NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

小学校入学準備編・あとがき

 子育てに失敗はありません。子どもには可能性があるからです。このWebサイトでは、乳幼児期の子育てこそ重要であるということを示してきましたが、改善や逆転は子どもが大きくなってからでも可能です。『成功する子・失敗する子』の著者ポール・タフは次のように言います。[43]

 知能指数だけを見るなら、八歳を過ぎたあたりからなかなか伸びなくなる。しかし実行機能や、ストレスに対処したり強い感情を抑制したりする能力は、思春期や成人になってからでも―――ときには劇的に―――改善できる。

 人生における成功と失敗を左右するのは、学力や知能指数ではなく、「退屈な作業をやり続ける粘り強さ」や「楽しみを先送りにできる自制心」や「計画に沿って物事をやり遂げる行動力」といった数値化できない能力(非認知能力)だと言われています。ペンシルバニア大学のマーチン・セリグマン教授はこうした能力を「性格の強み」と表現しました。[44]
 代表的な「性格の強み」(非認知能力)をいくつかあげてみます。

 (1)やり抜く力
 (2)自制心
 (3)勤勉性
 (4)意欲
 (5)好奇心
 (6)楽観性
 (7)感謝する心
 (8)愛される傾向
 (9)積極性 

 こうした能力があると、入学後の学校生活をたくましく生きられます(勉強や友人関係でトラブルが少なく充実したものになります)。



 子どもには可能性があります。
 だから子育てに失敗はありません。
 しかし、大人になったときに幸せをつかむ子と悲しい人生を送る子が出るのは世の常です。
 幸せや不幸が連鎖することもわかっています。

 どうしたら「悲しい人生」や「負の連鎖」を止められるのでしょうか。

 このWebサイトはこの問いに答えるために編集しました。
 最高の教育環境は家庭が学校や地域と連携していることです。乳幼児期の教育の大切さを基盤にしながらも、入学後の教育の可能性を共通理解していることが最高の教育環境です。「幸せの子育て」は、育てられる子ども自身の幸せと、親にとっての幸せと、社会にとっての幸せをすべて満たす子育ての方法という意味です。
 社会の動きは「負の方向」に行くか「幸せの方向」に行くか、その格差が大きくなっています。その歯車を幸せの方向に動かす子育ての方法は三者にとっての「幸せ」が同時に成り立つものでなければなりません。ここでは、その三者が幸せになるための方法を様々な角度から集め、整理したつもりです。このWebサイトのQ(問題)が皆様方や周囲の方、やがては子どもたちに伝わり、大きな歯車が「幸せ」の方向に回ることを願っております。

平成28年6月6日  水 野 正 司

[43]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)91
[44]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)106

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