NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

【コラム】さっとママの体験I

お手伝いは熱中して行う遊び

 子どものお手伝いは、子どもを育てる中で欠かせない大切なことの一つだと思っています。料理、掃除、洗濯、片づけ、買い物など日常生活の中で手や腕をたくさん動かし働くことは、子どもにとって遊びに通じるような楽しさがあり、熱中できることだからです。ですから、子どものお手伝いは積極的に取り入れたいなと思っていました。
 しかし、子どもを育て初めの頃は「子どものお手伝い」を「大人が与えたことを子どもが毎日やる」当番のようなイメージでとらえていました。ところが相良敦子氏の著書を読みこんでいくうちに、特に小さい子、乳幼児期の子どものお手伝いはそうではない、もっと違う意味をもつものだということに気付きました。 小さい子どものお手伝いは「自分で選び」「選んだお手伝いを熱中して取り組み」「自分で終わりを決めて終わる」ことを繰り返すことこそが大切で、それはその一連の行為によって、子どもの精神が充実し、気持ちが安定し、人格ごと成長できる時期だから、ということを知りました。だから、お手伝いは毎日同じものである必要はなくて、その日その日で違ってもいいし、続けてもいい、その子が満足すればそれでいい、というスタンスを少しずつ持てるようになりました。 それからは、我が家の息子にも彼自身がやりたい時にやりたいお手伝いをどんどんさせることにしました。「ぼく、やりたい」と言ってきたとき、「やってみる?」と誘って彼が「うん」と答えたときは、お手伝いのやり方をまず、ゆっくりやってみせました。そして実際にやらせてみて一人でも大丈夫そうだなと思ったら「自分で『終わった!』と思ったら、お母さんに教えてね」と声をかけ、その場を任せて離れてしまうこともよくありました。 ある時期は風呂掃除や台所のシンク掃除に夢中になり、腕まくりをし、スポンジに洗剤をつけて泡立てていつまでもゴシゴシゴシゴシ洗っていました。こういう時はこまかいことは言わず、思いっきりやらせるのがよいようです。気付けば二十分、三十分くらいやっていたこともありました。「お母さん、できたよ!」と言われたら、見に行き「うわー!すごいきれいに洗ってくれたね。ありがとう!」と言い、シャワーで泡を落とさせます。いっぱいになった泡をシャワーで落とすとピカピカです。すると、息子はよく「あー、楽しかった!」と満足そうに言っていました。
 こんな感じで茶碗洗いに夢中になっていた時もありましたし、掃除機かけや雑巾拭き、トイレ掃除が好きだった時期もありました。お料理なら卵の殻むきから始まり、野菜や肉なども切りやすそうなものから初めてどんどん切らせ、煮物なら醤油や砂糖などの味付けもさせました。買い物もビニール袋にきゅうりを入れるだとか、魚をトングでつかみ袋に入れる、重い買い物袋を持つなど本人がやりたがるお手伝いはやり方を示した上で、どんどん任せました。もちろん、お手伝いをやらない日もあります。でも、それも自然な流れに任せています。
 でも、こうして「自分で選んだお手伝いを」「全力で熱中して取り組み」「自分で納得して終わらせた」という経験をいろんなお手伝いを通して繰り返すことで、一時期みられた落ち着きのなさや情緒の不安定さが少しずつ影を潜め、穏やかに安定して過ごせることが増えてきました。これこそが、小さい子どものお手伝いの大切なところではないかと思っています。

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