NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題12

赤ちゃんが「自動車」を見ています。「ぶーぶだよ」と教えますか、「くるまだよ」と教えますか。

 ヒント 次の3つから選んでください。

      @「ぶーぶーだよ」と教える。

      A「くるまだよ」と教える。

      Bどちらでもよい。

 さっとママに登場してもらいましょう。さっとママはどちらで教えていましたか。

 私は息子が車の絵やおもちゃ、実物を見る時「車だよ。く、る、ま」と教えていました。
 でも、幼児語で教えるなら「ぶーぶー」になります。どちらが息子にとって発音しやすいかといえば「くるま」より「ぶーぶー」ではないかと迷っていました。

 迷いながらも「くるま」で教えていたのですね。確かに発音しやすいのは「ぶーぶー」ですから赤ちゃんが話し出す時の言葉を考えれば「ぶーぶー」でしょうね。さっとママはどうして「くるま」と教える方を選んだのですか。

 はい。確かに「ぶーぶー」とか「わんわん」と教えた方が赤ちゃんは話しやすいと思います。けれど、あとになって「車」「犬」と教える時に、子どもは1度身につけた呼び方を言い直すのに苦労するのではないかと思いました。それまでずっと「ぶーぶー」「わんわん」と呼んでいたのに、ある日を境に「車」「犬」と呼ぶのは大変なのではないかと思ったのです。

 こんな実験があります。同じ言葉を言うのにも、目の前に乳幼児がいる時と、そうではない時とでは、声の高さとスピードが変わるというのです。目の前に乳幼児がいる時は、「ぶーぶーだよ」「わんわんですよ」と言ったその声は普段より高くなり、スピードはゆっくりになると言います。多くの人に身に覚えがあるのではないでしょうか。確かに自分が赤ちゃんに教える場面をイメージしてみると、自分の声がいつもより高くなってしまうような気がします。そして、そのスピードもいつもよりゆっくりめになりそうです。これは「ぶーぶー」「わんわん」という言葉自体にもそのように言わせやすい構造があるような気もします。また、このことを歌で試した報告があります。それによりますと、赤ちゃんは音の高い、ゆっくりした歌の方に、より反応を示したそうです。これは言い方(歌い方)の問題でもありますが、「ぶーぶー」や「わんわん」の方が高くゆっくりとした言葉で言いやすいとしたら、赤ちゃんにとって興味の向きやすいのは「くるま」よりも「ぶーぶー」ということになります。[33]

 私自身はその後、結局判断がつかず、「ぶーぶーだよ」と言ってみたり、「くるまだよ」と言ってみたりしていました。息子もあっけないほどそれらを理解し、どちらの呼び方も使いこなしていました。

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