NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題28

人間関係を築く能力や婚姻・子育てなど「家庭を築き生活していく能力」は8歳までに決まると言われています。 8歳までのどんな経験が大切なのでしょう。

 婚姻や子育てなどは大人になってから必要とされる行為なのに、それが8歳までに決まるというのは驚きです。しかし、社会的な能力を担当する脳(前頭連合野)が発達するピークが8歳であることを考えると、脳科学の世界では当然のことです。人間関係を築く能力や家庭を築き生活していく能力のこと「社会力」「HQ(人間性知能)」「gF(社会知能)」などと呼ぶことがあります。脳科学者の澤口俊之氏は次のように主張されています。[27]

(1)公園などで大人が介在せずに子ども同士で遊ぶ頻度が高い子ほどgF(社会知能)が高い。
(2)幼児期のgF(社会知能)は生涯にわたって影響を及ぼし続ける可能性がある。

 8歳までの間にどんなことをすれば前頭連合野が発達するかということが重要なのですが、その答えが「子ども同士での遊び」です。公園や学校、幼稚園などで仲間と遊ぶ経験が子どもの社会力を伸ばします。この場合、親や先生が入っていない状態での子どもだけの遊びが重要です。子ども同士の遊びですから楽しいことも起これば、悲しいことも起こります。ケンカも起きます。多少の怪我はつきものです。「体の痛み」だけではなく、「心の痛み」も感じることでしょう。仲間はずれにされて悲しい思いをすることもあるかもしれません。これらすべてがセットになっているのが「集団で遊ぶ体験」です。幼児期にこの「集団で遊ぶ体験」を豊富にしている子は、相手の気持ちを推測する脳をたくさん使い、発達させます。

 人間の一生の中でこの部分が最もよく発達するのが4歳〜8歳のあたりです。子どもたちが公園や学校、幼稚園などで積極的に仲間と遊ぶ時期と合致します。つまり、子どもは、この時期に「集団で遊ぶ体験」によって社会的な能力を発達させるようにプログラムされているとも言えます。[28]

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