NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題24

運動神経を発達させるためには3歳〜6歳の間の 体験が大切だと言われます。どんな体験が大切なのでしょう。

 我が子といっしょに野球やサッカーをやりたいと願っているお父さんが多いようですが、スポーツをするには運動神経が欠かせません。子どもの運動神経をよくするためにはどんなポイントがあるのでしょうか。

 2歳半の女の子の話です。水の入ったコップを手に持って、その水を別な容れ物に注ごうとしていました。ところがその時、傾いたコップを手にしたままの状態で「お水が止まらないよお!」と泣き出してしまいました。保育園の先生が駆けつけてコップの傾きをまっすぐに戻してあげたのですが、先生はその時にびっくりしました。その女の子の子の手が、ガチガチに固まっているのです。実は、この女の子にとって、「水の入ったコップを握って別の容れ物に注ぐ」という動作は生まれて初めての経験だったのです。そのため、傾けたコップを元に戻す手首の筋肉運動がよくできない上に、緊張からコップを強く握っていたので余計に思うように手を動かせなくなってしまったというわけです。たかが「コップの水を注ぐ」という動作であっても、うまくやるためには様々な筋肉の動きを必要とします。慣れてしまった人はそれをほとんど無意識にやってしまいます。感覚として身についてしまっているからです。[19]

 様々なスポーツで使う運動神経もこの女の子の話と共通しています。無意識にやってしまう様々な動作は、実はいくつもの動作の組み合わせによって成り立っています。その一つ一つの動作が、これまでに経験した動作の組み合わせであれば練習によって習得がスムーズにいきます。しかし、これまでに経験したことのない動作が含まれている場合は、なかなかすぐには身につかないものです。
 たとえば、「ボールを投げる」という運動を考えてみましょう。たかが「ボールを投げる」という運動ですが、小手先だけでポイっという感じでしか投げられない子もいます。遠くに投げることができず、目の前の地面を直撃してしまいます。そうかと思えば、足を広げ、腕を振りかぶって、体全体を使って野球選手のように上手に投げることのできる子もいます。「ボールを投げる」という運動にも、それまでの様々な経験や感覚が影響してこのような違いを生じさせます。

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