NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題37 「いじめ防止対策推進法」で守られているのは誰?

 では、「いじめ防止対策推進法」の重要ポイントを見て行くことにしましょう。 まずは第二条(定義)です。この法律では「いじめ」を二種類の暴力としてとらえています。 ひとつは力による暴力です。もうひとつは言葉による暴力です。 どちらであっても被害を受けた子が「心身の苦痛」を感じた場合は「いじめ」に該当します。
 次に重要なのが第二十三条(いじめに対する措置)です。ここでは、いじめに関する情報があれば、そこで止めておかずに「相談しなさい」ということが強調されています。いじめられた本人なら親や先生へ、大人がいじめを察知したならば関係機関へ、報告や相談をするという行動の重要性を取り上げています。 次に重要なのは、「いじめ」は犯罪行為にもなるということです。
 8つの例があげられています。

 @ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。(刑法第208条 暴行罪 ・ 第204条 傷害罪)
 A軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。(刑法第208条 暴行罪)
 B嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。(刑法第223条 強要罪 ・ 第176条 強制猥褻罪)
 C金品をたかられる。(刑法第249条 恐喝罪)
 D金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。(刑法第222条 脅迫罪 ・第230条名誉毀損罪、第231条侮辱罪)
 E冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。(刑法第222条 脅迫罪 ・第230条名誉毀損罪、第231条侮辱罪)

 これらは学校の判断で警察署に通報し、適切に援助を求めるべき例として書かれたものです。さて、「8つの例」ですから、あと2つあります。残りの2つは何だと思いますか。最近とても増えている行為です。

 Fパソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。
 Gパソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。

 この2つです。スマホやパソコンなどを使っての「いじめ」です。 「あれっ?」「どちらも同じじゃない?」と思われますが、罪の種類が異なります。

 Fパソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。(刑法第222条 脅迫罪 ・第230条名誉毀損罪、第231条侮辱罪)
 Gパソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。(児童ポルノ提供の罪 児童ポルノ禁止法)

 罪の内容からどんな問題行動かが想像できると思います。この2つが「いじめ」として、子どもたちの身近に存在していることを保護者は意識しておかなければなりません。

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