4時を過ぎ、学校から家に帰る途中に街で何かを探しているあゆちゃんに会った

瑞穂「あゆちゃ〜ん♪」

あゆ「あ、瑞穂さん」

瑞穂「何か探しているの?」

あゆ「・・・うん」

祐一「あれ? 師匠にあゆ。どうしたんですか?」

あゆちゃんと話していると、祐くんが通りかかった

瑞穂「あら、祐くん。私は帰る途中にあゆちゃんに会ったのよ。何か探しているみたいだけど」

祐一「そうですか。で、あゆ。何を探していたんだ?」

あゆ「うん・・・すっごく大事な物・・・・ボクが探しているのは・・・」

Wind Of Alchemist 

〜錬金術師の風〜  さがしもの

その後の言葉が続かずあゆちゃんは、はてと首をかしげた

瑞穂「あゆちゃん?」

あゆ「・・・・なんだっけ?」

祐一「はい?」

あゆ「どうしたんだろう・・・思い出せないよ・・・すっごく大事な物なのに・・・早く見つけないとダメなのに・・・どうしたんだろう・・・ボク思い出せないよ・・・」

あゆちゃんの顔が急に真剣で、不安げなものになりそして、明らかに動揺していた

瑞穂「あゆちゃん? 大丈夫?」

ポンと肩の上に手を置くとあゆちゃんは我に返った

あゆ「ボク、探してみる」

祐一「でも、何を探すかわからないんだろ?」

あゆ「見たらわかるもん。ボク探す」

瑞穂「そう、あゆちゃんがそこまで言うんだったら手伝ってあげるわ」

あゆ「え、いいの?」

瑞穂「もちろん」

祐一「俺も、手伝ってやるよ」

瑞穂「祐くん、今は・・・」

祐一「大丈夫ですよ。舞の方は」

瑞穂「そう・・・あまり無理しちゃダメよ」

祐一「分かってます。さてと、どうやって探そうか・・・」

あゆ「じんかいせんじゅつなんてどう?」

祐一「・・・・」

瑞穂「・・・あゆちゃん、それはね、もっと人がいるときにやるものよ?」

あゆ「へぇ〜、そうなんだ」

祐一「なんか、先が思いやられるなぁ・・・」







とりあえず、街を探してみることにした私たちは、あちこちと回ってみたがあゆちゃんの探し物は一向に見つからなかった

祐一「この先で最後だな?」

あゆ「うん。この先のケーキ屋さん、シュークリームが美味しいんだよ」

瑞穂「へぇ、よく知ってるわねぇ」

と、角を曲がるとそこは・・・

祐一「ケーキ屋じゃないぞ?」

大きな本屋が建っていた

あゆ「あれ? おかしいなぁ。ここ、確かにケーキ屋さんだと思ったのに」

祐一「潰れたんじゃないのか?」

あゆ「でも、ついこの間までケーキ屋さんだと思ってたのに」

瑞穂「この本屋、最近建てられたものじゃないわね」

あゆちゃんは、何度も首をかしげていた

祐一「どのみち、今日はこれで終わりだな。暗くなってきたし」

あゆ「うん。でも、いつか見つかるよ」

祐一「そうか、じゃ、その時は俺も一緒に探してやるよ」

あゆ「え、いいの?」

祐一「もちろんだ」

あゆ「・・・ありがと、祐一君



瑞穂「じゃ、たい焼き食べてから帰りましょ?」

あゆ「え、ほんと?」

瑞穂「ええ、今日は私のおごりにしてあげるわ」

あゆ「ありがと! 瑞穂さん!」

瑞穂「えっと、この辺でたい焼きを売ってるところは・・・」

祐一「公園ですね」

瑞穂「じゃ、公園まで移動しましょう」

あゆ「うん!」























瑞穂「はい、お待たせ」

買ってきたたい焼きを公園のベンチに座っていたあゆちゃんと祐くんに手渡す

瑞穂「熱いから気をつけてね?」

あゆ「うん」

瑞穂「ふ〜」

私もベンチに座り、ふと祐くんのほう見ると、祐くんはあゆちゃんを凝視していた

瑞穂「祐くん?」

祐一「・・・・なぁ、お前さぁ、もしかしてあの時のあゆか?」

あゆ「!」

たい焼きを食べるあゆちゃんの動きが止まった

あゆ「思い出してくれたの?」

祐一「ああ、でも、ほんの少しだけなんだ。名前とこうやってたい焼きを食べたことぐらいしか思い出せないんだ」

あゆ「ほんの少しでも思い出してくれてうれしいよ」

あゆちゃんはぶんぶんと首を横に振る

そして、ベンチから立ち上がり、祐くんの前でにっこりと笑う

あゆ「お帰りなさい、祐一君!」

祐一「えっ?」

ベンチに座っている祐くんに向かって飛び込むあゆちゃん

バフッ

祐一「おっと・・・」

うまく、あゆちゃんを受け取った祐くん。だけど・・・

グラッ

あゆ「あ・・・」

祐一「マズ・・・」

あゆちゃんが飛び込んだ衝撃でベンチが後ろに倒れ込もうとしていた

瑞穂「飛べっ!」

フワ・・・

あゆ「・・・あれ?」

衝撃に備えて目をつぶっていたあゆちゃんが不思議そうな声を上げた

そして、周りの状況を見て慌て始めた

あゆ「あああ、ううう、浮いてるよ!」

祐一「ああ、浮いてるな」

瑞穂「はぁ・・・あゆちゃん、もっと先を見て行動しましょうね?」

あゆ「どうして、そんなに二人は冷静でいられるんだよっ?」

祐一「いや、慣れてるから」

あゆ「な、慣れてる?」

瑞穂「これはね、フライって言う宙に浮く風の魔法よ・・・っていつまでくっついてるのかしらね?」

あゆ「わっ!」
祐一「わっ!」

さっきからあゆちゃんと祐くんはずっとくっついていた
私に指摘されて慌てて離れる二人

瑞穂「私のこと無視して盛り上がってたわねぇ♪」

あゆ「・・・」
祐一「・・・」

あらあら、二人とも顔が真っ赤ね

瑞穂「ま、とりあえず降りましょうか」

ゆっくりと、地面に降りる

瑞穂「さて、ほんとに暗くなってきたからもう帰りましょうか」

もう空は、濃い紺色になってきていた

祐一「はい」

あゆ「うん」

瑞穂「あゆちゃん、大丈夫? 一人で帰れる?」

あゆ「うん! 大丈夫だよ」

瑞穂「そう・・・あっ・・・あゆちゃん。手を出してくれる?」

あゆ「?」

不思議な顔して手を差し出すあゆちゃん

その上に手をかざす

瑞穂「契約に基づき、全てを照らす聖なる光よ、漆黒の闇の中にある道を示せ、ライト!」

ポゥとあゆちゃんの手に光の球が生まれる

瑞穂「これが、明かり代わりになるわね。今日一日は消えないから安心してね」

あゆ「わぁ・・・ありがとう! じゃあ、またね、祐一君!」

祐一「ああ、またな」

あゆちゃんは、背中のリュックの羽を揺らしながら駆けていった

瑞穂「じゃあ、私たちも帰りましょう」

祐一「はい」

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