NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題38

発達障害が疑われるきっかけとなる特徴はどれでしょう。
 @ 友だちと遊べない、一人遊びを好む
 A 食事のときにじっと座っていられない
 B 大人びた話し方、大人に物おじせず話しかける
 C よく物をなくす、話し出したら止まらない

 ヒント 答えは複数です。

 まず、「発達障害」とは何かということを確認しておきましょう。
 国立成育医療研究センターの宮尾益知氏は次のように書かれています。[13]

 発達障害とは、ごく軽度の、脳機能の発達上の障害です。

 短い説明の中に三つの重要な言葉が含まれています。

 @軽度の…重度の障害とは違って、勉強をする上でも、生活する上でも、普通の子にまじって行動することができます。見た目も普通のお子さんと変わりません。ただ「軽度」とあるのは、学習する上または生活する上で、通常のお子さんと比べて困難さを抱えていたり、トラブルが多かったりすることが少なくないということです。

 A脳機能の…「機能」は「働き」という意味です。脳機能の障害とは、脳の働きにスムーズにいかない何かが生じているという意味です。「欠損している」とか「能力がない」ということではありません。たとえば、視力が弱いのは機能障害です。機能障害は「はたらき」の問題ですので、補ったり取り戻したりすることができます。視力が弱い人は眼鏡をかけることで機能の弱さを補えます。脳の機能も同じです。補ったり取り戻したり、あるいは周囲の環境の在り方次第で通常の人と同じように仕事や生活ができます。

 B発達上の…言葉を覚えるのが早い子もいれば遅い子もいます。ある程度の目安はありますが、必ず一定の同じ時期に話し始めるわけではありません。発達の時期には「差」があります。また、話すのが得意な子もいれば、黙って作業するのが得意な子もいます。活発に動き回るのが得意な子もいれば、絵本を読むのが好きな子もいます。発達するジャンルも子どもによって様々です。ある程度できて欲しい共通なジャンルはありますが、すべての子がすべてのジャンルで同程度の能力を持っているわけではありません。発達のジャンルにも「差」があります。この「時期」と「ジャンル」の差には許容範囲とも呼べる「程度の差」があると思いますが、あまりもその差が大きい場合には周囲との勉強や生活に支障をきたす場合があります。子どもは発達過程の存在ですからその差を時間が解決する場合もあります。しかし、時間が解決する前に成長過程でトラブルを引き起こす可能性もあります。それが「発達上の」という意味です。

>>