NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

【コラム】さっとママの体験C

ツルンとさっさと出てきてね。

 私は長男を出産するときに、安産のためにいいと言われることはとにかくしました。散歩やストレッチ、掃除もしたし、食事にも気をつけました。おなかの赤ちゃんにも声をかけましたが、それは「とにかく無事に生まれてきてね。あなたのペースでいいからね」というものでした。出産予定日の朝、強い陣痛が5分置きにきたので診察を受けると「これはお昼には生まれるね」と言われました。喜びいっぱいで入院してお昼を待ちました。ところがお昼になっても産まれる気配がありません。お医者さんには「夕方になりそうだね」と言われました。赤ちゃんに会えるなら夕方までがんばろうと思いました。が、夕方になっても赤ちゃんが出る気配はありません。お医者さんは「出産は夜中になるかもしれない」と言いました。もう、夜中でもかまわない、早く赤ちゃんに会いたいと思いました。ところが夜中になっても陣痛ばかりが続き、赤ちゃんはお腹から出てこようとしません。私はすっかり待ちくたびれて眠りこけてしまいました。
 そして朝日が昇り始めたころ、ようやく「もうすぐ生まれますよ。分娩室に行きましょう」と声をかけられました。これでようやく赤ちゃんに会えると元気を取り戻しましたが、分娩台に上がってから更に2時間近くかかってようやく出産することができました。丸一日かけて出産したのです。初産とはいえ、赤ちゃん本人のペースでと声をかけていたら、本当に大変な思いをしての出産になりました。 2人目を授かった時、小児科医の田下昌明氏の本を読んでいました。田下先生は著書『一に抱っこ、二に抱っこ三、四がなくて五に笑顔』の中で次のように述べています。
「胎児の自我とお母さんの体と調和させ分娩に臨まなくてはいけません ですから胎児に向かってお母さんも大変だしおまえも出てくるのが大変だろうから生まれる時は『つるんとさっさと出てきてね』とお願いをしておきます。するとほとんどそうなります。」
 そこで長女の時は毎日「ツルンとさっさと出てきてね。早く会いたいから予定日より少し早くてもいいからね」と声をかけていました。すると、出産予定日より3日ほど早く陣痛がきて入院して2〜3時間で出産することができました。経産婦というのもありますが、赤ちゃんがツルンとさっさと出てきてくれたおかげで体力を消耗することなくすぐに赤ちゃんのお世話をすることができました。田下先生が書かれていたことが現実になって、赤ちゃんの不思議な力を実感した出来事でした。

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