NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題15 離乳食。どんな作戦が考えられるでしょうか。

 さっと君の気持ちもわかるような気がします。目の前に置かれた茶碗に手をのばしてみたくなるのが好奇心というものですね。でも、茶碗を持ちたがるさっと君を満足させるいい作戦はあるのでしょうか。

 それで考えました。まず、床に食べ物がこぼれてもいいようにレジャーシートを敷いてビニール製の椅子に息子を座らせることにしました。体が汚れてもいいようにパジャマかシャツ1枚にしました。長袖のエプロンをつけ、手ぬぐいもセットしました。息子が欲しがる茶碗は彼が安心して自由につかめるようにあえて目の前に置いてやりました。当時、息子は手を食べ物に突っ込んでぐちゃぐちゃかき回すと安心するようだったので、そうしてもいいように事前に手を念入りに拭いてやりました。そのうえで息子が茶碗を持ったり、中に手を入れても落とさないように私はしっかり茶碗を支えることにしました。

 なんともすごい作戦ですね。レジャーシートで茶碗つかみ放題ですか。これだけ準備していれば多少汚されても大丈夫というか、最初から汚されることを想定した離乳食タイムというわけですね。

 はい。たとえ息子が食べ物で体中ベトベトでまわりを散らかしても「それが赤ん坊。それが食べる練習。汚して当たり前」と自分に言い聞かせました。食べ終わった後、夕食後ならお風呂へ直行です。顔や手に汚れが残っていてもお風呂できれいに洗い流してしまうことにしました。作戦を変更したことで、また離乳食の時間を笑顔で楽しめるようになりました。

 さっとママのとった作戦を分析してみましょう。作戦は2つありました。第1の作戦と第2の作戦です。第1の作戦はお母さんがスプーンの端を持ってあげて汚さないようにするということでした。考え方の方向は「どうしたら汚されずに済むか」ということです。それに対して第2の作戦は「こうなったら思う存分好きなように触らせてあげちゃえ」という方向です。作戦の方向を大転換させたわけですね。

A:汚されないようにするか
B:汚してもいいようにするか  

 「汚される」「汚されない」というのは母親の立場からの選択肢です。
 今度はさっと君の立場からの選択肢で考えてみます。

C:好きなように食べさせるか
D:制限を与えて食べさせるか 

 さっとママのとった方針は明らかにCです。レジャーシートを敷いて、服装までも考えて準備したのは、さっと君に好きなように食べさせたかったからです。しかも、このことはAの「A:汚されないようにする」ための工夫でもあります。そう考えますと、さっとママの工夫は次のようにまとめることがでます。

好きなように食べさせて、できるだけ汚されない工夫をする。

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