NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題33 正しい鉛筆の持ち方のポイントは?

 鉛筆とシャープペンシルとの違いについても触れておきます。
 右の写真のようにシャープペンシルの芯におもりを乗せてつるしていったところ、70gのところで芯は折れてしまいました。
 同じ実験を鉛筆の芯で行うと何gまで耐えられられるでしょうか。
 その下の写真は鉛筆の芯に800gのおもりを乗せたところです。それでも鉛筆の芯は折れませんでした。
 文字を書くときに鉛筆・ペンなどの先に加えられる圧力のことを「筆圧」と言います。シャープペンシルの芯は70gの重さに耐えられずに折れてしまいました。これは70gの筆圧だと芯がポキッと折れてしまうことを表しています。では、鉛筆の芯はどうでしょう。小学校5年生の筆圧の平均数値は300gだと言われています。[3] これはシャープペンだと折れますが鉛筆だと耐えられる力です。この筆圧は学年が下になるほど高くなります。小学校1年生の平均筆圧は500gです。絶対に鉛筆でなければ力を伝えられません。シャープペンは折れやすいので、次の二つのデメリットがあります。
 @ポキポキ折れるたびに集中力が途切れる。
 A書く時に力を抜くように調節しながら書く必要がある。



 これらのデメリットは特に小学生の時期には学習に重大な影響を与えます。Aについて解説しましょう。「書く時に力を抜く」と言うのは、やってはいけない勉強の仕方なのです。人間の体の中で最も神経が繊細なのが舌と指です。「神経が繊細」というのは脳と強くつながっているということです。

 指の中でも人差し指の指先が最も強く脳とつながっています。

 文字を書く時に力を入れながら書くことで指先と脳は刺激の行き来が激しくなります。そして、この刺激の往復が脳を発達させます。これが力を抜いた書き方がダメな理由です。漢字のテストで高得点を取る子は文字が濃くてはっきりしているものです。これは指先に力を入れて一画一画をていねいに書いているからです。その土台には鉛筆という学習用具の強みがあるわけです。

[3]「所さんの目がテン!ライブラリー」http://www.ntv.co.jp/megaten/
[4]前川喜平・小枝達也『写真で見る乳幼児健診の神経学的チェック法』(南山堂)215‐216
 写真画像提供 塩谷直大氏

>>

閉じる