NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題3 赤ちゃんは泣くことによって何を確かめているのでしょう。

 さて、先ほどの赤ちゃんの話に戻します。
 お母さんにかまってもらう楽しさを知った赤ちゃんは、「もっとかまって欲しい」というサインを出すようになります。
生後6ヵ月ですからまだ話せません。歩いたり、這ったりすることもできません。どうやってお母さんにサインを出すのでしょう。そうです。このころの赤ちゃんの強力なサインは「泣くこと」です。なんとかしてお母さんに来てもらおうと思って精1杯に泣きます。そして、お母さんが来てくれたときはとびっきりの笑顔を見せます。それは愛着形成がうまくいっている証拠です。

 もし、お母さんの愛情(抱っこや笑顔や話しかけなど)を求めて泣いている赤ちゃんを無視してしまった場合はどうなるでしょう。赤ちゃんは「泣く→お母さんが来てくれる」という学習によって自信を強めます。これは赤ちゃんにとっての成功体験なのです。泣いても来てくれない場合は、それが失敗体験となるわけですから、失敗が重なると赤ちゃんは自信を失います。やがては泣くことをあきらめることでしょう。これは泣かなくなったからいいことなのではなく、始まったばかりの人生における大きな挫折となってその後の成長に影を落とします。

 同じようなケースに「すれ違い」もあります。
 愛情を求めて泣いている赤ちゃんに対して、「お腹がすいたのかな」と思ってミルクをあげても赤ちゃんにとっては「失敗」です。赤ちゃんが成功体験を獲得するためには、お母さんのフォローが不可欠です。赤ちゃんの泣き声を判断して、赤ちゃん自身が「成功→自信→自立」をめざせるように導いてあげる大事な場面というわけです。[9]

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