家に戻ってから私は自分の部屋で文献を読みあさった

そして、目当てものを見つけたときにはもう朝日が昇っていた

部屋から出ると祐くんがあくびをしながら部屋から出てきた

祐一「あ、おはようございます」

瑞穂「おはよう、祐くん」

祐一「師匠、なにか調べものでもしてたんですか?」

瑞穂「ん? うん、そうよ。・・・あ、そうだ。祐くん、悪いけど麗子ちゃんに今日休むって言っておいて」

祐一「どこか具合でも?」

瑞穂「そういう訳じゃないけど、今日はやることがあるのよ。川澄さんの件と言えば察しがつくと思うわ」

祐一「舞が? 舞がどうかしたんですか?」

瑞穂「大丈夫よ、祐くんは心配しないで学校へ行きなさい」

祐一「でも・・・」

瑞穂「祐くん、私が大丈夫って言ってるの。それとも、そんなに私のこと信用できないの?」

祐一「・・・・わかりました」

少し、凄んだ声で食い下がっていた祐くんを振り落とす

瑞穂「ん・・・大丈夫。悪いようには絶対しないから」

祐一「はい」

そういって祐くんは階段を下りていった


大丈夫・・・大丈夫だよ・・・

Wind Of Alchemist 

〜錬金術師の風〜  寄生されし者

瑞穂「さて、夜までに準備しなきゃ・・・」

階段を下りていった祐くんを見届けると、私は、再び部屋に戻った

そして、机に上に置きっぱなしになっている魔導書を手に取る

瑞穂「これを、頭に叩き込んで・・・」

30分ほど繰り返し読む

瑞穂「さてっと」

今度は魔導書に書かれている必要なものを探す

瑞穂「えっと・・・・あれ?」

あちこち探すが・・・無い

瑞穂「もう無かったっけ・・・仕方ないわね、買いに行こう」


身支度を調えるとギルドに向かった











ガチャ・・・

瑞穂「こんにちは」

アルフ「ああ、瑞穂さん。今日は、どうしましたか?」

瑞穂「ん〜、物品調達♪」

アルフ「はい、了解しました。で、何がご入り用で?」

瑞穂「魔力固定水晶を」

アルフ「ま・・・魔力固定水晶ですか・・・」

瑞穂「あら? もしかして無かったかしら・・・」

アルフ「と、とりあえず探してみます」

数分後・・・

アルフ「あ、ありました・・・」

瑞穂「・・・なぜ、そんなにボロボロになってるの?」

あちこち、服が汚れている

アルフ「倉庫の奥の方にあったもので・・・探してる最中、荷物に足を引っかけて下敷きになりまして・・・」

あははっと苦笑している

瑞穂「すいません、無理を言いまして」

アルフ「いえいえ、お気になさらないでください」

瑞穂「・・・はい。それで・・・代金は?」

アルフ「えっと・・・たしか、これで」

カタカタと電卓をならし代金を表示する

瑞穂「はい、では・・・」

代金を机の上に出す

アルフ「ひ・・・ふ・・・み・・・はい、丁度ですね」

瑞穂「あ、あと、ハンティングの依頼があったら私に回してください」

アルフ「ランクは?」

瑞穂「全てで」

アルフ「了解です。連絡先は・・・」

瑞穂「水瀬秋子宅で、お願いします」

アルフ「はい、了解しました」

瑞穂「じゃ、行きます」

アルフ「いつでも、お待ちしてますよ」






























さてと、あとはちょっと準備して夜を待つだけだけど・・・

時間もまだあるし、たまには歩いて帰りましょうか

商店街を過ぎ、公園あたりに差し掛かったときに

うずくまっている何かを見つけた

瑞穂「・・・人!」

人であることを確認すると急いで近く

どうやら、女の子のようでチェックのストールを纏っているのが特徴的だった

瑞穂「ちょっと、大丈夫?」

膝を地面についてうずくまっているその子に顔をのぞき込むように聞く

「んんっ・・・」

その子の手は胸を押さえて苦しそうにしている

背中に手を当ててみる
すると、異変を感じる

瑞穂「・・・体温が低いわね・・・」

言葉に出してみるがそれは的はずれだった

通常、背中に手を当てただけでは体温の変化をを感じることは難しい
となると・・・

瑞穂「冷気を放っている?」

普通の人間で冷気を放つことはない
冷気を放つ状態それは
氷属性の魔法を発動したときによるものと、何らかに寄生されて
寄生されている者が体力を奪われている際に起きる

瑞穂「どうやら、この子、寄生されているみたいね・・・」

首筋に小さくはあるが不可解な紋様が付いていた

この紋様、寄生される際につくものであり、寄生したものによって
様々な紋様がある

「んん!・・・んああぁぁっ!!」

瑞穂「このままだとまずいわね」

急に女の子の苦しみ方が変わりだした

おそらく、寄生体の活動が活発化したのだろう
このまま放っておけば、確実にこの子の命はない

瑞穂「とりあえず、なんとかしなきゃ」

女の子の背中に手を当てたまま詠唱を始める

瑞穂「我、炎の精霊、イフリートと契約せし者なり。妖魔に蝕まれし者に一時の休息を・・・その紅蓮に燃えし加護を与え給え!」

女の子の体が炎に包まれる

「んあっ!!・・・ん・・・」

一瞬大きな苦しみを見せるがすぐに落ち着き、眠りに入った

瑞穂「ふ〜、うまくいったわね。さてと・・・」

女の子の持ち物を探る
もちろん、身元を調べるためであって他意は一切無い

瑞穂「・・・人が見てないからいいけど、これじゃ、追い剥ぎだわね・・・っとあったあった」

財布の中から学生証を見つけた

瑞穂「・・・美坂栞・・・華音ハンター学園、ファースト・・・ってうちの生徒じゃない!」

でも、学園内で一度も姿を見たことがない

瑞穂「ここで考えても仕方ないわね。とりあえず、この子を送らなきゃ」

栞さんを抱きかかえ、学生証の住所に従って行った




























瑞穂「どうやら、ここのようね・・・」

美坂という名字でおそらく、香里さんの妹であろうと言うことは推測できた

香里さんは練気術の使い手だ。おそらく、道場があると思っていたがここまで大きいとは・・・

瑞穂「ま・・・とりあえず、家の人を・・・」

玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らす

しばらくすると、玄関の扉が開く

「はい・・・栞!?」

扉から綺麗な女の人が顔を覗かせるが
栞さんを抱いている私を見ると途端に顔色が変わった

瑞穂「あ、大丈夫ですよ?眠っているだけですから」

「あ、あなたは・・・いえ、まずは栞を」

私を家の中に導く
そのまま、廊下を渡り、部屋の中に案内され
その部屋の中のベッドの上に栞さんを寝かせるように言われる

瑞穂「よっと・・・」

「ありがとうございました。申し遅れました、私、栞の母、和枝でございます」

瑞穂「私は、華音ハンター学園教諭、雪村瑞穂です」

和枝「貴方が雪村さんですか。香里から話は伺っております」

瑞穂「やっぱり、香里さんは栞さんのお姉さんですか?」

和枝「はい。香里は、健康上の不安は無いのですが、栞はご覧の通り突発性の意識不明に陥ることがあります」

瑞穂「突発性・・・」

もしかして、栞さんの体調不良の原因を知らないのかしら?

瑞穂「お母さん、栞さんの病名の原因は?」

和枝「それが、分からないんです」

やっぱり・・・

瑞穂「一つ、お教えしておきます。私、教諭の前に錬金術師であり、ハンターでもあります。過去の経験から栞さんの病名の原因に心当たりがあるのですが」

和枝「!」

瑞穂「ただ、少々、特殊なのでご納得いただけるかどうか・・・」

和枝「かまいません! お教え下さい!」

私は、一呼吸置いてから喋りはじめた

瑞穂「栞さんは、何らかの者によって寄生されています」

和枝「寄生って・・・」

瑞穂「これを見てください」

私は、栞さんの首筋にできた紋様を見せる

瑞穂「これは、寄生されたときにできる寄生痣です」

和枝「・・・」

瑞穂「寄生と言っても肉体的ではなく、精神に寄生するタイプのようです」

和枝「ちょっと待ってください・・・」

和枝さんは下を向き、今言われたことを頭の中で整理しているようだった

和枝「はい、続けてください」

下に向けた顔を上げてこっちを見据える

瑞穂「どういう理由で栞さんに憑いたのか分かりませんが、このまま放置しておくと非常に危険です」

和枝「・・・治す方法はあるのですか?」

瑞穂「あります。ただ、少し時間がかかります。まず、寄生体を弱らせ、それから、分離を行います・・・お母さん、紙とペンあります?」

和枝「え? ええ・・・」

机の上にあったノートとペンを渡してくれた

そこに魔法図を書く

瑞穂「我、炎の精霊イフリートと契約せし者なり。この符に紅蓮の炎を宿し、妖魔を宿し者の身を守り給え!」

ボウッと符が一瞬炎に包まれ魔法図の背景に燃えさかる炎のシルエットが浮かび上がる

瑞穂「これを、この部屋に張っておいてください。これで、栞さんの体力の減少を防いで寄生体を徐々に弱らせてくれます」

和枝「分かりました」

瑞穂「後のことは、香里さんを通じて行いますね」

和枝「本当に大丈夫でしょうか?」

瑞穂「大丈夫ですよ。寄生分離術は何度も行ってますから。ただ、何かあったらすぐ連絡下さい」

私は、連絡先である水瀬家の電話番号を教える

和枝「これは、水瀬さんの・・・・」

瑞穂「ええ、こちらの事情で居候させてもらってるんです」

和枝「そうですか」

瑞穂「あと、くれぐれも栞さんを部屋から出さないようにお願いします」

和枝「はい」

瑞穂「では・・・」













































瑞穂「さて、急がないと」

美坂家を出ると自分の部屋に戻り魔力固定水晶を取り出す
それを両手に挟む

バジッ!

瑞穂「んくっ・・・」

両手に少し電流に似た痛みが走る

錬金術を併用してこの水晶に魔力を送り込んでいるのだ

この水晶、川澄さんとまいちゃんを救うために重要なもの

まいちゃんの姿を固定しつつ、川澄さんとの同調化を助ける役目がある

瑞穂「もういいわね」

手を開くと、水晶は淡い緑色を放っていた

瑞穂「これで、大丈夫ね。川澄さんの方は今日で終わると思うけど、栞さんの方が厄介かもしれないわね・・・」

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