しかし、「障害」という言葉がマイナスイメージを与えるために誤解を与えることも少なくありません。そこで、浜松医科大学の杉山登志郎氏は「発達凸凹」という言葉を使って次のように説明しています。[14]
発達凸凹というのは、時期とジャンルの差です。誰にでも発達のズレや個人の特徴はあります。それが「発達凸凹」です。この発達凸凹がそのまま発達障害になるわけではありません。その凸凹に不適応(周囲とうまくやっていけない困難さ)が生じたときに発達障害となるというのがこの関係式です。たとえば、凸凹の特性がレベル50であっても、周囲とうまくやっているのなら障害の要素は低く抑えられているので発達障害とは呼べず、逆に凸凹の特性がレベル40であっても周囲とうまく適応できなければ障害の要素が目立つので発達障害となるというわけです。つまり、発達障害は、凸凹の大きさだけでは決められず、周囲とうまくやっていくための本人の適応能力やその凸凹を目立たせない周囲の環境の在り方に左右されるというわけです。視力障害にたとえるなら、本人の適応力や周囲の環境が「眼鏡」となって、機能を補ってくれるので障害は出ない、あるいは低く抑えられるということになります。
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