(C)Two-Way/算数/5年/「四角形と三角形の面積」第1時(東京書籍)/馬場実践・開始の3分間
法則化オホーツクサークル 宍戸威之
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2000年8月21日。馬場慶典氏の授業を参観させていただきました。その授業記録です。
授業開始前。馬場先生は、教室で子どもたちと楽しそうに話をしていた。
女の子が言う。「先生、○○先生のこと、好きなんじゃない?」
そんな他愛のない会話のあとにチャイム。
馬場先生はスクッと教室の正面に立ち上がった。
68ページ、新しいページです。ノートの新しいページに、「□6四角形と三角形の面積」とかきなさい。
「はい書いた人、よんでもらおうかな。さんはい。」
まだ書いている子がいるが、早い子は既に書き終わっている。
「書き終わった人は読んでごらん。」
馬場先生は、まだの子を待たずに書けた子に読ませた。
待たずに次に進む。
これがテンポの秘訣だと思った。
しかし、違った。
時間調整を入れる。
今のは、これだった。
まだ書いている子がいるが、早い子は既に書き終わっている。
馬場先生の目にその状況がすぐに映る。
馬場先生は常にこのような小さな時間差を見逃さない。
その状況を見て、遅れている子に猶予を与え、終わった子にスキを与えないための指示がさきほどのものなのだ。
「待たない」と「時間調整」は、似ているようだが、何かか異なる。
同じ場面を追試しても、我流になるのとそうではないのとがあるように、このような細かな教育技術に、既に差が現れるような気がした。
授業はここまで30秒。
「はい、書いた人でもう一度。数字からさんはい。」
ここで、ほとんどの子が書き終えている。しかし声が揃っていないのでもう一度やりなおし。
これも時間調整だな。
しかし、違った。
ここではもうほとんどの子が書き終わっているのだ。
それよりも全体の声がそろっていないことの方が問題なのだ。
だからこそ、もう一度読ませたのだろう。
声がそろっていなかったらやり直し(緊張感を持って読む)。
今度はこっちの原則を機能させたのである。
これで集団に緊張感が入る。
書き終わってない子は追い込まれる。
「もういちど数字から、さんはい。」
(子どもたち)「□6、四角形と三角形の面積。」
はい、女の先生が何か言っています。「今までに、いろいろな図形について勉強しましたね。」長方形に指をおいてごらんなさい。
教科書に突入した。
教科書p68には長方形、正方形、平行四辺形、三角形などの図形が7つ描かれている。
そして、それぞれの図形に下には、( )が書かれてある。
馬場先生は、ここをどのように扱うのだろう。
ここは当然、
教科書に書きこませる。
これだと思っていた。
ノートではなく、教科書に直接書き込ませるのが、向山型算数の手法だからである。
ところが。。。
馬場先生は教科書に書き込ませなかった。
書き込ませずに次のように進んだ。
はい、その右。なんていう名前ですか。
(子どもたち)「正方形」
教科書に出ている図形の名前を次々に言わせていった。
( )はそのままである。
そして、次のページに進んでしまった。
これで68ページは終了。2分もかかっただろうか。
ところで、どうして馬場先生は教科書に書き込ませることをしなかったのだろうか。
基本形に向って突き進む。
これである。
もしも書き込ませることをしていたならどうなっただろう。
図形の名前は当然漢字表記にさせるだろう。それが全部で7つある。
時間がかかる。つまり、導入からテンポが無くなる。
そんなことをするよりも「基本形に向かって突き進む」方がはるかにいい。
大事なのはこのあとだ。
ここは勢いをつけるために利用するくらいがちょうどいいのである。
利用することで後半の授業がよくなる。
利用できなければここで崩れる。
ちょっとの違いが大きく響いていく。
ここでもまた、我流と本物の違いを見せ付けられたのであった。
ここまで約3分。
このあとの展開はまた後ほど。
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