ガシャン!
舞「せいっ!」
ガキィン!
川澄さんとまいちゃんの戦闘はまだ続いていた
麗子「先輩・・・」
生徒の誘導を終えた麗子ちゃんが寄ってくる
瑞穂「なんとかしないと・・・」
と、川澄さんに近づく人がいた
久瀬「いい加減にしろ!」
どうやら、久瀬くんは一人で暴れているように見える川澄さんを止めに来たようだ
瑞穂「そんな迂闊に・・・」
久瀬「ぐあっ!」
突然、久瀬くんが吹き飛ばされ、近くの壁に打ち付けられる
そして、空間が歪みそれは久瀬くんの方へ向かった
舞「!」
Wind Of Alchemist
〜錬金術師の風〜 魔物の思い
ブンと言う風の切る音が聞こえた後すぐに
ガキンという音が聞こえた
久瀬「・・・・う・・・」
やられることを覚悟して閉じていた目を久瀬くんはゆっくりと開ける
そこには自分をかばっている川澄さんの姿があった
川澄さん本人としてはまいちゃんを相手して結果的にそうなったみたいだけど
久瀬「か、川澄・・・」
舞「・・・早く逃げた方がいい。あなたでは相手にならない」
淡々と語る口調。普段の久瀬くんなら嫌みの一つでも言う所だが
今回は素直に川澄さんに従った
瑞穂「川澄さん! 退いて!!」
川澄さんがまいちゃんの相手をしている隙に私は攻撃の準備を完了していた
舞「はっ!」
気合いとともにまいちゃんを弾き、川澄さんがその場を離れる
瑞穂「ごめんね・・・雪村神剣流、風式・十層閃空刃!!」
高速で風魔剣を振り、十枚の真空の刃を飛ばした
ザシュッと妙な音がして攻撃が当たったことが分かる
その後、ヴゥンという振動音が聞こえると講堂に静寂が広まった
その中、川澄さんは剣を持って佇んでいた
瑞穂「祐くん、川澄さんをお願い・・・」
祐一「分かりました」
祐くんに川澄さんを任せると私は講堂内の修復に取りかかった
瑞穂「また、ずいぶんと暴れてくれたわね・・・」
麗子「私も手伝います」
ドレスから普段着に着替えた麗子ちゃんが講堂内に入ってきた
瑞穂「そう? じゃあ、南側を頼むわね。私は北側をやるから」
麗子「了解♪」
麗子ちゃんが修復に入ると、私はまず服を着替えることにした
バチチ・・・
錬金術を使ってドレスを普段着ているローブに変化させる
瑞穂「よし、さぁいくわよ!」
数時間後、講堂はもとの姿を取り戻していた
瑞穂「はぁあああ・・・疲れた・・・」
麗子「お疲れ様です」
麗子ちゃんが残っていた飲み物を持ってきた
瑞穂「あ、ありがと」
麗子「いえ」
飲み物を飲んでから少し考える
なぜ、まいちゃんが川澄さんに危害を与えようとするのか
そもそも、まいちゃんは川澄さんに危害を与えようとしているのか
まいちゃんは川澄さんの力の一部・・・
まいちゃんは川澄さんに戻ろうとしている
でも、川澄さんは無意識に拒否している
麗子「先輩? 大丈夫ですか?」
おそらく、けわしい顔をしていたのだろう私を麗子ちゃんが心配していた
瑞穂「えっ? ええ、大丈夫よ」
あわてて、笑顔を作ろうとする
・・・が、どうやら失敗しているようだ
もう一度、まいちゃんと話をしてみる必要があるわね
瑞穂「そうと決まれば!」
麗子「先輩?」
瑞穂「麗子ちゃん、今日はありがとね」
麗子ちゃんにお礼だけ言って講堂を後にした
瑞穂「さてと・・・」
この前、まいちゃんと話をした薬品調合室に来た
そして、水晶を取り出す
光り出す水晶・・・その光が収まるとまいちゃんが現れた
瑞穂「こんばんは・・・」
まい「あ・・・」
逃げようとするまいちゃん
瑞穂「待って逃げないで、別に怒りに来た訳じゃないのよ」
まい「・・・・」
まいちゃんは遠くからこっちを見ている
瑞穂「あなたとお話をしに来たのよ」
まい「ほんと?」
瑞穂「ほんとよ。だから、逃げないで・・・」
まい「・・・うん」
ゆっくりとまいちゃんに近づいていく
そして、まいちゃんの近くの椅子に座る
瑞穂「ねぇ、まいちゃん。どうして、あなたは川澄さんから抜け出してしまったの?」
まい「舞がわたしを必要としなかったから・・・わたしをうらんだから・・・」
瑞穂「恨んだ?」
まい「・・・」
それから、しばらくまいちゃんは口を閉ざしてしまった
実際には数秒なのだろう。でも、感じられる時間はとても、長く感じた
そしてようやく、まいちゃんが喋りはじめた
まい「わたしのねがいは舞にもどること。そのためにわたしは舞にずっとはなしかけた・・・でも、舞は聞いてくれなかった」
もしかすると、まいちゃんは川澄さんに攻撃をしていたわけではなく
語りかけようとしていたのではないか
水晶の力を借りなければ会話をすることができない存在の必死の訴えだったのではないか
しかし私たちにとってはそれが攻撃に見えた
そう、力の元である川澄さんまでもが・・・
瑞穂「・・・」
まい「それは、ずっと続いた。でも、ゆういちが帰ってきてくれたから・・・わたしも、舞も大好きなゆういちが帰ってきてくれたから・・・そのゆういちならわたしのことに気づいてくれると思った」
瑞穂「まいちゃん・・・」
まい「でも・・・もう、時間がないの」
瑞穂「え? どういうこと?」
まい「舞がわたしをきらえばきらうほどわたしが消えていく。そして、舞も消える・・・」
瑞穂「!」
まいちゃんの言う嫌うというのは川澄さんがまいちゃんを切ること
そして、消えるというのは力が消滅すること
まいちゃんと川澄さんの力は繋がっているから
まいちゃんが消えれば川澄さんの命も消える
まい「わたしの力ももうないの・・・だから、あしたでさいご」
瑞穂「まいちゃん、まさか・・・」
まいちゃんが私から少し離れる
そして、顔だけを私の方に向ける
まい「おねぇちゃん、わたしとおはなししてくれてありがとう。わたしと舞のこと忘れちゃダメだよ?」
瑞穂「まいちゃん!」
まい「ただ、おねぇちゃんと遊びたかったな・・・」
そういうと、まいちゃんはすうっと消えていった
瑞穂「・・・だめよ、まいちゃん。約束したじゃない・・・一緒に遊ぶって・・・死なせないわよ・・・消させないわよ・・・絶対・・・」
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