NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題35 「早寝早起き」の「早寝」は何時に眠ること?

 このことをもっと詳しく見てみましょう。脳は眠っている間に成長ホルモンを分泌します。成長ホルモンは、体の成長をうながしたり、疲れを取ったり、脳の発達をうながしたりする物質です。この成長ホルモンが分泌される時間帯は、夜の10時から真夜中の午前2時までの4時間くらいです。[6]

 しかも、このホルモンは眠りについてから2時間後くらいに分泌されるので10時に寝たのでは分泌が半分以下になってしまいます。効率がいいのは8時までに寝ることです。このことからも、9時よりは8時が理想的になります。 また、眠気を起こすメラトニンというホルモンの働きも重要です。このホルモンは朝の光を浴びてからおよそ14時間前後に働き始めます。[7] 朝6時に起きた子は、眠くなるのが14時間後ですから20時(夜の8時)となり、早寝早起きのリズムがちょうどよくなります。当然ですが、遅く目覚めた子は眠くなる時刻も遅くなります。これはメラトニンというホルモンの仕組です。ですから、早寝をするためには、早起きをすることが重要になります。早起きをすることで体の中に(脳の中に)眠くなる時刻がセットされるわけです。

 浜松医科大学特任教授の杉山登志郎氏は、子どもの能力を高めるための重要事項を次のようにあげています。[8]

 重要度1位…健康な生活
 重要度2位…愛着の形成
 重要度3位…遊び
 重要度4位…身辺自立
 重要度5位…コミュニケーション能力
 重要度6位…集団行動のルール

 杉山氏は、第1位の「健康な生活」の基本は「早寝早起き」だとし、その基本をもとに「適度な栄養」「適度な運動」をあげています。この「健康な生活」こそが学校生活の土台となるもので、学力の形成や発達障害の修復など様々な面での最重要事項になっているのです。

[6]大熊輝雄 『睡眠障害の自己管理・改訂版』(医薬ジャーナル社)10
[7]大熊輝雄 『睡眠障害の自己管理・改訂版』(医薬ジャーナル社)13
[8]杉山登志郎『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)181

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