NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題31 人生で「成功する子」と「失敗する子」の分かれ目は?

 では、人生で不幸にならないためには何が大切なのでしょう。『成功する子・失敗する子』の著者ポール・タフは、「勇敢で好奇心が強く親切で賢明な成人を生み出すいちばん確かな方法」を次のように述べています。[38]

 少なくともひとりの親と―――理想的にはふたりの親と―――安定した、愛情深い関係を築くこと。

 なんだそんな簡単なことかと思われてしまいそうですが、これこそが、子どもが将来幸せな人生を送るための、科学的根拠のある確かな方法なのです。たとえば、ミネソタ大学児童発達研究所のアラン・スルーフ名誉教授は、267人の妊婦を対象に調査することで、「満1歳時点での愛着関係が、その後の人生を広範囲にわたって予測できる」ことを示しました。満1歳までに「安定した、愛情深い関係」ができていれば次のような「幸せ」が待っているというのです。[39]

 @幼稚園で、友だちとうまく遊ぶことができる。
 A学校で、親密な友人関係を築くことができる。
 B学校で、特別支援の必要性を持たない児童となる。
 C学校で、「人の話が聞ける」と評価される。
 D学校で、「感情的に怒らない」と評価される。
 E学校で、「積極的に活動する」と評価される。
 F学校で、自信と好奇心を持ち、失敗にもうまく対処するようになる。
 G思春期に、複雑な人間関係を上手に乗り切ることができる。
 H高校で、卒業することができる。

 幼少期に暴力や虐待、ネグレクトといった悲惨な体験をして育った子が「不幸」を背負うのとは対照的に、「安定した、愛情深い関係」で育った子には、多くの「幸せ」が待っているのです。ポール・タフはこのことを次のように言い切ります。[40]

 ごく普通の適切な親のかかわり方が、子供の将来に大きく影響する。

 片親や貧困といった環境は決定要因ではないことがわかっています。たとえ不利な環境にあっても、親が子どもに関心を寄せてストレスを取り除いてあげれば、子どもは自己調整できる力を獲得し、困難を乗り切ることができるのです。すなわち、人生で「成功する子」と「失敗する子」の分かれ目は、幼少期の親のかかわり方にあるというわけです。

【答え】

幼少期の親のかかわり方




[35]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)41
[36]ACE(小児期逆境体験)のピラミッド(オレゴンアライアンスHP)
[37]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)50
[38]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)269
[39]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)73‐75
[40]ポール・タフ『成功する子・失敗する子』(英治出版)71

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