NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題10 サルの赤ちゃんは、どちらの人形をお母さんだと思ったでしょう。

 2匹の赤ちゃん猿を別々に育てた実験もあります。1匹はミルクの出る針金の母猿だけで育て、1匹はミルクの出るタオル地の母親猿で育てます。どちらもミルクは出ます。違うのは「肌」だけです。そして、しばらくしてから、人形の数を2つにします。その2つはどちらもミルクを出さない針金だけの母親とタオル地だけの母親です。すると、成育歴の異なる2匹の赤ちゃん猿は、どちらともタオル地の母親の方に寄り添って、針金の母親の方には行かなかったということです。つまり、針金の母親しか知らなかった赤ちゃん猿でさえ、どちらもミルクの出ない人形を前にした場合には、タオル地の人形に母親としての愛着を求めるということです。[28]

【答え】

B:哺乳瓶を付けないタオル地の人形

 この実験にはその後があります。実験が終わって猿を群れに戻した時に、針金人形で育った猿も、タオル地人形で育った猿も、正常には育たちませんでした。恐怖心が強く、攻撃的で、集団に入って行けなかったり、追い出されたりして、性行動も子育てもできないままに終わったそうです。自傷行為も見られ、自分の腕や指を噛んで血だらけになったものもいたと言います。赤ちゃん猿は、ミルク(栄養)とスキンシップ(愛着)を求めたものの、人形からは反応(愛情)が返って来ません。結局は、愛着を形成できずに成長してしまい、自立するために必要な社会性が育たなかったというわけです。

 ミルク(栄養)+スキンシップ(抱っこ)+応答(見つめる・笑いかける・話しかけるなど)が必要 

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