NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題10

サルの赤ちゃんに二種類の人形を用意しました。
サルの赤ちゃんは、どちらの人形をお母さんだと思ったでしょう。

A:ミルクの出る哺乳瓶を付けた針金の人形

B:哺乳瓶を付けないタオル地の人形

 これはアメリカの心理学者ハリー・ハーロウがおこなった有名な実験です。実験の結果、赤ちゃん猿はお腹が減ったときだけ針金の母猿からミルクを飲み、飲み終わった後はタオル地の母猿にしがみついたとあります。針金の母猿に行くのはミルクが欲しい時だけということです。これはどちらを「お母さん」だと思っていることになるのでしょう。

 ハーロウは更に次の実験もおこなっています。全く別な人形を近づけて赤ちゃん猿をびっくりさせた時にどうなるかという実験です。この時、赤ちゃん猿は、迷うことなくタオル地の母猿にしがみつきました。このことから赤ちゃん猿が針金の母親に行くのはミルクだけが目当てで、針金人形を母親だとは思っていないということがわかります。ということで、Aが答えになることはありません。しかし、タオル地人形を本当の母親だと思っているかどうかは赤ちゃん猿に聞いてみなければわかりません。ただ言えるのは、タオル地人形の方が針金人形よりも母親に近いと感じているということです。それはスキンシップ(ぬくもりや肌の感覚)を赤ちゃん猿が求めているからでしょう。そう考えると答えは「B」と結論づけてもかまわないのではないでしょうか。

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