NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題11 わざとお母さんではない人の顔を見て泣くのはなぜでしょう。

 「人見知り」と同時期に出来る赤ちゃんの能力に「共同注視 (ジョイント・アテンション)」というものがあります。
 これは、赤ちゃんがお母さんの表情や視線を見て、お母さんの見ている方向を見ることができる能力です。
 図のAからBへの視線移動ができるということです。お母さんが指を使って指してもかまいません。「あれあれ、きれいなお花だね」と 言って、指で示してお母さんがお花に目をやれば、赤ちゃんもお母さんが見ている方向を向くことができる能力です。

 この逆もあります。最初に赤ちゃんが何かに注目して、その直後に赤ちゃんがお母さんの顔を見るというパターンです。これは赤ちゃんからお母さんへ「あれあれ、見て!見て!」と行動をうながしているわけですから、見て、反応してあげると赤ちゃんは大喜びするはずです。
 このように目でコミュニケーションをとる能力もついてきます。これは「相手に気持ちを伝える」という能力ですから、大きくなるにつれてとても重要な力になります。簡単に言いますと、まわりの人とうまくやっていける力です。この共同注視ができるようになったということもまた、それまでの愛着形成が成功したという証拠になります。 [32]

[31]西澤哲『子ども虐待』(講談社現代新書)172-173
[32]常田美穂・陳省仁「乳児との共同注意行動の発達に寄与する養育者の行動特徴」(北海道大学大学院教育学研究院)

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