NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題20

子どもが「読んで!」と持ってくる絵本がいつも同じです。同じ本を読み続けてもいいのでしょうか。

 息子が生まれた時、お祝いに絵本をプレゼントしてくださる方がいました。とても嬉しくて「絵本はいつから読み聞かせたらいいですか」と聞くと「赤ちゃんはわかっているよ。私は生まれてすぐから始めたよ」と教えてくれました。それから我が家でも絵本の読み聞かせを始め、今も続けています。

 我が家でも読み聞かせは毎晩の行事でした。子どもたちは布団に入る時に自分で絵本を選んで持って来ます。母親が真ん中に寝て長女と次女が両側です。三人で仰向けになって母親が本を開いて始まります。一連の動きがシステムです。寝ることは毎晩繰り返されますから、読み聞かせも毎晩繰り返されます。三女が生まれるまで続いていたので小学校三・四年生くらいまでやっていたと思います。

 我が家でも読んでほしい絵本を戸棚から引っぱり出してきて「お母さん、読んで」とリクエストしてくるようになりました。寝る前に車や電車の図鑑を読まされたりして「ジャンルは様々でいいと言われたけど、寝る前に図鑑を読むのは変な気分だなあ」と思いながら読み聞かせていたこともありました。そして気に入ると、毎日毎日同じ本を持ってきて何度も何度も読まされました。

 三女が生まれてからは読み聞かせの相手が0歳の赤ちゃんになりました。0歳ですから本を自分で選ぶことはできません。松谷みよ子さんの『いないないばあ』やキヨノサチコさんの『ノンタン』シリーズなどを読んであげていました。三女は0歳なのでまだ話すことが出来ません。しかし、同じ本を繰り返し読んでいると、ページをめくるときに次のページの言葉を声に出して言うようになりました。覚えているということです。ページをめくろうとすると、次のページに出て来る挿絵のポーズを自分から先にすることもありました。これも覚えている証拠です。0歳からこんな調子ですから1歳を過ぎると大変です。長い文章の絵本でもすべて正確に覚えているので母親が少しでも間違うと指摘されます。母親の方が眠くなって読み聞かせが止まってしまうと続きを読むように起こされます。本がヨレヨレになってしまうくらい繰り返し読みました。

 同じ本をリクエストするのは、覚えてしまったストーリーを確かめることで安心したいからなのだそうです。これは思い当たることがありました。確かに最初の頃、親が読み間違えたり、ページを飛ばしたり、ちょっとアレンジしてお話を変えたりすると、子どもは「お母さん、ちがう!」と間違えを指摘し、きっちり正確に読むように促しました。三歳だった当時の息子のお気に入りは「ぐりとぐら」シリーズでしたが、まず絵本の言葉を暗唱するようになりました。まだひらがながわからない息子が絵本のページをめくりながらまるで絵本を読んでいるかのようにそのページに書かれていることを言うのです。何十回と聞いたお話なのでそのページの絵をみるだけで言葉がついてでてくるようでした。家族にほめられたり、驚かれるとまた得意になってやっていました。次に私が読み聞かせていると、続きの文章や言葉を息子が先取りして言うようになりました。

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