NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題15

赤ちゃんに離乳食を食べさせようとすると、自分でスプー ンを持って食べたがります。お母さんとしては汚されるので 悩ましいところです。どんな作戦が考えられるでしょうか。

 離乳食を始めた頃、「離乳食は戦争だ!」というお母さん方の言葉の意味がよくわかりませんでした。私の息子は差し出した離乳食を、口を開けて上手に飲みこんでいたからです。素直に口を開けてスプーンを待つ姿は餌を待つヒナ鳥に似て離乳食の時間が楽しみでなりませんでした。

 さっと君は離乳食を散らかさずに素直に食べるタイプの赤ちゃんだったのでしょうか。

 いいえ。それは最初のうちだけでした。そのうち息子はスプーンに手をのばして自分でスプーンを持ちたがるようになりました。そこで作戦を考えました。スプーンに少しだけ離乳食を乗せて、息子にはスプーンを握らせながらも私が端を支えて持っているという食べさせ方です。これは大成功でした。こうすればそんなに汚すことはありません。むしろ息子が自分でスプーンを握って口に運ぼうとする姿に感動して微笑ましく見る毎日でした。やっぱり離乳食は楽しい時間でした。

 なるほど。スプーンには少しだけ乗せて、さっと君にスプーンを握らせながらもお母さんがスプーンの端を支えてあげるのですね。ちょっとの工夫で散らかさずに済んだのですね。

 ええ。でも長続きはしませんでした。そのうちに息子はスプーンよりも茶碗の方に食べ物がたくさん入っていることに気づいたらしく、茶碗を自分で持ちたい、食べ物が入っている茶碗を手元に置いておきたいと泣き叫んで主張するようになりました。私は、いくらなんでも茶碗を持たせるのは不安でした。しかし、遠ざけると泣き叫びながら茶碗を取ろうと身を乗り出してきます。茶碗を持ちたい息子と汚されたくなくて茶碗を預けられない私の闘いが始まりました。そんなある時、茶碗の奪い合いになり、ガラガラガッシャーンと茶碗が床にひっくり返ってしまいました。1瞬、何が起きたかとシーンと静まり返り、その後、目を見合わせて2人で大笑いしました。笑いながら雑巾で床を拭きつつも内心では「これじゃあ、いけないな。作戦変更するしかないな」と決意していました。

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