◆人形劇「えん・えん・え〜ん」、ザ・ドラマティック腹話術「あかずきんちゃん」
(よろず劇場とんがらし)
大好きな大好きな成田りょうじさんコトりょうちゃん(以下りょうちゃん)。
久々に拝見だったのに、以前と同じりょうちゃんのままでちょっとびっくり(笑)。
思わずりょうちゃんには魔法の粉がかかってて、永遠にりょうちゃんなんじゃないかという妄想を(笑)。
もちろんまた一段と表情や表現力が豊かになった印象があるけれど
(客席を指差してにこっと笑った時は一瞬ときめきそうにすら・笑)
変わりつつ変わらないでいてくれるりょうちゃんが嬉しい。
そして相変らず楽しい舞台。
これだけきゃーきゃーコドモが熱狂興奮状態になってしまう空間をほかでは観たことないのです。
「えん・えん・え〜ん」はミーちゃんとタマちゃんという2人の男の子が、ケンカしながらも仲良く遊ぶというお話。
定番的なボケとツッコミでもめいっぱい笑わせられるのは、タイミングとテンポがバツグンだから。
ただテンポがいいだけでなく、時にちょっと外して、その外した感じが面白かったりする。さすが。
そうしたコドモ心で楽しいだけでなく、オトナはオトナな楽しみ方もできたように思う。
タマちゃんが恥かしそうに「ミーちゃん大好き。」という場面で、胸がきゅっとしめつけられるのは多分オトナの方。
コドモも楽しい、オトナもコドモ目線に戻って楽しい、そしてオトナ目線でも楽しい作品を作ってしまうりょうちゃんは、本当にすごいなあと思う。
「あかずきんちゃん」のほうは、腹話術+人形劇。
腹話術で動かす鳥のおーちゃん&狼のガオちゃんと、おーちゃんのオモチャ(人形やレゴなど)を使いながら「あかずきんちゃん」のお話をするという内容。
おーちゃんやがおちゃんに翻弄されるりょうちゃんの表情が何ともグゥでした。
りょうちゃんがあかずきんちゃん役という設定で、りょうちゃんが目の前で人形を動かして演じてるのに、
だんだんだんだんあかずきんちゃんが独立してカワイクみえてくるという不思議。
そして何より最初と幕間にやるカンタンな遊び。
毎回コレでハートわしづかまれてるといってもいい(笑)。
何回観ても何度やっても新鮮に楽しい。
ダジャレでも下ネタでもりょうちゃ〜ん(^^;)て感じで楽しんでしまう愛の深さよ(笑)。
今回、ある手遊びを「ススキノバージョンでいきまーす!」って言ってくれた時には一気にボルテージが上がってしまいました。オトナの遊び心もわしづかみよっ(笑)。
と、べたぼめまくりですが、もしかしたらちょっと体調悪かったのかなぁ?と思う面もあり。
途中ちょっと失敗して、めためたになっちゃうりょうちゃん、というのめったに観られない場面も。
でも、それを補ってあまりあるくらい楽しくてシアワセ〜な気持ちになる舞台でした。
◆検察側の証人
冒頭、そして休憩明けごとのはじまり方が好きでした。闇の一部分に光を当て、一つの絵柄を印象深く写して全体像を表示する…てのがかっこいいなあと。闇と光をうまく使ったという印象。
光があれば闇もある、光あるとこに闇もある、人も同じ、というメッセージ・・・ってのは深読みかな。
話は、別な方達での同作品を観て知ってたので、ラストのどんでん返しで周りのお客さんがざわめくのを第三者的に楽しんでしまいました(笑)。話にひき込ませるほどに、あーやってどよどよどよが起きるのだと思う。それは嬉しいことではないかなと。
麻美さん、立ち姿&歩く姿の凛とした感じが、もう「かっこいいぃ〜!」。基本的動作がカッコイイってすごいカッコイイと思う。
河原さんは不思議な感じ。なんか海外ドラマの吹き替えみたいとか思って観てましたう。声がというのでなく動きとか空気とか全般的に。吹き替えって、ホンモノとは違うかもしれないけど、なんか私達はそれに慣れ親しんでたりするから、ホンモノじゃないけど、でもどっか「あーなんかその外国観はワカル」みたいな。なんだそりゃ(笑)。
生河原さん初だと思うんだけど、あの話し方あの動きはどこまでが本気なのか、なにがどこまで河原さんなのか、どっかうまくはぐらかされてるようであり、いやいやそう勝手に思いこんでるだけ?という印象もあり不思議。もう1度別の芝居で観たいかも。
松金さん好きだなぁ〜。なんかカワイイ。緩急自在。安定感もあるし巧いので観てて自然に楽しめる。
桂さん、私こういうお芝居で変に外国的になってたりするのがダメなのだけど、桂さんは海外海外を感じさせないほどよさ、自然さ。コミカルな部分では、もし私が桂さんを存じあげてなくても、多分あーこの人好きだぁーって思ってたと思う。そんな魅力。
余談:パンフでの升さんの最後のひとことが大好きでした。ああいうコトをかける升さんってセンスいいなあ。
◆ラフカット2002
様々な脚本をオーディションで選ばれた役者が舞台にするという試みの2002年版。
今年は過去に上演したことのある4作品をピックアップしたそうな。演出は全て堤泰之さん。
1作1作がショートショートを読んでるような印象。ショートショートにも色々な書きようがあるように、脚本の4名の「書き方」を味わったなぁという気持ち。それぞれオハナシにはなってるんだけど、モノゴトのはじめから終わりまでを見せる人、続いてゆく日常の断片を見せる人、さまざま。
● 第1話「溝呂木秋彦の憂鬱」(作:中島かずき)
オカルティックな話になると思ってなかったので、ちょっとビックリ。
短い中だし、こういう感じのお話なら、もーちょっと誰が何が主軸なのか見えてたら、もっと面白く感じられたかなあと思う。秋彦さん、イイ男だなぁ。
● 第2話「洞海湾」(作:松尾スズキ)
やはり独特な松尾節。
うっかりマネなんかしようなら、逆にセンスの無さをこっぴどく露呈されそなぎりぎりスタイリッシュ。
「クズだよ、クズの真水だよ」とか、こういう言葉のセンスがすごく良い。
それだけにその松尾節が耳まで届いてこなかった時がちょいちょいあったのが残念。
ややダークな話ではあるけれど、ブルーになりながらも一番深く色々考えてしまったのはこの作品。
客の脳を刺激して見せてない過去や未来や裏やアレコレを想像させるパワーを含んでたと思う。
夢も希望も血も涙もないダメな現実を叩きつけてるよで、でも実はダメという血も涙も夢も希望も織り交ざってるファンタジックな風呂敷きで包んであげてるようにも思う。うまく言えないけど。
ひょうひょうとしてたバーテンさんがいい味でした。
● 第3話「13000/2」(作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)
セットからしてそうだったのですが、一番カラフルで華やかな印象でした。
見終ってからタイトル見て、ああ!って思ったし、うんなんかそこかしこ、おしゃれモードでした。
私が見た回では全4作中、お客さんから一番自然にわっと笑いが起きてた作品と思う。
第2話だって笑わせ素材は十分にだったと思うと、第3話は本プラスそれを演じる側がうまく動かしてたんだろなと思う。自然なまとまり感(>シャンプーのCMのようだ)。
ライバル店の店長さんのイイ声が気になりました。タイプなのか?タイプなのか?(笑)
客のバンドやってるお兄さん、熱演。なんかうわーっとイキオイがある感じの人。もとお笑いさんだからかな、こういう人好きだ。
あと実はこの方目当てで見に行ったんですよラフカット2002、の久我千代姫。
ほかで見てる時より初々しいっていうか、若可愛い感じな印象。イイカンジの緊張感に包まれてるように思いました。でも、間とか何気ない動きとかやはりステキ。魅力。
● 第4話「村田さん」(作・鈴木聡)
じわーんとくる話。
ほかに比べて派手さ華やかさ明るさはないんだけど(何せ設定もお通夜の受付での出来事(苦笑))、でも観終わっていつまでも、じわーんとしてて、徐々にそのじわーんとした温かさが大きくなって包まれてくよな印象。客席から自然に拍手が出た感じだったのもうなづける。
課長さん、いい味でした。
最後に課長がひとり受付に残って口を開けるという場面がすごくよかった。あれがなくてもいい話だなぁという感じで終われるけれど、あれがあることで余韻が2倍にも3倍にも。たった1つの動作で芝居がぶわーんと広がる瞬間を見た思い。
◆Frozen Quest(Hoh!福Z党)
◆南半球の渦
植本さんの演じてた茂木さんがいいなぁ。
実際すぐ近くにいたらイライラハラハラしちゃうかもしれないけど、嫌かも・・・な面(仕事中、肉手づかみで食べるとか)もあるけれど、それさしひいても人として何か好き何か惚れる。
近江谷さんの役にはイライラ。最初っから、うわっ苦手だあとか思ってしまいました、ハイ。
でもそれはジブンにもあんな一面もやはりどこかにあって共感してるからだとも思う。
反面茂木さん的な部分もある気がするのですがね。
実際何かわかんないけどああいう感じな人にがーっと怒られたコトあるし(^^;)
あの作品に出てきた人達はそれぞれにダメダメなトコを持っていたけど
でもそういうダメ部分は多かれ少なかれ、共感できる要素もあるなあとか思いました。
あ、でも社長は・・・どうだろう?(笑)。でもああいうヒキョーキャラには弱いけど(笑)。いかしてました。
ダメであることダメだと思いすぎると疲れてしまうと思うのですよ。
自分のダメさを自覚する。一緒に生きて行く、ていうかちょっと楽しむ(笑)。
それくらいの感じで生きてゆけたらなあとかあらためて思ってしまったお芝居でした。
◆「なんでもとれるスグ・トレル」「なんじゃもんじゃが住みついた」
(人形劇団プーク)
以前から行ってみたかったプーク人形劇場に初めて行ってみる。
照明や音響のしっかりかげんに、劇団として劇場をもってるっていいなあと、そんな感想。
1つめの「なんでもとれる・・・」は、ペットショップにいる犬がほしいけど、ウチでは飼うことが出来ない男の子が、ある日撮った物をすいこむことができるカメラを手に入れたことから起こる不思議な体験、のお話。
すいとる事だけでなく、そのあとにちょっと非日常な世界を体験するのだけど、その世界がなんだかシュールで、あまり伏線もなさそな感じで(笑)不思議な面白さ。
ラスト、結局犬はどこかのオバサンに飼われていってしまうのだけど、その場面でみせる少年が経験する喪失感と、そしてその経験を乗り越えて一つオトナになってくんだなという苦さが好きでした。少年の言う「さよなら。」に、思わず泣かされてしまった。
人は何かを失うこともあるけど、でももしかしたらそれを乗り越えようとする時に、代わりに強さを手に入れられるんじゃないか、そんなことを思いました。
2つめの「なんじゃもんじゃ・・・」は森の洞穴の中に得体の知れない何かが住み着いて、動物達はそれを「なんじゃもんじゃ」と名づけて恐れ、自分達が食われてしまうという恐怖から、いけにえをさしだそうとする。いけにえに選ばれた皆から普段バカにされて生きてるコは、届けものをしてほしいと言われなんじゃもんじゃに会いに行く、その贈り物の中にそれを持っていったモノを捧げますと書いてあるとも知らずに・・・なんつー書きかたをすると、なんだかコドモ向けのおはなしじゃないみたいだ(笑)。
ま、結局それはトモダチを欲しがってたコウモリで、めでたしめでたしな話なのですが。
うーんお話自体は悪くなかったです。フラフープ使うあたりとか面白かった。
ただ、演者も作品の一部となって演じたり歌ったりするなら、表情や動き、歌をもっとちゃんと魅せるようやってほしいかなあというのが率直な感想。舞台に立ってる自分を見せているという意識が希薄な感じでしたの。全員が全員ではないのだけど。
毎週ではないようだけど、土日にふらりと人形劇観られる場があるのっていいなぁとそう思いました。
また時間があったら行きたいものです。
◆烏賊ホテル
4人の腹違いの兄弟の、それぞれの数奇な生い立ちに笑って笑って、そして最後ちょっとだけ寒くなってしまったお芝居。
「イカは死んだフリしてカラスを海にひきこんで食べちゃう」という逸話と、死にかけては助けられて子種を残す母、魅きこまれて間もなく死んでしまうそれぞれの父(3男の父だけは結婚していないため、まぬがれたんだろなぁ・・・)のリンクを感じた瞬間、背中に寒いものがすーっと。
そんな母(=烏賊?)は、死の床から4人の息子(=烏?)を呼び寄せたわけで、「それでも母が生きていてくれたら嬉しい」と末っ子が泣くあたりは、やはり兄弟にとっては母なのねと、もしかしたらいいハナシな場面だったのかもしれないけど、私には母であること以上に、その女性の持つ魔性がなんとも怖くてしかたないのです。
なんか自分が幸せになることへの執着のほうが、誰かに対しての愛情より前面に見えてきちゃったのだものん。
「そうすれば王子さまが迎えに来てくれるかも。」という計算をどこかによぎらせながら死を選ぶ、に、いや実際は追いつめられてのコトかもしれないけど、ちょっとひいてしまった。
4人で母を見舞いに飛び出してったけど、母が助かったらどうなるんだろう??とかその辺もちょっと気になる。
役者さんは4人ともミリョク的でしたが、なんといってもおかやまはじめさん。
左手に光る薬指に、今の3男の暮らしの温かさというか、穏かさを観た気持ち。
だから最後彼だけ行くのをためらったのは、ほかと比べて希薄な母という存在と、烏になってしまうかもしれない自分が抱えてる今の生活を天秤にかけてしまったのかなあとか深読んでしまったり。
大谷さんも、舞台でもなんともいえないずるいくらいの(笑)存在感でしたが、むしろカーテンコールでの手の振り方とかゴアイサツでちょっと惚れそうに(笑)。
◆大福祭(WAHAHA本舗)
今年の芝居おさめはWAHAHA本舗。
「お祭り」をテーマに歌って踊って笑わせて・・・いや〜楽しかった!
前回よりも、ちょっとネタがマイルドだった気がするのは気のせい?感覚マヒ?(笑)
ベアーズのラブラブ度もこころなしか低め・・・
でも男性陣総力結集でのベアーズは圧巻でした。いや〜(謎笑)。
各人のソロ活動も活発なWAHAHAですが、全体公演の時ってなんか皆のキャラが違う気がする。
梅ちゃんが甘えんぼだったり、マチャミ姉さんが可愛かったり、すずまさサンのキレっぷりだったり(あーいうテンションもお持ちの方だとわ。)、あるいはそれが本来のキャラかもしれない、ソロでは出さない表情や安心感、それぞれが様々な活動をして、でもホームはここなんだっていう空気かな、それが見えたよな気がした公演でした。まさにふるさとに戻って来て、祭りを楽しむ人達て感じ。
PSJの大久保くん、笑顔が良いです。人を巻き込む笑顔の持ち主(笑)。
大人数の中で、そういう空気を出せるというのは魅力があるってことなのでしょう、うん。
座長の舞踊、座長なのに(こらこら)みとれました。
マチャミ姉さんのエリック・サティな「結婚♪結婚♪」ツボにはまりましたー。いやぁん痛い痛い(笑)。
梅ちゃんの「花」。今まで聴いた花の中で1,2を争う・・・は言い過ぎだけど、それくらい良かった。
ざわわわっとした。
あとやっぱ全体で踊る時がすごい好き〜。
会場全体でうわっと盛り上がる、ああいう空気をつくるのがWAHAHAは本当に巧い。ちょっと感動。