NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題21 自分の息子と一緒にやりたいこと第一位は。

【答え】

 キャンプやバーベキューなどのアウトドア

出題のポイント

4位に「海で遊ぶ」が入っているので予想が難しい場合も想定されます。適度にヒントを出して答えに導いてあげてください。また、「野や山で遊ぶ」と答えた場合はどうなのかといった判断も迫られるかもしれません。アウトドアに入るものは正解としてかまいません。

 200万年前の男性にとって狩猟は重要な仕事でした。自然の中で食べるという未来を志向し、そのための準備を計画的に実行するという醍醐味は、いまだに男性の本能をくすぐるのではないでしょうか。父親がアウトドアに憧れる一方で、息子の方は大自然に強い好奇心を持ちます。昆虫採集や魚釣りなどは男の子の好奇心をくすぐる最高の遊びです。ノーベル賞を受賞者するような有名な科学者には「虫好き」の人が多いという話もあります。自然体験の中には子どもの成長に影響する何かがあるような気がします。

 第一のキーワードは「好奇心」です。珍しいものや面白そうなものに興味を示すのが好奇心です。その行動は面白そうだからやるという自発的なものです。他人から強制されて行動するものではありません。脳科学者の澤口俊之氏は「自発性を育てるためには、好奇心を育てることが要となる」と主張されています。[9]

 ところが、世の多くの親たちは自発性を育てることに失敗しがちです。よく次のような言葉を聞きます。「うちの子どもは勉強しなさいと言ってもさっぱり勉強しないんです!」これに対して、まったく逆の話をする大人たちもいます。「私は親から『勉強しなさい』と言われたことが一度もないんです」つまり、世の中には、勉強しなさいと言われてもやらないタイプの子と、言われなくても勉強をするタイプの子の二通りが存在するということです。前者は(勉強に対する)自発性が育たなかった子で、後者は(勉強に対する)自発性が育った子です。一体、何が違うのでしょう。澤口俊之氏は親から一度も「勉強しなさい」と言われなかったといいます。それなのに大学院にまで進んで研究者になったわけです。一体どんな秘密があるのでしょう。澤口氏自身は次のように述べています。[10]

 私も(人類の一員らしく)好奇心が幼児のころから旺盛だった。とくに昆虫などの生き物や理科実験には好奇心まんまんだった。私の両親は、そんな私の好奇心を伸ばすべく、(とても貧乏だったが)いろいろなことをしてくれた。学研の『科学』を購読させてくれるとか、高価な昆虫図鑑を買ってくれるとか…。良質な絵画や音楽などには無縁だったが、昆虫を始めとする生き物たちが豊富にいる野原(私にとっては「豊かな環境」そのものだった)が周囲にあったので、そこで好奇心にまかせて日夜遊び回っていた。

 小さい頃の自然体験は好奇心を育ててくれる場なのだと思います。その好奇心がもっと大きくなったときに様々な場面で自発性として発揮され、一生の財産になるのではないでしょうか。自分のことで恐縮なのですが、私も親から一度も「勉強しなさい」と言われずに育ちました。貧しい中で昆虫好きだったのも澤口先生と同じです。父親が図鑑を買って来てくれたところも同じです。父親は私をよく海に連れて行ってくれましたし、母親は実家が田舎だったのでよく山へ連れていってくれました。両親ともに昭和のアウトドア派でしたので、私は好きなだけ自然に浸かって子ども時代を過ごしました。両親も好きなだけ遊ばせてくれました。カエルやザリガニなどの生き物の飼育を認めてくれたり、とにかく自発性をへし折られる経験はまったくしないで育ちました。そのおかげで自分から勉強するような気持ちも育ったのではないかと想像しています。

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