えこひいき 時々こうしてえこひいきしていきます。己が体力続くまで。


2002 えこ1『 Kiss Me You 〜 がんばったシンプー達へ 〜 』(春風堂)

ざっとあらすじ

第二次世界大戦中の、とある日本空軍部隊のお話。
明日をも知れない戦渦の中、それでも泣いたり笑ったり恋をしたりしながら生きてきた彼らだが、ある日特攻命令がくだされる。
そして残された僅かな時間の中、苦しみ、考え、ふりきり、やがて出撃していく・・・という展開(ホントにざっとだなぁ・苦笑)。

きゃすと(キャスト表参考・敬称略)

鈴木 守 大佐
冷静沈着な司令。日本軍の現状を冷静に絶望的に見つめている。

 
(渡辺 勝巳)

薄井 貴 少佐
本部より着任。特攻指令をくだす。

 
(滝之助)

阿部 高光 大尉
隊のまとめ役。 特攻を指揮する立場として生き長らえる自分に苦悩する。

 
(赤垣 正樹)

伊藤 渉 中尉
軍機の整備長的存在。隊が特攻へと向かう事に苦悩する。

 
(小林 滋)

津田 徳男 少尉
優しくてマジメでちょっと鈍感。後に特攻へ。

 
(神谷 武志)

武村 正也 軍曹
ムードメーカー。幸子に片思い。親は無く兄は戦死。後に特攻へ。

 
(松下 卓也)

平井 吉之 伍長
麻紀子とラブラブ。後に特攻へ。

 
(正田 大介)

長谷川 博 伍長
故郷にあや(マイイメージでは「文」・笑)という恋人がいる。後に特攻へ。

 
(小林 秀平)

内田 洋介 伍長
宮子とラブラブ。なぞなぞ博士。後に特攻へ。

 
(池ノ谷 基樹)

銅元 明
隊の軍機整備士。花火の打上げも担当。

 
(是近 宏明)

石部 銀太
隊の軍機整備士。陰ながら小ボケながらも精一杯隊を支えている。

 
(八鍬 健之介)

津田 晴恵
津田少尉の妻。ニセ電報(「キンカン持ってきて」・笑)を読んで訪れる。

 
(寿崎 千尋)

木村 幸子
隊が生活する土地に住む婦女子。津田少尉に片思い。

 
(武井 睦)

浅井 麻紀子
隊が生活する土地に住む婦女子。平井伍長とラブラブ。

 
(俊 依里)

長谷川 スミ
長谷川伍長の母。息子の事が心配でやってくる。

 
(中山 久美子)

須藤 宮子
隊が生活する土地に住む婦女子。内田伍長とラブラブ。

 
(西 音羽)

大山 ハナ
隊が生活する土地で食堂を営む。憩いの場を提供し彼らを見守るおばちゃん。

 
(大橋 由紀子)

 

THE かんそう

( おもしろかったこと )

コトバの使い方。
「貴様立てぇ!」「立てません…いえ、立っちゃってます。」とか(会話の意味はご想像にオマカセ島。)

武村さんの告白をベースボール風実況中継してたのが好き(はあと)。
(会話)武村「津田さんだけが男じゃ無いよ。」 幸子「(聞こえてない)」
(中継)アナウンサー『ボール!』解説者『耳に届いてもいませんでしたねぇ〜。』みたいな。

全員で走るとこ絶妙。キレイにスライドしてったので、見応えあり。

( いんしょうにのこるばめん )

「花火大会」

手を繋ぐ平井さんとまきこちゃん、寄り添う内田さんとみやこちゃん(身長差を一生懸命うめようとしてる姿がラブリィ。)、腕を組む津田夫妻。それぞれのカップル三者三様の愛のカタチを見せてもらった感じ。そして別れの場面でも何となくシンクロしたり。
特に平井さん・まきこちゃんトコ。この2人の手のつなぎ方がなんか良いなぁ。想いが伝わってくるような感じ。
そして皆が思い思いに花火を見る中、特攻の命を受けた阿部さんだけが、一人空を見上げるコトをとても辛そうにしてるのが、この空でこれから…と思う気持ちが伝わってきて切ない。

( きになったてん )

幸子さんは、それでもなお津田さんなんだぁ…それはそれでしかたがないんだけど、それなら何か武村さんとのすきっとした幕切れも欲しかったかなぁ。
武村さんの時折関西弁にスライドする基準は何でしょう?そして武村式体操は何の鍛えに?いえ、文句はないです。表立っては(笑)。

( たけむらさんのこと )

一番気になる人でしたから。
はじめの印象は「優しいなぁ」。いつでも人をまっすぐに見つめてるとこ。幸子ちゃんのことが好きで、でも幸子ちゃんは津田さんのことが好きで、それでも待ってると言えること。好きな人をまるごと包み込めること。そんなとこに優しさや強さを感じたり。

特攻が決まった時も、動揺する様子を見せず、明るく振る舞って動揺してる部下達を守ろうとする強さをみせる武村さん。でも、この瞬間の武村さんが何かすごいひっかかり。
強いけど優しいけど、この人何でこんなに何かを諦めるのが早いのだろう、とか。
最初から欠けてる部分を追い求めてないような感じすらして。
たとえば特攻が決まって、他の隊員達は「忘れないで。時には思い出して。」という中、ひとり「忘れていい。忘れられる。」と言ったりするあたりとか。
この辺からなんか、武村さんのまっすぐな眼には実は膜が張ってるように(笑)。
みんなに見せてる部分の奥の奥に、別な思いを隠し持ってるように。
※余談:このあたりの眼のオブラート感は演じてた松下さんの力だなぁと。

そして、ああ、このひと「泣かない人」じゃなく、「泣けない人」なんじゃなかろかと。
そして、この人の強さは自分を誤魔化してしまう弱さでもあるのでは、と。

武村さんと対照的(?)なのが津田の奥様。
気に入らない時はびえ〜っと泣いて困らせて甘える晴恵さん。
でも、そうできるのは、そうしたら津田さんが包み込んでくれることを知ってるからで、そこに甘えられるものがあること、甘えてもOKな場所だということを知ってるから。

だから彼女の特攻が決まった夫と対面した時の笑顔は、ホントすごい心に刺さりました。
それから一切泣くことをしなくなったことも。
もう、そこにあった甘えられる存在はいなくなるし、今度は自分が包む側だって決意してる、そんな風に感じられました。
彼女は弱さを見せる術を知ってて、上手に弱くなれてた分、強くなれるバランスも手に入れてたのかもなんて。
(余談):包み込む、というのは「母性」的なコトなのかもとよぎる。だから劇中、より「母」な方達が気丈だったのかなぁと。
だから、春恵さんの中に守っていくモノが宿っていた、ということも、春恵さんの強さを助長したのか、とも思う。

で、次第に武村さんが明るくふるまうほど、人のことばかり気にかけるほどに、なんかイライラもしてくる自分(笑)。武村さんが自分の弱さから目を逸らしてしまったら、あとは誰が貴方の弱さを助けてあげられるのよぅなんて、ハラハラお世話焼きな気持ちに(笑)。
だから、おばちゃんによって泣けることができた瞬間、すごくすごくほっとして、涙がだだーっと。
・・・これって思うツボ?(^^;)。

( さいごに )

戦争の話って正直あまり好きではなく、実はちょっとマイナスからのスタートだったけれど、戦争や特攻隊の話としてというより、ヒトとしての生き方、あり方について感じるところのある作品。
戦争の善悪、是非について語るには、私はあまりにそのことを知ってないし、簡単に白黒分けられるコトではない、と思うのですが、でも、未来を作るのは俺達だと信じて、旅立っていった方達がいるのなら、自分もまた、私の今をくれた彼らのガンバリを思い、思い続けながら生きたいなんて思うのでした。

( さいごのさいごに )

赤垣さんって面白いです。自由な感じがいい感じ。
渡辺さん、静の中にも苦悩とか辛さとかを感じる。声の緩急にしびれました。
竜之介さんの押し殺した声にメロメロ。
神谷さん、体操の時の照れた感じがかわいい。
松下さんの「埋めてやるよ!」が好きー。「ハートブレイクな女子見〜っけ」も。そのマツシタ味が好きだぁ。
正田さんのしかめ面がかっこよい。眉に表情の出せる人。
小林(秀)さんは「帰りなさいよ。」とか「・・・なさいよ。」ていう言い方が何か印象的。味。
池ノ谷さん、特攻が決まってからの「弱さ」が良かった。
小林(滋)さん、青の照明に照らされて悲しみに堪えてた時すごく切なし。
是近さん八鍬さんの整備工コンビ、キュート。訛りがイイカンジ。
寿崎さん、可愛い可愛い可愛い〜っ!ステキなテンションの持ち主。
武井さん、幸子の気の強さの見えるとこが実は好き。
俊さん、手をつなぐ時がホントにホントに可愛らしかったのです。
中山さん、子を思う辛さ、スミさんの弱さが伝わってきました。
西さん、浴衣姿ごちそうさまでした(笑)。別れの場面での表情にぐっときました。
大橋さん、カッコ良かった。「泣くならくるんじゃない!」とか。でも「ひくならひきなさいよ!」が大好き。

たとえば鈴木さんの苦悩とか、武村さんのココに至るまでなど、ダイレクトには見せず、でも頭にそういう想像がうわーっと広がってゆく感じ。そんな見せ方が嬉し。


※記憶だけで書いてるので、記憶違いなとこがありましたらゴメンナサイ。

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