NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題38 発達障害が疑われるきっかけとなる特徴はどれ?

 

 発達障害とは、ごく軽度の、脳機能の発達上の障害です。

 これが大まかな意味です。よく考えると誰にでも当てはまりそうなものです。事実、テレビに出ている有名人やスポーツ選手、お医者さんや弁護士さん、あるいは歴史上の人物など、世の中で活躍されている人の中にも発達障害や発達障害の疑いがあるという話はよく聞きます。文部科学省は、通常学級に在籍している子どもたちの6.5%に発達障害の可能性があるという調査結果を発表しています(平成24年12月)。6.5%という数値は40人のクラスの中に2〜3人は「発達障害の可能性がある」お子さんが存在しているという割合です。医師や教師によっては「もっと多い」と実感されている人も少なくありません。それくらい身近な障害ですので多くの人の正しい理解が求められています。

 しかし、「障害」という言葉がマイナスイメージを与えるために誤解を与えることも少なくありません。そこで、浜松医科大学の杉山登志郎氏は「発達凸凹」という言葉を使って次のように説明しています。[14]

 発達凸凹 + 適応障害 = 発達障害

 発達凸凹というのは、時期とジャンルの差です。誰にでも発達のズレや個人の特徴はあります。それが「発達凸凹」です。この発達凸凹がそのまま発達障害になるわけではありません。その凸凹に不適応(周囲とうまくやっていけない困難さ)が生じたときに発達障害となるというのがこの関係式です。たとえば、凸凹の特性がレベル50であっても、周囲とうまくやっているのなら障害の要素は低く抑えられているので発達障害とは呼べず、逆に凸凹の特性がレベル40であっても周囲とうまく適応できなければ障害の要素が目立つので発達障害となるというわけです。つまり、発達障害は、凸凹の大きさだけでは決められず、周囲とうまくやっていくための本人の適応能力やその凸凹を目立たせない周囲の環境の在り方に左右されるというわけです。視力障害にたとえるなら、本人の適応力や周囲の環境が「眼鏡」となって、機能を補ってくれるので障害は出ない、あるいは低く抑えられるということになります。

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