2001年4月23日(月)
【かける数と積の大きさ・補助言葉・何かが足りない】

 補助計算という言葉がある。
 向山型算数が生み出した言葉だ。
 途中の計算を省略することなくしっかりと書く。

 つまり途中の思考を表記させる。
 普通なら頭の中でする(させる)ことを文字化する(させる)。

 今日は次のことが分かればよい。

「分数のかけ算でも,1より小さい数をかけると,その積はかけられる数より小さくなります」

 簡単だ。簡単な子にとっては。
 しかし,分からない。分からない子にとっては。

 そこで補助をする。
 今日の場合,補助計算ではない。
 「補助言葉」だ。
 同じように思考部分を文字化する。
 次のように書かせる。

a    ×  3/4    →aより小さい
          ↓  だから 
      1より小さい 

「1より小さい」は見れば分かることであり,答えがどうなるかも判断できる。
 しかし,あえてそれを文字化させる。
 文字化することによって思考が記録として残る。
 思考が途切れても記録がつないでくれる。
 このようなことをしっかり書かせるのは大切だと思った。
 分からない子はこの思考のつながりが切れてしまうのではないか。
 
 Pさんが「分かってきたぞ」とつぶやいた。
 ○ 1の練習問題。
 <積がaより小さくなるのはどれですか>
「アだけみんなでやってみます。式を書きなさい」<a×3/4>
「3/4を□で囲みなさい」
「その下に↓を書いて『1より小さい』か『1より大きい』か書きなさい」
「みんなで言ってもらおう」<1より小さい>
「その通り!全員起立。答えはaより大きくなるか小さくなるか書きなさい。書いたら座りなさい」
 答えを確認して言う。
「残りのイ,ウ,エすべて同じようにやります。できたら持っていらっしゃい。ただし持ってくる前に問題をもう一度読むこと」
 子どもたちは補助言葉によってまず間違えない。
 ノートをのぞいてもそれは分かる。
 そこで○付けの観点を「問題文をしっかりと読んでいるか」にした。
「△をもらった人はまだ途中ということです。×の人は間違っていることになります。今日は△が多そうです。」
とふる。

 一番の子が来た。Hさん。見事に?△。
「惜しい,△です。」
と聞こえよがしに言う。
 他の子が焦る。
 なぜ?という感じである。
 めったに間違えないHさんが○じゃないのだから。
 だから楽しい。
 4番目の子まで見事に△。
 あまりおもしろがってもいられない。
 ある意味,私の指導の弱さなのだから。

 さていったいHさんをはじめ早くもって来た子は何が足りなかったのか。
 
 再び持ってきたHさんが見事正解した。
 黙って○をつけた。
 正解はすぐに波及する。
 みんな「やられた!」と言う表情である。
 正解が続出した。
 
+*+*+*+*+*
馬場慶典
baba7544@aurens.or.jp
http://www.aurens.or.jp/~babat7544/babat%20hp.htm
(「ばばてい〜」)
http://www.aurens.or.jp/~babat7544/sinai.htm
『してはいけない』サイト
TOSSLAND Top-page http://www.tossland.net/

HOMEへ   目次へ