あの後、色々大変だったわねぇ
美汐ちゃんを説得した後、
学校に戻ってみんなに状況を報告した後
家に帰ったら真琴ちゃん、さらに状況悪化してるし
今度は二重に集魔結界をほどこして何とかごまかしているけど
やっぱり長くは持たないわね
真琴ちゃんが落ち着いた後、秋子さんと二人で
契約の準備をしてあとは美汐ちゃんを待つだけになったけど
とにかく、時間がないわね……
Wind Of Alchemist
〜錬金術師の風〜 間に合った契約
翌日、放課後に実習場に瑞穂を始め昨日のメンバーに秋子、麗子が集まっていた
だが、そこには未だ美汐の姿はなかった
祐一「天野、遅いですね」
瑞穂「そうね、でもぎりぎりまで待つわよ」
待つこと、30分
転送魔法陣の中からようやく美汐が現れた
美汐「すみません、まだ大丈夫ですか!?」
美汐は走ってきたのか息を荒げて、自分が間に合っているのか皆に確認した
秋子「まだ、大丈夫です。さぁ、こちらに」
美汐は秋子にそう言われ、ホッと胸をなで下ろした。
そして、秋子に促され、すでに魔法陣の中央にいる真琴に近づく
瑞穂「麗子ちゃん、過剰増大魔力の逃げ道の確保を。秋子さん、外部魔力干渉の遮断を頼みます!」
麗子「了解」
秋子「了解」
麗子と秋子は所定の位置に着き自分の役割を始める
瑞穂「さぁ、始めるわよ! 美汐ちゃん、鈴のことを調べていた貴方なら、契約詠唱は知っているわね?」
美汐「はい、でもその前に」
美汐はポケットからペンダントを取り出す
そのペンダントを真琴にかけてあげる
祐一「それは?」
美汐「これは、鈴がしていた物です。これを探していたので遅くなってしまいましたが。これできっと鈴が助けてくれるはずです」
そう言うと、ゆっくりと目を閉じ、少しうつむき加減で精神を集中し詠唱を始めた
美汐「我、天野美汐は異世界から呼ばれし者との契約を望む者なり。我と血を交わし、我が力となる事を我は望む。契約の証として我が紋章を我が手に刻もう。最後に問う、我と契約し、我が使い魔となる事を許されるか?」
美汐は魔法陣の中で何とか人間の姿で横たわっている真琴に手をさしのべる
魔力が低下しているせいで意識は朦朧としているが真琴はその手を何とか取った
その刹那、真琴と美汐の体から閃光が走った
真琴「美汐って言うのね。鈴お兄ちゃんと仲良かったの?」
その言葉に瑞穂と祐一、それに美汐は驚いた
手をつないだ瞬間に、美汐の記憶を読み取ったのは分かったが
それ以前に、鈴と真琴が兄妹だったのが驚いた
美汐は驚きながらも真琴に微笑みかける
美汐「はい、鈴とは色々お話ししました。いろんな事をしました。でも、肝心なときに私は鈴を救えませんでした」
真琴「それは…美汐のせいじゃない、お兄ちゃんはきっと分かってる。美汐がお兄ちゃんの為にしてくれたこと、分かってる」
その言葉に、美汐は目から涙があふれてきた
昨日、瑞穂と祐一が居なくなった後散々泣いたのに
自分にはまるで際限がないのかと思えるほど涙があふれてきた
美汐「はい、昨日、鈴もそう言ってました」
頑張って美汐は笑顔を作り直した
決してそれはうまくいっていなかったが、
それでも、美汐は作り直した
真琴「うん。────美汐、真琴は美汐にたくさん迷惑を掛けるかもしれない。それでも、構わないなら…」
美汐「大丈夫です。鈴の分まで貴女を守ります」
美汐は自分と真琴の血を採り、羊皮紙に紋章を描く
その紙を自分の手と真琴の手の間に挟み握る
美汐「今ここに契約は成立せり。────コントラクト!」
凄まじい光がしばらく続いた後、それは収まった
麗子「うまくいったかしら?」
秋子「どうやら…」
周りが儀式が終了しホッとしていると
美汐が異変に気づく
美汐「真琴!?」
瑞穂「どうしたの!?」
瑞穂が慌てて真琴を見ると、
元体状態になっている上に、体が半透明化していた
瑞穂「間に合わなかったの?」
瑞穂はとっさに手をかざし真琴の容態を確認する
そこに、いてもたってもいられない祐一が駆け寄ってくる
祐一「師匠、真琴はどうなっているんです」
瑞穂「美汐ちゃんからの魔力供給が追いついていないのよ、減る方が加速度的に増加しているの」
祐一「くそっ!」
祐一は思わず、真琴にかけたあったペンダントを握る
祐一「真琴! まだ逝くな! 俺はまだおまえと満足に話しすらしてないんだぞ!!」
そう叫ぶ祐一の頭の中に声が聞こえる
『君の力を使うんだ』
祐一は驚いて周りを見るが、誰も自分に話しかけた様子はない
『さぁ、早く。君は自分の力を他人に分け与えることが出来るはずだ』
確かに祐一は以前に舞に対して自分の力を分け与えたことがある
声の主はおそらくそれを言っているのだろう
祐一「分かった。真琴、今助けてやるからな」
祐一は左手を真琴の額に当て、精神を集中する
すると、頭の中に言葉(スペル)が浮かぶ
祐一「左腕紋章刻印第一節開放」
自分の中から凄まじいほどの魔力がわき上がってその魔力が左腕に集まってくるのが分かった
そして、次のスペルが浮かぶ
祐一「我、今消えし命の灯に新たなる生命の光を与えん。それまさに、不死鳥がもたらせし命の閃光! フェニックスフラッシュ!!」
詠唱終了と同時に祐一の体から不死鳥の如く、光り輝く鳥が現れ、そのまま真琴の中に飛び込んでいった
秋子「今のはフェニックスかしら?…」
香里「じゃあ、今のは召還魔法?」
瑞穂「いえ違うわね。あれは祐くんの魔力の結晶。それがフェニックスの形となっていただけでしょう。なんにせよ、魔力を具現化するなんてとんでもないわ。それよりも、真琴ちゃんよ!」
瑞穂が急いで真琴の元へ駆け寄る
そこには、人間の状態に戻った真琴がすやすやと寝ていた
すぐに、瑞穂が真琴の状態を見る
瑞穂「うん、もう大丈夫みたいね。美汐ちゃんからの魔力供給もうまくいっているみたいだし」
祐一「そうか、なんとか……なった……みたいだ……な……」
美汐「相沢さん!」
祐一は意識を失い、美汐にもたれ掛かってしまった
今の魔法で祐一はほとんどの魔力を使ってしまったのだ
意識がとぎれる前に祐一はぼんやりとした頭の中で声を聞いた
『妹をよろしく頼む』と
「相沢さん!」
「相沢くん!」
「祐一さん!」
「祐一!」
意識を失った祐一を心配して皆が駆け寄ってくる
が、当の本人は
祐一「ぐぅ…」
舞「…寝てる」
佐祐理「寝てますね…」
香里「寝てるわね…」
栞「寝てます…」
名雪「心配して損したよ…」
皆の心配をよそに美汐の膝の上で寝ていた
瑞穂「まぁ、今回の功労者は祐くんなんだし、大目に見ても良いんじゃないかしら?」
佐祐理「そうですね」
栞「今日は天野さんに譲ってあげます」
香里「それにしても、寝ているときの相沢くん、何ていうか…可愛いわね」
舞「うん、可愛い」
皆、寝入っている祐一をのぞき込むように見つめている
そんな中、美汐は心の中で祐一に言った
『相沢さん、本当にありがとうございました
私を、真琴を救っていただきありがとうございました
今は、ゆっくり休んでください』
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