NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題38 発達障害が疑われるきっかけとなる特徴はどれ?

 つまり、発達障害またはその疑いのあるお子さんにとって重要なのは次の2点です。

 @周囲とうまくやっていく本人の能力(家庭での養育・学校での教育)
 A周囲の環境(学校・家庭・地域の理解と支援)

 発達障害は一生治らないという病気とは違います。また、本人の能力と環境とのバランスによって不適応が表れることを考えれば「治る・治らない」という表現も間違っていることになります。


 周囲の環境は年齢によって変化しますので、周囲の理解と支援は不可欠です。本人の能力を無理なく高める努力も必要です。その努力とは本人の努力というよりも、家庭での養育(正しい生活習慣)と学校での教育(適切な対応)です。発達障害を抱えている子は理解してもらえない環境の中で十二分に努力をしているケースが少なくありません。それ以上に頑張ることを求めるのは過酷です。「どうして出来ないんだ!」「さっき言ったでしょ!」などといった叱責も厳禁です。また、日々頑張って生活しているわけですから「とりあえず様子を見ましょう」という放置もつらい対応です。一日でも早い「周囲の理解」と「適切な支援」が求められます。つまり、早期発見が重要です。一歳半健診、三歳児健診で発見されることもあります。また、幼児は三歳〜四歳にかけての成長が著しいので、自治体によっては五歳児健診を導入して発達障害の早期発見に努めているところもあります。心配な場合は保健師さんに相談できます。小児科や心療内科でも相談ができます。発達凸凹による適応上の問題ですので、早期発見によって「障害」に至らないようにするのが周囲の大人のつとめです。

【答え】

@、A、B、C

出題のポイント

ヒントに「答えは複数です」とありますが、本当に複数(全部)です。 @Bは、自閉症スペクトラム(ASD)が疑われるきっかけとなります。 ACは、注意欠如多動症(ADHD)が疑われるきっかけとなります。 どちらも「疑われる」わけではありません。「疑われるきっかけ」となるに過ぎません。幼稚園や学校の教員でも診断はできません。専門機関への相談が第一です。

 文部科学省では発達障害の表記に発達障害者支援法を用いています。本書での表記もそれにならいました。ちなみに発達障害者支援法では発達障害を次のように定義しています。
「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」



[13]宮尾益知『発達障害と情緒障害の子どもの能力を家族全員で伸ばす』(日東書院)8
[14]杉山登志郎『発達障害のいま』(講談社現代新書)44

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