編集後記



 盲蛇におぢず
 西竹小中学校開校十周年を機に、西竹の歩みを整理してみようという話がもち上がって、 そのまとめ役を簡単に引受けてしまった。実際そんなにむつかしいものではないと、たかを くくっていた。何せいぜい二十年の歩みではないかと。
 一応編纂委員もきめて、編纂内容の原案もつくった。二月の半ばであった。それから数 回会合をもったが、運悪く吹雪、吹雪で流会。そのうち蒔きつけになり、学校では運動会行 事で多忙。夏休みにと思ったが、部落では牧草収穫、そのうちに開校十周年は目の前にきて しまった。
 仕方なく、アンケートで資料づくりをしたが、日記をつけている人ならともかく、思い 出してなどなかなか書けない。書いても記憶違いが多い。そんなわけで資料は集まらない、 会合もできないので、雨降りにでも部門毎に書いてもらおうと、執筆を依頼した。然し、時 期がイモ・ビートの収穫時とあって、ほとんど集まらない。事ここに至って、むづかしさを 痛感。どこからきりくずしていいものやら、見当がつかなくなってしまい、さじを投げ出そ うかと思った。
 然し、これが誤りの発見の材料として使われることも大きな意義をもつことだと考えたり、 歴史は書き加えられるものでなく、書き改められるものであるという歴史家のことばのよう に、誰が書いてもその時代に生きている臭いだけは出るものだと自負し、藤井弘美編纂委員 長の不眠不休の原稿集めをもとに、記録したものである。
 つじつまの合わないところが多いし、文も書き下しで、読み返しすらしていない、誠に乱 暴な不遜なものを世に出す始末。お叱りの嵐をこの小冊子にたたきつけ、二十年後三十年後 にはより真実で立派なものが出来ることを念じつつ、責を終える。

                   

松本 五郎




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