定だとおもうから無理はしないで」
ウルド「了解した」
瑞穂「よし、指示完了。あとはセントラルから応援が来るはずだからなんとかなるわね」
一方、幸信と祐一はネクロマンサーの探索に入っていた
祐一「幸信さん、ところでどうやってネクロマンサーって奴を探すんですか?」
幸信「奴の能力である遺伝子複製。それを逆手に取る」
祐一「遺伝子複製・・・他人の遺伝子をコピーするのか!」
幸信「ほう、さすが瑞穂くんの弟子のことはある。その通りだ。遺伝子を複製することによって完全にその人物に成り代わることができる」
祐一「それを逆手に取るとは?」
幸信「君は人の魔力波動を判別できるかい?」
祐一「魔力を感じ取ることはできますが、判別までは」
幸信「ふむ・・・」
幸信は祐一の頭に手を乗せる
おもむろに手が光り始めると同時に祐一は妙な感覚を覚える
祐一「これは・・・」
幸信「これが魔力を判別すると言うことだ。イメージは人によって違うが、私の場合は魔力が色と形よって判別する」
祐一「俺のは・・・なんだこれ。顔?」
幸信「! まったく、瑞穂くんはとんでもない子を抱えているな」
祐一「どういうことです?」
幸信「いいかい、本来、魔力というものは目に見えない。それをイメージという形で擬似的に私たちが分かるように変換して認識している。それを君は『顔』という形で認識している。それはこれ以上ない判別能力だ。色や形だとどうしても似たものが多くなりやすく判別しにくいからね。さて、そろそろ仕事にかかろう。この周辺の魔力波動を探索するんだ」
祐一「・・・分かりました」
祐一は目を閉じ頭の中に浮かんでくるものに意識を集中する
祐一(自分の横にいるは幸信さん。少し離れたところに師匠達と顔になりきれない何か。これはグールか? ん・・・師匠達とは反対の方向に何かいる・・・。)
祐一はその魔力波動を判別した瞬間驚いた
祐一「幸信さんがもう1人いる!」
幸信「やっぱりそうか」
予測通りと言った様子で幸信は頷いている
祐一「どうして?」
幸信「さっき話しただろう。奴の能力は複製だ」
祐一「あ・・・」
祐一はようやく気づいた。
このネクロマンサーは水瀬幸信の魔力波動を複製しているのだ
幸信「祐一くんのそれにも欠点があるのだよ。魔力波動を複製されるとどちらが本物なのか分からないと言うことだ」
祐一「え・・・」
幸信の言葉を聞いて祐一は一歩後ずさる
幸信「そうだ、私は私が本物である証明ができない。ここから先は信頼の問題だ。祐一くん、私を信じてくれるか?」
幸信はまっすぐ祐一の目を見てそう言った
祐一はその目から微塵の揺らぎもない信頼を感じた
祐一「分かりました。信じます。もし、あなたが偽者ならばその時は容赦なく叩きつぶします!」
幸信「良い覚悟だ。では、いくぞ!」
祐一「はい!」
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