VOL.3〜「ガーリィー・ポップ 第2条 ガールズ・グループは永遠に不滅です!
〜または言ってみりゃ、女3人揃えば悪いものは1枚もナシ〜

(前回までのあらすじ)

 アヴリル・ラヴィーン待望の新譜をてっきり今月発売だと思い込み、「来月はポピュラー・ガーリィー特集で!」と鼻息荒く予告した前回。ところが、なーんとアヴリルの発売は4月。今回の特集に悩んでるところに、「前月みたいにカアリィとりあげるなら、その前にフランス・ギャルとか基本的なガーリィーを紹介したら?」とおよそシャバダバダー♪フレンチ・ポップスの世界から100万光年離れたコルカタからスタッフ中澤のメールが。いいから帰ってこいオマエ!

 反響はさらに増え、「卒業してもガーリー・ポップは必ず毎月見て勉強します!」とか嬉しいことも言われてるうちに、たしかにもっとマジメな紹介も必要かも。だいたい、aikoサイコォー!!とかグウェン姐さんサイコォー!!とか毎月叫んでるだけだもんなオレ…など考えてる最中、な、なんと!どーすんのオレ?とかふざけてたバチがついにあたったか本当に転勤なオレ!!さらに毎月このコーナーの垂れ流しっぷりを見て業を煮やした北見のDJ粕谷さんが(マジでこの人の知識には絶対勝てない)「ガーリィーポップ」ならオレに語らせろ!!ということで今月刺客として乱入!!

 …と、毎月かならず別ウインドウにトバされる、ハリウッドの場末ウンコページの「ガーリィーポップ」ですが、ハリウッド本体とは関係なく、ますます無意味な盛り上がりを見せる昨今!そして引っ越しの準備もしないでこのコーナーに命をかけるオレ!明日はどっちだ!!ドーント・ミス・イット!!

 …ただし本編に入る前に、これだけは言わせてほしい。00年代のガーリーはアヴリルなしに語ることはできないと。アヴリルこそが現在の10代にとってのガーリィーの基本でありロール・モデルだと。つうか、マジ可愛すぎだと!!こうしてまたオッサンの人格を完全に疑われたところで、そろそろはじめますか!まずはノラ・ジョーンズの待望の新譜から!!

 デビュー・アルバムからいきなりグラミー賞、全世界で3000万枚を超える売り上げを誇る超大物ながら、この人は本当にブレがない。反則級のルックスも、ジャズやルーツ・ミュージックを折衷した音楽性もデビューから1ミリも変わらない。もともとニューヨークのアンダーグラウンド・フォーク・シーン出自の人とはいえ、こんだけ財を成しても豪邸も買わなければ、ましてやブランドやショップを立ち上げるわけもなく、いまだにニューヨークのアパートに住み続け、メジャー・マイナー問わず有能なミュージシャンと日夜ライヴ・セッションを繰り広げる生きざまは、悔しいけど格好良すぎなのら(しまった…)。

 しかもアルバムの枚数を重ねるごとにジャケのセンスも、曲のクオリティーもどんどん上がってるですけど、この人(名門ブルーノートの育て方か?)メロディーの立ち具合でいえば、今回が間違いなく過去最高。ふだん BELLE & SEBASTIANとかMOLDY PEACHESとかを愛聴しているハリウッドのお客さんだったら特にオススメ。一日中流しておいても、人生の無駄にはならないどこまでもフリーダムでピースフルなポップ・ミュージック!


 というわけで、今回から紹介してしまおうガーリィー必修科目!ノラ・ジョーンズが好きなら是非リッキー・リージョーンズも!ジョニ・ミッチェルやキャロル・キングの影響も見え隠れするが、一番サウンド的にも歌詞的にもノラが影響受けてんのは、たぶんこの人なのら!(しつこい)。

 少女時代から全米を放浪し、LAのジャズ・シーンからデビューしたヒッピーで破天荒な人生も、ラヴィ・シャンカールの娘(!)であるノラに負けないほどディープ。ジャズやスワンプをベースにあくまでサラッとポップ(重要)に聴かせるこのデビュー作。「彼、最近変なの/いつもの古いジーンズもはかないし/髪をとかしちゃったりして/きっと恋してるんだわ/相手はどの娘?/わかってる/私に恋してるのよ!」とルーム・シェアしてる相手を思いっきし実名で歌ってしまう全米ヒットM@「恋するチャック」を筆頭に全編が(ある意味)超ガーリィーな珠玉短編集。アナログ盤映えするジャケットは是非女の子の家に飾ってほしいと思うのはオレだけ?(中古盤屋で500円ぐらいっす)。

 ノラ・ジョーンズも反則級のルックスだけども、この人も美人ですよねー、シアラ。ほら、向こうの人ってジャケ写はチョー可愛くても、実際に動いてるのを見るとけっこうどすこーい!だったりするじゃないですか。特に白人。ヒラリー・ダフとかミッシェル・ブランチ(うぅ…好きやったのにぃ…)とか。でも、この間チャンプルーに出てたシアラは本当ビューティーでしたよね。さらに、ドスをきかさない可愛い声なのも、かなりガーリィー的に高得点ポイントで。

 このアルバム、年末に出たので今さら感もありますが、マジ名盤。キャッチーさではビヨンセ超え、エッジーな前衛性はケリス超え、さらに曲の粒揃い具合、完成度はジャネット超え…という超完全無欠なポップ・アルバム。プリンス〜デスチャ系の電磁波キック炸裂の先行シングル「PROMISE」にもヤラれましたが(プロデュースはファーギー「LONDON BRIDGE」のポロウ・ダ・ドン!)その他にもウィル・アイ・アム、ネプチューンズ、ダラス・オースティンなど全曲錚々たるメンツが彼女のためにかなり力を入れまくってます。

 …と、こうしたプロデューサーの才能を惜しげもなく女の子に投入する構図。これって古のモータウン時代からガーリィーポップの基本で。まあ、ヒップホップ、R&Bがもともとプロデューサー・ミュージックという構造的な特徴はもちろんあるんですが、そういう「良い子系」の女の子が歌う曲ってフツーださくなりがちじゃない?なのに、そこに地上最強の作曲&アレンジメント&録音&ミックス技術が惜しげもなく投入されてるところ(もちろんカネのためだけど)。そこんとこの魅力に気がついて、ガーリィ−R&B(?)にガツンとハマるきっかけになったのが次の曲で。


 今も活躍中のブランディが、まだティーン・アイドル時代に出した名・名・名・ウルトラスペシャル激名曲!プロデュース&作曲はベビーフェイス!得意の「せつないぜメロ」をブリッジでタメてタメて、んでサビでバーッと一気に明るく展開するとこがタマラン!名曲なのですよ。 L.L.COOL Jのラップが絡んだリミックスVer.も含めて、ラウンジでしつこいほどかけたこの曲、さすがに今はあまりかけませんが、「思い出盤」ちゅうやつですね、コレは。

ちなみにこの曲は、映画「WAITING TO EXHALE」(邦題:「ため息つかせて」笑)のサントラに収録されてます。しかもこのサントラ、メアリーJやらTLCやらものすごいメンツで全曲プロデュース&作曲はベビーフェイスです。今ならどこ行ってもゲオで100円くらいで投げ売りされてるんで、ガーリィー必修科目として是非このサントラCDも。

 さて!「古のモータウン時代」と言ったからには、いよいよ本題に入らなければ!(長ぇーよ!)いや、映画「ドリーム・ガールズ」をやっと見たんですけど、こーれが本当に素晴らしい!!

 ストーリーは結構有名だけど、60年代のモータウン時代に擬せられていて、黒人がソフスティケイトされた音楽を、自分達で売り出して白人社会にクロスオーヴァーしていくという、ダイアナ・ロス&シュープリームスまんまの世界。映画ではディーナ・ジョーンズ&ザ・ドリームスというガールズ・グループですが、実力はあるが見た目が今イチなメンバー(ジェニファー・ハドソン!歌がスゲー!!)がクビになったり、ニュー・ソウル台頭とともに徐々に落ちぶれていくスター(エディー・マーフィー完全復活!!涙)のオーヴァードーズによる死など、ほとんど現実を元ネタにしてます。欲にまみれて周囲を不幸にしていく悪徳オーナー、カーティス・テイラーJr(ジェイミー・フォックス!)は要するにモータウン社長ベリー・ゴーディJrなわけで。

 …けどね。この映画の悪役である黒人オーナーって、どー見ても「悪」じゃないんですよね。黒い肌による音楽が市民権を得るのがどれだけ難しかったか、しみじみ痛感して。本当にファミリーのようだった黒人同士が成功を境に次第にムチャクチャになっていく様子は、見てるとだんだん切なくなってきます。だって今も状況はあまり変わってないわけで。ネタバレしちゃうけど、ラスト「実はドリームスは4人でした!」ってビヨンセが告白する感動シーンがあるんだけど「デスチャもそうだろ!」ってツッコんだ人間は自分だけじゃないはず(そういう意味でもビヨンセは超ハマリ役)。

 …まあ、そういう真面目なコーナーじゃないんで(笑)テンションあげて、見どころを言えば、やっぱりビヨンセが!!う、美しすぎる…。60年代のガールズ・ポップから、ニューソウル、ディスコ時代までジャケットのパロディを含めて、もうまんまコスプレ・ショー。大画面でキラッキラの服のビヨンセ見てるだけで本当テンションMAX!っすよ(なので映画館で見るのがオススメ)。

 そしてエディ・マーフィー(涙)が素晴らしすぎる!!いやー、オレ、本っっ当に大好きなんだよエディ・マーフィー!!そう言うとバカにされるんだけどさ…いや、別にバカにされてもいいんだけどさー…「サタデー・ナイト・ライブ」と「デリリアス・ライヴ・ショー」だけは見てよ(松っちゃんがこの2本からどれだけギャグをパクってると…)とにかく時代の流れに沿ってリトル・リチャードからJ.B.にマーヴィン・ゲイまで久しぶりにモノマネの才を爆発させたエディを見て、「Dr.ドリトル」とかしか見てない人はかなり衝撃を受けるはず。これがエディ・マーフィーじゃあぁ!!あ、ガーリィーポップだっけか。

 話を戻すと、そのディーナ・ジョーンズ&ザ・ドリームスが、本編で1人抜けて、2人でリハやってるシーンがあるのね。で、「ダメだ!格好がつかない!」って言うんだけど、それが本当に格好ついてないんだよね(笑)。あと感動のラスト・シーンのはずの、夢の「4人ドリームス」も…まあ感動はしたけど、「やっぱ3人の方がグッとくるなぁ…」とつい思ったりして。「ガールズ・グループはやっぱ3人組じゃないと!」と深く思いましたね。

 2人組だとパフィーとかTATOOとか推定少女(笑)みたいにちょっと脱力系かエロ系になっちゃうし、4人以上だともろアイドルグループみたいでファンの男率高そうっていうか…やっぱガーリィーは3人組でしょ!それこそシュープリームスもロネッツもTLCもデスチャも3人組だもんなぁ。あ、キャンディーズも3人組か(笑)。でも本当このコーナーを立ち上げるきっかけとなった(最近すっかり忘れてたけど)ピペッツも3人組で。この辺りはかなり研究してるはず。

 このサントラは当然俳優陣が歌ってるんですが、とにかく全員歌うますぎ!アメリカってこんな才能がゴロゴロ埋もれているのか…恐ろしい。そして音楽のイカすこと!ガールズ・グループ時代からソウル、ファンク、ディスコ時代までをオリジナル曲でありながら、当時のプロダクションに擬した音質で見事に再現。アメリカのエンターテイメントって本当にスゲー。これ、アナログ出たら買おう…。

 ということで、ベタ中のベタですが、これでしょう!今もauの春割CMで流れている「YOU CANT HURRY LOVE(恋はあせらず)」。モータウンが生んだリズム革命としてあまりにも有名なこの曲。このリズムがなかったら存在しなかった曲は軽く100曲はあるはず。「日本人が知ってる洋楽」の10本の指に入るぐらい超有名な曲なんで、ちょっとコンピ探せばどこでも収録されてます。自分もいまだにDJでよくかけてます(FACE RECORDSで500円で買ったやつですけど…)。

 というわけで、引っ越しの準備もせず、バカ長く書いてしまったガーリィーポップ!いくらなんでもこれは長すぎた!来月こそポピュラーボーカル特集「アヴリルのジャンプがこの世の中を熱くする!(仮題)」をお楽しみに!!(っつーか、引っ越し!!)。

 それでは次に北見のDJ粕谷さんのレビューをどうぞ!


粕谷智哉のガーリィポップに首ったけ

 ふむ、ふむ。そうきたか。清野先生紹介のガールズたち。俺も大好き!

 ノラジョーンズは、前回のアルバムのあの曲のあの人によるハウスミックス、良かったな。ブランディーもあの曲のハウスミックス、今をときめくあのアルバムのあのプロデューサーによる1stシングル、好きだな。ビヨンセはあのリズムの取り方。ものすごい勢いでどんどんどんどんオリジナルになってってる感ない?昔のメアリJブライジのよな。あ、忘れちゃいけないあの曲のあの人によるリエディット、最高!!!そしてリッキーリージョーンズ、いい!いい!あぁ、今回のレビュー、鈴木祥子について書きたくなった。リッキーの流れで。けど、けどですよ・・・、いきなりですがみなさん!!

『あの人(アーティスト・バンドなど)、流行ったのがあの曲でなかったら良かったのに・・・』

と思った事ありませんか?僕は多々。書き出すとキリがないのですが、西のKAN、東の森若香織の両巨頭、そう思っているのです、出身地はさておき、個人的に。ともに、『愛は勝つ』、『あいにきて!I NEED YOU』で一斉を風靡した2人。でも、そんなの比べ物にならない名曲をたくさんこしらえているのです、ともに。

 そこで、森若香織。元GO-BANG'S(ゴーバンズ)のヴォーカル&ギター。そのほとんどのソングをライティング。ギターを持っていますが愛を弾いているのです。そう弾いているのは愛なのです、ギターを持っていますが。え?しつこい?しかも、映画のタイトルをパクってるだろって?・・・はい、すみません。・・・悪い?何か?(居直ってさらにパクり)。

 ちなみに札幌インディーズ時代バレンタインに出したチョコ付きのカセットテープ、4人時代のアナログをも持っている俺。ファン歴20年強。そこで今回は1stソロアルバムの『LOVE OR DIE』を。

 みうらじゅんをして、日本の女性ロックスターは森若と日暮愛葉だと言わしめたとか、いないとか。AKIをして、森若とピチカートの小西さんの詩が好きと言わしめたとか、いないとか。そしてこのアルバム、イリシットツボイもYOU(森若と仲良し)も参加しているので、そこに反応しちゃう人も多そう。Thanks to(だいたい歌詞カードの最後にあるやつですね)にGO-BANG'Sメンバーかつ同郷の谷島美砂と書くあたりも泣ける。時代的にもローファイってのがブームだったあの頃の音。今、聞いてもいいんだよね。

 そして何といっても詩。これは好みってのが確実にあるけど、俺にとってはホントにツボなのです。簡単な言葉でそれで響く何かがあるのです。あぁ、思い入れ余って長々と・・・。あぁ、起承転結の起が長すぎた・・・。そして、承も転もなく、結。そう、終わりはいつだっていきなり訪れるのです。そしてすべての終わりは何かの始まり(パクり)。そこで最後に森若ファンとして忘れてはならないこの森若仕事。清野先生も大好きのECDのREMIXES Vol.1『カッティングエッジ』の帯コメントを。

『普通の生活をする大人の男と、とんでもない所に住んでいる一匹狼(!)が、 ECDの中にいるような気がします。音のせいか、詞のせいか、声のせいかわかないけど、かっこよく怖くて、力強いのに、どうしても泣けてくるのはどうしてでしょう』 森若香織より。

どう?


バックナンバー


■2007年2月
VOL.1 「男は誰でも女好き」

■2007年3月
VOL.2 「ガーリィー・ポップ第1条〜出し惜しみはナシでね!〜」


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