NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題26 わが子がごみを道端に捨ててしまったときの対応は?

 いじめや犯罪などを起こしてしまうのも、小さな行動が「強化のサイクル」によってエスカレートしてしまった結果であると考えることができます。ならぬものはならぬ≠ニ言って本気で叱ることも時には必要です。また、この考え方は「危険な行動」を抑える時にも有効です。子どもが道路に飛び出した時などに厳しくその場で叱ることも強化を防止します。やってはいけないこと、危険なことに対して、大人が本気になるのは、次の時のこと(その子の将来)を思っているからだと考えて間違いないでしょう。

【答え】

@ その場で叱って拾わせる。

出題のポイント

平気で外にごみを捨ててしまう人は、そのことで損をしたり、不快な思いをした経験がないので繰り返してしまうわけです。「快」を断って強化のサイクルをつくらないことがポイントです。

 ただし、気をつけなければいけないことがあります。
 それは叱り方には「決してしてはならない叱り方」があるということです。

 1.体罰
 2.怒鳴る

 浜松医科大学特任教授の杉山登志郎氏は言います。
「体罰を避け、大きな声で怒鳴るのも極力避けたい。強く叱責されたときは周囲の情報が飛んでしまい、叱られたということだけが残る。すると、そのときは止めるがまたやるということを繰り返すことになるだけである。」[26]

 子どもを叱る時に大声で怒鳴ったり、叩いたりすることはまったく意味がありません。叱る側は「わからせよう」と思って怒るのでしょうけれども、杉山氏の説明にあるように「なぜ叱られたのか」について考えるための情報が飛んでしまい、怖い思いだけが残ります。「正しい行動をしよう」という気持ちよりも「怒られないようにしよう」という気持ちが強くなり、「どうすれば怒られないか」を考える子どもに育ちます。そうなると、親の見てない所で悪さをしたり、たえず親の顔色を伺う癖のつく子どもになってしまいます。叱る時のコツは、本気で、短く、上品にです。

 「ヤメロこらぁ!」「ふざけんなテメエ!」などではなく、「だめですよ!」「いけません!」などと敢えて上品な言葉で、短く、本気で叱れば、「いけないんだ」ということは十分通じます。子どもが大きくなると、公園や買い物などで一緒に連れて歩く機会が増えます。どうしても人前で叱らなければならない場面も出て来ると思います。その時は「本気で、短く、上品に」です。

[25]河合伊六『困った子どもとのかかわり方』(川島書店)55
[26]杉山登志郎『発達障害のいま』(講談社現代新書)245

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