NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

【コラム】さっとママの体験B

ずっと抱っこしていた中学生

 その日の「赤ちゃん抱っこ授業」で息子は3人の女の子に特にお世話になりました。 最初に抱っこしてくれたのは反応のいい女の子2組でした。「かわいい!」「赤ちゃんの匂いがする〜」と明るい笑顔で積極的に抱っこしてくれていました。ところが抱っこの最中に息子が飛び出して顔を床に打ちつけてしまいました。息子はしばらく激しく泣いていましたが幸い怪我なく授乳すると眠ってしまいました。その様子を心配そうに見つめていた2人でしたが、改まって「大切な赤ちゃんを落としてしまってすいませんでした」と謝ってくれました。とても真摯な態度でした。  もう1人お世話になった女の子がいました。最初は表情が硬く息子を抱いてもあまり嬉しそうではなかったので赤ちゃんは好きじゃないのかなあと思っていたのです。けれど、それは私の思い違いでした。ぐっすり眠っている息子をずっと抱いていたその子が移動するために立ち上がった時のことでした。息子を抱いたまま、ふらふらとよろけてしまったのです。その子は赤ちゃんが嫌いなわけではなかったのです。眠っている息子を起こさないように気をつけるあまり身動きできずにいたのでした。しばらくして息子が起きてその子に笑いかけた時もにこっと笑い返し、ほっぺたをつついてあやしていました。それを見て私はなんだか温かい気持ちになりました。 その子に限らず、多くの生徒がはじめは不安そうで緊張していましたが、いざ赤ちゃんを抱っこすると大切に接しようとする姿があちこちで見られて授業の終わりにはいつも温かないい雰囲気が流れていました。体重の重い赤ちゃんを手がしびれるまで立って抱き続けていた子、赤ちゃんを泣かせないようにへっぴり腰でおんぶしてそろりそろりと歩いていた子、赤ちゃんを喜ばせようと「たかいたかい」をしすぎて赤ちゃんを泣かせてしまった子…。どの姿も素敵で微笑ましくこうした取り組みが全国のあちこちで行われるといいのにと思いました。

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