感想文2002年の1

◆「どんどこどん〜ふたりのかいわ〜

志賀さんの声は、ひそひそと喋っていても遠くまでキレイに聞こえる、あの透明感は何だろう。
志賀さんの眼は、間近で客の目をまっすぐ見る。見てるのかどうか分からないけど捕らえられた感覚。

言葉遊び好きとしては楽しめました。
卓球のラリーのようにリズミカルな楽しさのある作品でしたが、それだけに時々そのボールがネットにひっかかると勿体無さも。

<余談>
提出してきませんでしたが、アンケート内に「おしょうがつ」で詩を作るというのがありました。

そろしきもの
しょうじょの罠と
そでかためたマイホーム
らんとなった空虚な小屋に
めあと残る白いカベ


「おしょうがつだよ!ドラえもん」の「おしょうがつ」に、こういうのが渦巻いてたらヤだなぁ。


◆「ナルシス…」(チフリンチマヴイ歌劇団)


◆弾丸列車(2月)


◆憎いあんちくしょう

私の観劇日には、ルリ子さんの出のトコなどで声をかけてた方がいました。
私はルリ子さんの舞台に関しては、「浅丘ァッ!」と声をかけたくなるような、
声のばしばし飛ぶのが似合うような、そんなルリ子さんの見せ場をふんだんに見たいのだなと感じました。もっとたくさんカッコイイ、カワイラシイ、ルリ子さんが見たかった。憎いお方であって欲しかった。

蟹江さんカッコよろしかったです。誰か若松さんのカラクリを教えてください。ゼンマイ?モーター?(笑)
江波さんに惚れそうです。声もステキだけど、女郎達とのダンスが〜〜(はあと)。
前野さん、人でもモノにでも、ちょっともたれかかった感じの時に可愛らしさと艶っぽさの両面を魅せる方。
秋葉さん、女郎のキスちゃんの名前で「ちゅー」の顔になってたのが可愛かったー。
原川さん、小坊主役のコドモの頭をなでて「おそろい(^^)」って、されてたトコすげーツボ。
加納さん、もっと拝見したかった。そしてもっとルリ子さんと絡んで欲しかった。


◆和泉元弥 狂言の世界

狂言は「墨塗」「痺り」「仏師」。はじまりに簡単な狂言のおはなし。
おわりに3姉弟が出て来て、一人づつ「トークライヴ」という名のご挨拶。

トークライヴ中は、オイラはああいう風に人に向かって、妹や弟と一緒に「私達姉弟は」「私達姉弟の」とはできないなぁと、そんなコトを考えてました。
想像していやーんでした。いや和泉さんちのアアイウのがダメとか厭とかいうことではなく、オイラの姉妹間でのそれは自分にとって違和感と感じるコトなのだと。
妹弟は好きですけどね。仲も悪くないと思いますけどね。そういうツナガリ方でないのかな。
と思わぬとこで自分の姉弟感に気づいた夜(笑)。…狂言への感想でなくてゴメン。


◆ポリチーノのけっこんしき・傘地蔵(人形劇団クラルテ)

某地でお名前は知っていた大阪の人形劇団クラルテが、コチラまでお越しと知って拝見。
入口で、子供が行列になってたので、こ、こんなにたくさんの子供たちがっ(@_@)と驚いてたら、なんと同時刻にドラえもんの映画会が開催されてて、そっちでした。
(ていうか、なんで同時刻にやるのさ)なんて思ってましたが、クラルテ側もいっぱいのお客様で一安心。

小道具、人形、背景がすごく丁寧で暖かな作り。
「傘地蔵」では白布を雪に見たててかぶせてたりするのだけど、その布の斜め具合や、まるまり具合がいい感じ。小道具の使い方や、場面転換が上手いなぁ、なんて思いました。
演者は、ときどき笑いにできるようなポイントで、間がズレてたり声が届かなかったりで、ちと残念。
でもわずか2人なのをあまり感じさせなく、声に染みるような温もりがあるのが魅力でした。


◆居残り佐平次〜次郎長 恋の鞘当て〜

・・・本当は感想など書ける立場にないワタシ。
都合によりどーしても最後まで見られなかった(泣)。良い席だっただけに余計悔しいぃぃ。
失礼いたしました〜。>舞台&観客の皆様

そんな私をさておき、舞台は楽しかったです。
明治座でも変わらず楽しい星屑の会の方々が嬉しい。
小宮さんのプチ階段落ちにツボりました。
渡辺哲さんのテンションの高さも・・・いや〜キュートな方ですわ。
菅原大吉さん&有薗さんの大政小政も、
カタブツの大政・お調子者な小政って感じのいい凸凹さでした。
三田村さんは何か色っぽかった〜。こういう感じのオトナに弱いです、私。
ラサールさんの自由な感じ、でんでんさんの何とも言えない恋心(笑)も良かったです。
はーもう自由で楽しいおじさま達ってステキだーっ。

そして朝倉さん(*^^*)。着物姿だけで、早くもやられてました(笑)。お似合いだぁ。
他にお妾さんが何人もいるのに、お光っちゃんに対してどこか純愛な杢兵衛さん。
着物を着て欲しいと懇願するとことか、お光ちゃんが自分を嫌ってるのを心配するとことか、嫌われ役?なのに何だか愛らしい感じでした。
お光ちゃんを賭けての勝負に負け、走り去っていく際、花道駆けぬけてかれたんですが、見てて気持ち良さそうだなぁ〜と思いました。
その時花道側の方で拍手をされてたのも、何か嬉しかったなぁ。
正面でも舞台が展開されてた中だったので余計に。
同じ観客なのに偉そうだけど、朝倉さんのことをちゃんと見てて下さってるんだなって
それが何とも暖かいなと思ったし、そうしてお客さんをひきこめる朝倉さんも嬉しい(^^)。


そのほか別の舞台で見たことのある方もちらほら。
植野葉子さん、カッコよかったです。きっぷのいい姐さんって感じ。踊りの手が綺麗〜。
柳家花録さん、表情豊かでした。
北川佳世子さん。多分、私の見たことのある北川さんと思うんですが(笑)。
思いがけずという感じだったので、嬉しかったです。相変らず声が可愛らしい。

それぞれの役者さんのうまみが舞台を華やかにしている、そんな舞台でした。
もちろん蒲田コンビ、風間さん&平田さんはいうまでもなくですが、
誰かがとびきり輝いて主役!というのでなく皆でわいわいって感じが楽しかったです。


◆浜崎貴司 LIVE TOUR 2002/初夏 スイングしなけりゃ意味がない!

久々のハマザキでしたが、やっぱナマハマザキだぜよ、を再確認。
「日処生の詩」なんかもー、聴いててあれれあれあれっつう感じで涙出るし。
いやホントこの歌好きだぁ。
何か慰めてもらってる気持ちというか、獣に優しく舐めてもらってる感じというか。
ゲストのアナム&マキ、KICK THE CAN CREWのMCU交えての1曲「オンナLIFE」は迫力でした。
F.KIDS時代の歌も何曲かやってくれて嬉しかったなり。
特に「我思うゆえに我あり」を聴けるとは思わなかったので感激でした。

そしてそしてダブルコールで歌ったのがピアノ演奏での「幸せであるように」。
実はF.KIDSが赤坂で解散宣言をした夜に聴いて以来、
(生で聴いた最初で最後であり、私のF.KIDSライヴ最終曲。)
この曲とだけは、どーしても向き合えなかったんですが・・・まさかナマハマザキで再開となるとは。
でもダメでした。イントロであっと思って、あとはずーと泣きっぱなし。
この先何度ライヴに通っても、この曲には弱いだろなぁ〜。想い入れありすぎですわ。


野生のハマザキは少しオトナっぽくなった気がしました。
そしてトーク充実!あれぇ〜、こんなオモロイ兄さんだったっけ?(笑)

スタンディングでなくイスをGETして聴きましたが、ここがまぁナイスポジションで(^^)。
以前はF.KIDSに全力投球っつー感じだったのですが、
アルコールと、そこにいる自分の今とを、歌とともに楽しめれるようになったのを感じました。
でもやっぱりスタンディングも魅力〜。次回はっ。


十代目坂東三津五郎襲名披露 松竹大歌舞伎

公演内容は「梶原平三誉石切」「口上」「義経千本桜 吉野山」。

知識なく感覚で見てるんで、何がどうとかうまく説明できないですが
三津五郎さんの踊りを見てると、え、私ってバカ?という気に(笑)。
なんかね、動きがどうしてそうなるのかが分からない。
大抵踊りって、振付があって、それを踊ってるんだなぁていう感覚で見るんですが
三津五郎さんの場合はそれがない。
何で今、右に持ってた扇子が左にいって右にいったのかが分からない。
いや、分かるんです、持ち替えてるんです(笑)。
でも、ちゃんとその場面を見て、持ち替えたんだなって思ってるハズなんだけど、
あれ、いつのまに?て、くらい当たり前みたいに動きが流れてゆく。
なんか踊ってるのに踊りじゃないみたい。日常的な身体動作の一部みたい。
面白かったというか、自分が何で分からないかが分からない、何が分からないのか分からない(笑)その感覚が不思議不思議〜て感じでした。

「梶原平三…」は、俣野五郎役の中村亀鶴さんが表情をちょこちょこ変えたりするのが気になって、そっちばっかり見ちゃいました。動きもコミカルで、なんだかチャレンジ精神。


◆イッセー尾形のとまらない生活 2002年新ネタ

実はきちんとしたタイトルがついてたりするんですが、パンフがあったりするでないので勝手にタイトルってみました。いつか、同公演がビデオ化したりしたら、タイトル比較して笑ってください。私も笑う。

1.犬のバーテンさん(>でも、バーテンワタナベというシリーズものだと思う。)
※鼻に犬の粘膜を移植したというバーテンの話。におい当てクイズの正解内容がスゴイ。「開封前のキムコ」とか。

2.発掘少女
※東京から発掘現場にアルバイトにきた女の子の話。おっとり口調でけっこうスゴイ女の子。

3.スカウト?
※ストリートミュージシャンにスカウトマンですか?と問われる男の話。冷たそうで、実はかなりミュージシャン達に肩入れしてる姿が。

4.50の花嫁
※50歳初婚の花嫁の結婚当日控え室での話。申し訳ございません〜といいながら幸せ滲み出してるのが伝わる。

5.子沢山、内山さんちへ行く
※お金持ちの内山さんちにお邪魔した父親と子供たちの話。金持ちぶりに慌てふためく様子が楽しい。

6.中南米論
※中南米を旅して歌を拾い集めてきた教授のゼミちょっと顔を変えただけなのに、まったく別人に見えてびっくり。そしてまさしく大学講師だ〜という感じのゼミっぷりに爆笑。


イッセーさんのお芝居って、見始めはイッセーさんを感じてても、気がつけばそこからイッセー尾形がいなくなってるなぁ。演じる人演じる人によって、リズムも体温も全然違ってる感じがする。
だから化粧をしたからとか衣装を着たからというのでない(>それだと明らかに女装なイッセーさんがそこにいるし・笑)変わりようを感じる。人が誰かを「演じる」ということのシンプルな面白さに魅了されます。すてきすてき。

もちろんそういうゲージツな部分以上に、作品がおーもしろいっ。
いるよ、どっかに絶対いるよってな人々の、それでいてちょっとなかなか吐けないよなセリフが秀逸。
好きだったのは(多少記憶あやふやですが)、
<2.発掘少女>で、女の子が地面に横たわって
「このまま化石になって発掘されて・・・フリーターだってわかるかなぁ。」
<3.スカウト?>で「バカかおめーら」口調の愛らしいオジサマが
ミュージシャンな若者をお前らなんて見てねーよとかいいつつ、
「一昨日の方が全然よかった。お前らはアレか。小雨が降らないとダメなのか」


今回は、オチ部分が、なーんだかきゅっと幸せ埋め込まれるような、そんな終り方の作品がちらほらり。
ちょっとしたむずがゆさも感じたりしないでも。んー押し付けはしないんで、ちょっとくすぐったいぞってな気分ではとどまれるのだけど・・・なんだろう、世相逆反映?(笑)


◆・・・トランシルヴァニア(チフリン・チマヴイ歌劇団)


◆太陽は罪なヤツ(昆虫ロケット)

お友達が出てるので観にいきました。
声とか表情とかお友達だから、というのぬきで本当に可愛かったです〜。
なんかね、私の好きなあの人やこの人と共演してみて欲しいなぁとか思いましたさ。


◆恋愛考

静かな空間の中で、聞こえてくる声(音)とか動く光とかに身を任せてたゆたうのが心地いい芝居。
ああ、あとはこの手の中にお酒とかあったらなぁという気持ち(笑)。

空間がセット含め面白いなぁと思いました。場所場所によって見えるものが違ってくる。私が座ったとこからだと、会話してる2人の間に仕切り(壁)が入ってみえたり、秋葉さんの肩越しに赤刎さんが見えたり(これが遠近法活躍って感じで面白かった・笑)。
だのでさらに欲を言えば、もっと色んな場所から観てみたいなあと。もっとひきでも観たいと思ったし、柱のスキマから覗いたり、床に座ったり天上からというのも面白そう。って、演ってる方々にジャマになるだろうけど(笑)。

井上さんの「バカにしやがって、やれるもんならやってみやがれ!」て感じの時が好きでした。
うぬぬぬぬって感じがばりばり伝わってきて。
水下さんはなんか面白いオモチャみつけて楽しんでるって感じしました。とくに色んなトコから出てくる時とか。
秋葉さん赤刎さんともに持ってる空気というのかなぁ、ふんわりやわらかな暖かみ、朴とつとした田舎の景色のような飾らなさ、そういうものがシグナルシグナレスににじんで、可愛らしい童話のようなカップルだなぁと思って見てました。


◆玉蜀黍の焼くる匂ひよ(TPS)

札幌の大通公演を舞台に、そこにあらわれる人達の人間模様を描いた作品。
出会い系メール、宗教、ホームレス、不倫、教師と生徒の恋などなど主に恋愛中心かなと。

出張先で急に芝居を見たくなって、ふらり当日券で入ったんですが思ってた以上に楽しみました。

なんていうか、見ててすごくイライラした(笑)。ダメでというのでなく話に入っていったからこそのイライラ。
殺人だったり嘘だったり明らかな悪さを見せる人にでなく、弱い立場なはずの人たちの言動のほうにイライラする不思議。
一見正当だったり常識的だったりしながら、でもその人たちも大なり小なり自分を守って誰かを傷つけて生きてる。なのに、その自覚がなく、悪い人たちに迷惑してますっていうエゴが見え隠れ。
そんな人達の鈍感さを見せながらの「いけないこととはなんですか?」という問いかけに、なんとも皮肉なものを感じました。
登場人物に妻帯者ながら、妻の姉&会社の同僚と関係を持ってるというダンナがいて、さあそれが発覚しましたという時にも、
「どういうことなの?」 『なにが?』 「もう、終りにしたいの。」 『なにを?』
とか、つらっと言ってしまう上に
『(オマエ以外の不倫相手が)1人とは限らないぜ』とまで言ってしまうダンナ。
でもこのダンナが一番好きだった(苦笑)。なんか逆に正直とさえ思ってしまった。

気になったのは、描かれてるのは今風なコトなのに、今とか現実感があまり感じられなかったこと。
セリフが古めかしいのは、アンバランスさを狙ったのかもとも思ったのだけど、そういうことでない、なんか伝わる感じにちと欠落感。
はっきりキレイにしゃべる人が多い気したけど、そういう人よりナチュラルにしゃべる人の気持ちの方が伝わってきたりもしたあたり、伝えるって声を届けるコトだけじゃないんだなあ、なんつうことも感じました。


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