迎春・爆笑問題風どれみ原論2004 作/HTBC-PROCさん



田中> しかし、2003年もあっという間だったよね。1月末に『どれみ』が終わって、
   もう11ヶ月も経つなんて信じられないよ。

太田> そうだね……どれみさえ終わらなければ、救えた命が一体いくつあったのか……

田中> 何、不謹慎なこと言い出すんだよ!

太田> 皆さん、目を閉じて2003年を思い出してください。
   今年も世界中でたくさんの尊い命が失われました。

田中> 去年の紅白でのSMAPのメッセージかよ!

太田> また、目を覆いたくなるようなこともたくさんありました。
   ローズマリーがナージャのドレスをビリビリに破くシーンとか。

田中> 『明日のナージャ』は関係ねぇよ!

太田> 僕たちに今、何ができるのでしょう。
   そう、みんながどれみ復活を望んだら幸せな未来がやってくると思います。

田中> うるせぇ! 大体もう、どれみが帰ってくるって正式発表はあったんだよ!

太田> ええええっ!?!?!?!?

田中> わざとらしいよ!

太田> 曙がローズマリーに敗けた!?

田中> だからローズマリーは関係ねぇんだよ!
   それは紅白の裏番組で、ボブ・サップに3分でKOされた元横綱の曙の話だ!

太田> 恐ろしい女だ……。きっと紅白がそのKOの瞬間だけ視聴率で初めて敗けたのも、ローズマリーの陰謀だ! 間違いない!

田中> んなわけねぇだろ! しかも最後だけ、俺らの後輩の長井秀和のネタ使わなくってもいいんだよ!

太田> 最近、俺より調子いいみたいだし。フン。

田中> ふてくされるなよ! とにかく、どれみが復活するんだ。

太田> 本当に?

田中> ホントだよ。『おジャ魔女どれみ MEMORIAL CD BOX』のブックレットでのインタビューで、
   関プロデューサーが初めて新作の存在を公言したんだ。2004年中に「新作作ります!!」って。

太田> ふーん。

田中> 何だよ、随分と冷めてるな。

太田> 2004年ってことは、どれみたちはもう中学2年か。

田中> うーん、そうじゃないみたいだ。このインタビューに拠れば、
   「TV番組の宿命で、毎年2月に始まっていた『どれみ』シリーズは、少女ものであるにも拘らず、
   バレンタインデイやひな祭りのお話」ができなかったことを悔やんでるみたいだし、
   他にも「クラスメイトたちの話、家族の話、御町内での話、プールで遊んだ時の話や、
   学校帰りのちょっとした冒険」が描きたい、って言ってるし。

太田> へぇ。

田中> それに「どれみたちは小学生でなければならない」とも言ってるから、
   小学校時代の話で間違いないんじゃないかな。

太田> 遂に、誰もが主役回を渇望していた、あのクラスメートの主役回もあるかもしれないってことだな。

田中> うんうん。加納さんとかね。

太田> いや、猫背とマツゲ。

田中> 言うと思ったよ! 大体、せめて名前で呼んでやれよ!

太田> 小川よしみでもいいぞ。『も〜っと!』のオープニングにだけ出て、そのまま忘れ去られた子。

田中> もういい!

太田> しっかし、このインタビュー読むと、スタッフの本音がよくわかるな。

田中> 何が?

太田> 魔女界の話はもう二度と作りたくねぇんだなって。

田中> 言いすぎだよ!

太田> よっぽど邪魔だったんだろうなぁ。あの白ゾウ。

田中> もう勘弁してやれよ!

太田> つまりは、どれみという作品を創る上で、
   既に「魔法」という存在が重荷になってたってことだろうな。

田中> そんなことねぇだろ。このインタビューでも、関プロデューサーが言ってるんだ。
   『どれみ』の世界観で大事なのは、さっきも言った「どれみたちは小学生でなければならない」というのと、
   「ユーザーに向かってつくるのではない、子供に向かってつくる作品だ」ってのと、
   「魔法とは何か? を考えながらつくろう!」の三つ。
   この基本をまた考え直すんだって。

太田> 要約すると、「小学生らしさを大事にしましょう」、「ヲタクは寄るな」、「魔法を使うのを忘れないようにしましょう」、だな。

田中> 二番目だけ異常に悪意を感じるよ!

太田> 「ユーザー」って言い方も凄いぜ。直訳すると使用者。何に使われてると思ってんだかな。

田中> やめろ!

太田> けど、子供に向かってつくったとして、それで採算が取れるのかね。

田中> どういう意味だよ。

太田> 確かにTV番組である以上、スポンサーは必要だからおもちゃも出さなきゃならない。
   だからバレンタインとかの話ができなかったんだろうし、出番のなかったクラスメートも出てきた。
   けど、そういう制約があったからこそ、バランスの取れた作品になったって解釈もできるんじゃねぇかって思うんだよ。

田中> うーん。

太田> たとえば、TVのスペシャルだったとしたらまだいいぜ。
  これがOVAとかの媒体だったら、絶対に売れ行きが保障されなきゃ誰も作らない。
  でも子供がOVAなんて買えるわけない。
  結局はその「ユーザー」の購買意欲を誘うような作品が求められるわけだから、
  そこで世界観が崩れてしまうかもしれない。

田中> そうだね。「大きなお友達」が求めてるのも、
   あくまでも子供への視点を忘れない今まで通りの『どれみ』なんだから、
   そこのところを忘れないでほしいよね。

太田> 結局は、アニメも商売なんだよな。スポンサーがついていた頃は、
   おもちゃの売れ行きを上げるために、小学生の目を惹きつける様な作品が求められたって面もある。
   でもそれがなくなったら、純粋に製作会社の儲けが求められる。
   そういう別の制約が生まれて、それが悪い方向に行く可能性もあるぜってことだな。

田中> アマダが出すらしい、どれみの新しいパソコンゲームはそうかもしれないけど……

太田> ああ。エロゲーだろ?

田中> ベタすぎるよ! いくら何でもそれはないだろ!

太田> え? パソゲーって、全部が全部18禁なんじゃないの?

田中> そんなわけがあるか! 『おジャ魔女アドベンチャー「ないしょのまほう」』ってタイトルで、
   どれみと同い年くらいの魔女が本当の友達を作るために、夏休みにMAHO堂にやってくるっていう、
   ノベル形式アドベンチャーだよ。

太田> でも、子供は絶対買えねぇだろ。

田中> まぁね。OVAだったらレンタルビデオ店に置かれる可能性はあるけど、
   子供が自由にパソコンを使える環境にあること自体少ないだろうし……
   その辺のターゲット層の違いは、同じアマダが出してる
   『おジャ魔女どれみカードゲームコレクション』と一緒なんだろうね。

太田> とにかく、新作万歳と手放しで喜ぶには、まだ早すぎると思うぜ。

田中> でも、俺は信じるよ。
   何たって、4年間ずっと素晴らしい作品を提供し続けた最強のどれみスタッフなんだから。

太田> ローズマリーという最凶のキャラを産み出したどれみスタッフを?

田中> またその話かよ!

太田> 去年『どれみ』で培われた暖かな作風が受け継がれたのが『明日のナージャ』だと思ったけど、
   実際はトンでもなかったよな。妄想狂にしてやられて路頭に迷って、
   母親を奪われ嫉妬に巻き込まれて、周りの手助けも全部裏目裏目……
   絶対にどれみより世界一不幸な主人公だね、ナージャは。

田中> うるせえよ!

太田> あれだけひどい目に遇わせても、まだローズマリーの悪行を続けてるのって、
   案外「本当の悪人」を登場させられなかったどれみの世界観への反動なんじゃないかな。
   あんないい人だらけの世界がこの世にあるわけねぇだろ!
   この世界情勢を見ろ、現実はずっと世知辛いんだ!
   俺のことを好きにならない奴は邪魔なんだよ!

田中> 誰だよ、最後のは! 違う人が出てきちゃってるよ!

太田> 是非、ローズマリーには《仮面ライダーカイザ》草加雅人と組んでもらって、
   ナージャとオルフェノクを完膚なきままに殲滅してほしいね!

田中> 『仮面ライダー555』の話まで出すなよ! ますますわかんなくなるだろ!

太田> 暗いニュースに包まれ、閉塞した一年だった2003年。
   これもきっと、どれみが11ヶ月間も放送されてなかったからです。
   どれみスタッフのかたがたには是非、世界中の皆が皆に優しくなれるためにも、
   最高の新作を創ってほしいですね。

田中> 何でもかんでもどれみのせいにするなよ! いい加減にしろ!








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