NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

【コラム】さっとママの体験R

ぎゅっと抱きしめる

 長男が誕生して一年後に職場復帰しました。まだハイハイ全盛期で「たっち」「あんよ」もできなかった息子を託児所に預けて仕事に出かけるのはしのびなかったです。
 朝、七時半開所と同時に車から息子を降ろして託児所の玄関を開けます。自分が置いていかれることを察知するのか、大泣きして私にしがみつき、離れようとしない息子を玄関先でいつもぎゅっと強く抱きしめていました。「お母さんはあなたのこと、大好きだよ」「お仕事がんばってくるからね」「できるだけ早くお迎えにくるから待っていてね」そして、泣き叫ぶ息子の声を聞きながら車に乗り込むのが日課でした。
 一年での職場復帰は自分が決めたこと。毎朝の儀式は切ないものがありましたが、そう言い聞かせて続けていました。私の出演しているラジオ番組で「長期出張のあるお父さん、夜勤しなければならないお母さんなども愛する我が子と離れ離れにならなければならない時、“抱きしめる”。『お父さんはこれから仕事に出かけてくるけれど、お前のことを愛しているよ』と。それはきっと子どもに伝わっているはず」と聞いて、いっそう「抱きしめる」ことを大切にしました。
二歳になっても時々泣いてしまうことがあった息子でしたが、預け先の先生によると、ひとしきり泣いた後「ぼく、もう泣かないんだ」と涙をふいて気持ちを切り替えて遊ぶことができるようになり、三歳を過ぎると笑顔で「行ってらっしゃい。お母さん、お仕事がんばってね!」と手をふって見送ってくれるようになりました。

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