脳科学者の平山諭氏は「楽しい」と感じさせる5つの方法を「ドーパミン5(ファイブ)」と名付けて提唱しています。[15]
①運動を取り入れる…気持ちの良い運動や楽しい作業によって分泌されます。
②変化をつける…同じことが長く続くと楽しさが低下します。音楽のようにリズム、テンポ、メリハリ、強弱などの変化によって分泌されます。
③高得点を与える…金メダルや花丸などの賞与によって分泌されます。
④見通しを示す…「あと3分」「あと1問」などの数値が目標となって分泌されます。
⑤目的を伝える…「何をめざしているのか」「どんなことができればよいのか」がはっきりしていることで分泌されます。
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①~⑤の逆が「楽しくない」ということです。目的もなく、見通しも示されず、賞与もなく、変化も動きもない状態だとドーパミンは分泌されず「元気」「やる気」「記憶」がなくなっていきます。ドーパミンは子育て中の母親にも影響します。平山氏は次のように述べています。
「ドーパミン不足の母親は、ドーパミンの刺激で生まれるオキシトシンという愛情物質が減少するため子どもの世話をしない。簡単に言えば、人生を楽しく過ごしていない人は子育てをしないという理屈も成り立つ。」
思えば、私のラジオ番組「子育てエトセトラ」に登場してくださるゲストのお母さん方はみなさん生き生きとしています。子育てを楽しくする工夫をされている方もいれば、子育て以外に趣味や活動を見つけて人生を楽しんでいらっしゃる方もいます。生活全体が楽しいことによって、お母さん自身に「元気」が生まれ、それが子育てにもよい影響を与えてうまく回っているという感じなのです。「楽しい」と思わせて子どもの脳を育てることも重要ですが、お母さん自身が「楽しい」と感じることが子育てにとって重要であることを脳科学の観点からも実感します。
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