瑞穂「ほらほら、早くしないと遅れるわよ?」

祐一「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ。名雪、置いていくぞ!?」

名雪「う〜、祐一極悪人だよ〜」

祐一「ご、極悪人って・・・」

瑞穂「はぁ・・・二人とも、また飛んでいきたいの?」

祐一&名雪「!!! すみません・・・・」

瑞穂「よろしい、じゃあ、行ってきますね、秋子さん」

秋子「はい、行ってらっしゃい」

Wind Of Alchemist 

〜錬金術師の風〜  引き離された理由(わけ)

祐くんと、名雪ちゃんの二人と通学路を歩く

私のことを気にせずに今朝の続きをやっている
まるで夫婦漫才だ

そうこうしているうちに美坂さんと合流する

いつもの登校風景

しばらくすると・・・

すみれ色のリボンで一つに束ねられた髪
そして、見覚えのある華奢な容姿

その隣には、同じくチェックのリボンで束ねられた髪
どことなく、清楚な雰囲気のある姿

その二人を見つけ私は近づいていく

瑞穂「川澄さん、倉田さん」

佐由理「あ、おはようございます、先生」

舞「・・・おはようございます」

うん、何の異常もないようね




昨夜、祐くんとまいちゃんが川澄さんに魔力の供給を行ったおかげでどうにか
川澄さんの意識が戻った

その際、祐くんは川澄さんがまいちゃんを分離させた理由も知って帰ってきた



川澄さんが幼かった頃

彼女のお母さんが病気で入院していたという

しかし、容態は悪くなる一方

初めは彼女と一緒に雪で動物を作っていたが
その内、起きることもままならなくなった

そんな母に彼女は祈ったという

また、おかあさんが元気になりますようにと・・・
また、おかあさんが笑ってくれますようにと・・・
また、おかあさんと動物園に行けますようにと・・・
また、おかあさんがごはんを食べられますようにと・・・

何度も、何度も、何度も・・・

その祈りは彼女の中で力となった

その力で彼女のお母さんは容態が回復した

それが、まいちゃんが生まれた瞬間でもあった

しかし、人間というもの、自分にはないものを見ると
まるで、自分たちとは全く関係のないものとして見る

そう、それが親戚関係にあっても

親戚に人に「気味の悪い」「悪魔の子」と罵られ
彼女は次第に自分の力を嫌うようになった、憎むようになった

その頃出会ったのが、休みを利用してこの町に来ていた祐くんだという

祐くんは、彼女の力を怖がらなかった

だから、彼女は、祐くんに惹かれた

そして、自分の力を好きになれると思った

でも、休みの日が終わり祐くんが自分の街に帰ることになった日

「助けて欲しいの、魔物が来るの」

そう彼女は言った

もちろん、これから帰るのに、祐くんは付き合えられなかった

「魔物ごっこはまた、いつかやろうよ」

「ごっこじゃないよ、本当に来るの! 待ってるから・・・来てくれるまで待ってるから・・・それまで、一人で戦ってるから!」

でも、祐くんは戻ってこれなかった・・・


一度、抱いた希望は砕かれると、前より深い苦しみと悲しみになる

そうして、彼女は自らの力を拒み、彼女の中から引き離された

力は彼女に帰ろうとする

しかし、彼女は受け入れない

その力を彼女は魔物と呼んでいた

祐くんを引き留めるための嘘

それが、長い間自分自身を苦しめる結果となっていた

でも・・・

川澄さんは、力を受け入れることが出来た

帰ってきた祐くんによって

そして、こうして、また元気に祐くんと、倉田さんと登校することが出来る










ふと川澄さんを見るとピョコッと小さいのが出てくる

まい「おねぇ〜ちゃん!」

ポフっと私に抱きついてくる

瑞穂「わっ、まいちゃん・・・」

祐くんが魔力供給をしたおかげでまいちゃんは消えずにすんだ
今では、一人の女の子のように川澄さんと生活している

舞「・・・まい、今、出てきちゃダメ。これから学校」

まい「え〜、やだぁ。わたしは、おねぇちゃんと遊ぶんだもん!」

舞「・・・まい」

まい「う〜、わかった・・・」

舞「・・・いい子」

佐由理「なんか、舞、お母さんみたいだね」

そういわれて、少し、顔を赤らめる川澄さん
でも、まんざらではない様子だった
そして、にこにこと笑っている倉田さん



そう、彼女を閉じこめる檻は消えた

あとは、止められた時を補うかの如く

毎日を精一杯過ごせばいい

川澄さんの時間はこれからなのだから・・・

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