NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題29 子どもが自分で出来る簡単な行動とは?

 次に取り組んだのが、Fの「園児服を着てボタンを三つ留める」作業です。ボタンを留めること自体は経験済みだったのですが、ボタンを留める経験が圧倒的に少なかったので、最初はやはり時間がかかりました。毎朝、時間がない中、全部取り組ませるのには負担が大きすぎるので、「園児服の一番下のボタンを留める」ことから始めました。できたらたくさんほめ、残り二つのボタンは私が留めてあげていました。それに慣れてきたら「真ん中のボタンも留める」ことを増やしました。これまた時間がかかりましたが、二つボタンを止められた時は親子で手を取り合って大喜びです。「一番上のボタンは難しいからお母さんがやってあげるね」という時期がしばらく続きました。そして、二つのボタンがスムーズに留められるようになった頃、いよいよ一番上のボタンに挑戦させました。そんな風に悪戦苦闘しながら「園児服のボタンを三つ留める」ことが一人でできるようになった時は、朝から二人で抱き合って喜びました。



 もうこれは私から解説するのは野暮でしょう。素晴らし過ぎて感動的ですらあります。「教え方」の原則が注ぎ込まれた感動的な子育ての事実です。

 そして、最後に教えたのが、Dの「名札のピンを外し、園児服につける」作業です。まず「名札のピンを外す」たったこれだけのことにものすごく時間がかかりました。人差し指と親指の力だけでピンを押したり、刺したりするのが大変でした。できなくて朝から半泣きのこともしばしば。私もイライラしたり、励ましたり、朝からひと騒動だったことを覚えています。

 決して平坦な道ではなかったということですね。しかし、このようにして取り組まれたその先には、きっと親子の幸せが待っているのだと思います。その後の朝の様子はどうでしたか。

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